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久生十蘭短篇選 の商品レビュー

4.3

29件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2026/04/11

また、とんでもない1冊に出会ってしまった。 短編だけど一つの作品毎に余韻がすごい。 どれもこれも、一言では言い表せない面白さがある。 ラスト数ページの、物語の畳み方が好きすぎる。  好きな話 黄泉から 予言 黒い手帳 白雪姫 蝶の絵 雪間 春の山 母子像 復活祭 春雪 …ほぼ...

また、とんでもない1冊に出会ってしまった。 短編だけど一つの作品毎に余韻がすごい。 どれもこれも、一言では言い表せない面白さがある。 ラスト数ページの、物語の畳み方が好きすぎる。  好きな話 黄泉から 予言 黒い手帳 白雪姫 蝶の絵 雪間 春の山 母子像 復活祭 春雪 …ほぼ全て。

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2026/02/21

十蘭は死ぬまで、ある一筋のことをかたくなに守り通したその態度は、一種壮烈な趣きがあって、文壇的には当然孤立した地位にいたが、その生前から一群の、非常に特殊な読者層を作り出している。それは、ホームズの信徒のシャーロキアンに倣っていえば、ジュラニアンとでもいうべき人たちで、この人々の...

十蘭は死ぬまで、ある一筋のことをかたくなに守り通したその態度は、一種壮烈な趣きがあって、文壇的には当然孤立した地位にいたが、その生前から一群の、非常に特殊な読者層を作り出している。それは、ホームズの信徒のシャーロキアンに倣っていえば、ジュラニアンとでもいうべき人たちで、この人々の誇りと訝しみは、こんなにも豊醇な美酒が、ただ自分らだけのために用意されていいものだろうかという点にあった。 ──中井英夫『久生十蘭論』

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2025/11/05

『黄泉から』は最後ぎょっとするのがよい。 心構えなく、ふいにあちら側の世界を覗き込んでしまったような。 でも、つぎの『予言』には度肝を抜かれましたね〜。 途中いきなり福助人形が出てくるところは、本当にゾッとする。 誰が語り手がわからなくて視点がふらすらするので、これは私が読み取...

『黄泉から』は最後ぎょっとするのがよい。 心構えなく、ふいにあちら側の世界を覗き込んでしまったような。 でも、つぎの『予言』には度肝を抜かれましたね〜。 途中いきなり福助人形が出てくるところは、本当にゾッとする。 誰が語り手がわからなくて視点がふらすらするので、これは私が読み取れてないだけなのか?と思って調べたら、やはり意図して書かれているようですね。お話自体の結末もとてもよいし、最後に急に『われわれ』と言われて混乱しました。 すごく面白いです。

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2025/10/03

古い時代の男性作家が読みたくて、読んだことのない久生十蘭(1902-57)を読んだ。 1946〜19057年に発表された短篇15篇。 初めは独特で苦手かもと思ったのに、読み続けるうちに十蘭ならではの文章と世界が心地良くなった。クセになるのも分かる。 物語は最初と最後が好きだっ...

古い時代の男性作家が読みたくて、読んだことのない久生十蘭(1902-57)を読んだ。 1946〜19057年に発表された短篇15篇。 初めは独特で苦手かもと思ったのに、読み続けるうちに十蘭ならではの文章と世界が心地良くなった。クセになるのも分かる。 物語は最初と最後が好きだった。 やっぱり古い文学は良い。 初めて十蘭を読む私にとって丁寧な解説がありがたかった。非常に興味深かった。 ちなみに十蘭のペンネームはシャルル・デュランから弄ったらしい。

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2025/08/15

冒頭『黄泉から』で一冊分の元は取れる。戦後すぐにこの内容で幻想文学を書きますか……。YA向けのアンソロジーで出逢って以来自分にとってずっと忘れえない作品。 本屋で手に入りやすい作品から鑑みるに探偵小説作家として注目されることが多く、国語便覧などではあまり見かけないが、『黄泉から』...

冒頭『黄泉から』で一冊分の元は取れる。戦後すぐにこの内容で幻想文学を書きますか……。YA向けのアンソロジーで出逢って以来自分にとってずっと忘れえない作品。 本屋で手に入りやすい作品から鑑みるに探偵小説作家として注目されることが多く、国語便覧などではあまり見かけないが、『黄泉から』『母子像』を読むと、久生十蘭とは戦争文学の書き手でもあることがわかる。 岩波文庫では『湖畔』などが収録されたもう一冊が出ていて本書を補完する。または講談社文芸文庫の短編集ともかぶりが少ない(母子像だけかな)ため、併せて読んで欲しいやつだ。

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2025/07/09

短編集。 戦後の作品のみで、すごく難しい文体ではないはずだが、ぼーっと読むと置いていかれる。 いまいち内容が理解できていないものもあるので再読したい。 黄泉から、予言、母子像、黒い手帖が面白かった。

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2024/08/30

15篇の短編からなる。 どの登場人物も言葉遣いや境遇、ハイソな感じ。 西洋にあこがれる日本人。 いろんな物語を背景に描かれているようで知識の薄い私などが読むと分かってないことばかりかも。 読者を試すところはナボコフみたいなのかも。 白雪姫は、ある一生の羊飼いの男と同じような現...

15篇の短編からなる。 どの登場人物も言葉遣いや境遇、ハイソな感じ。 西洋にあこがれる日本人。 いろんな物語を背景に描かれているようで知識の薄い私などが読むと分かってないことばかりかも。 読者を試すところはナボコフみたいなのかも。 白雪姫は、ある一生の羊飼いの男と同じような現象かな。 あと、さらりとひとが死ぬな。

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2024/04/07

久生十蘭の短編集ですね。 久生十蘭(1902ー1957)函館生まれ。小説家。 十五篇の短篇が納められています。 解説の川崎賢子さんは『久生十蘭は、文学の諸ジャンルを横断し、複数の文化のあいだを越境し、おびただしい書物を批評的に引用し再編しつつ、戦時下・占領下の困難な現実にそこなわ...

久生十蘭の短編集ですね。 久生十蘭(1902ー1957)函館生まれ。小説家。 十五篇の短篇が納められています。 解説の川崎賢子さんは『久生十蘭は、文学の諸ジャンルを横断し、複数の文化のあいだを越境し、おびただしい書物を批評的に引用し再編しつつ、戦時下・占領下の困難な現実にそこなわれることのない、珠玉のような作品を残した。』と語らされています。 戦後期の文学を高めた名手と言えます。 人間味あふれる、深みのある作品は読みごたえがあり、感慨深いですね。

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2023/12/30

初めて読む作家。 何かで紹介されていて興味を持ったか、購入して積読になっていた。 買っておいて良かったと思う。美文である。 初出はほとんどが終戦から5〜6年のもの。 まだ戦争の傷が癒えない時期で、戦争がらみの物語も多い。死が身近である。 悲劇的な話多く、伝奇的な要素もあるが、おど...

初めて読む作家。 何かで紹介されていて興味を持ったか、購入して積読になっていた。 買っておいて良かったと思う。美文である。 初出はほとんどが終戦から5〜6年のもの。 まだ戦争の傷が癒えない時期で、戦争がらみの物語も多い。死が身近である。 悲劇的な話多く、伝奇的な要素もあるが、おどろおどろしさは感じられず、透明感がある。 描かれていることは無惨なのに、なぜか美しい。 『母子像』なども、戦時中サイパンでの日本人の悲劇はあったが、物語の中の本当の地獄はそこではないところにある。 『白雪姫』では、氷河のクレバスに落ちた女性の遺体が20年以上の歳月を経て生前のままの姿に凍り付いて出てくる。性悪な女だったが、魂は洗われ、男の胸の憎しみも長の年月に消え、浄化されたような結末だ。 ギャンブルにのめり込み、確立の研究に人生を費やす『黒い手帳』は、呆れるほどの執念に恐ろしさと同時に滑稽を感じる。 なかなかそこら辺にはない作品の数々だと思う。 先が知りたくてストーリーばかりを追ってしまったが、地の文章をもっと味わわなくてはと思った。 編者による解説は難しく、ほとんど研究者向け。 一般人としては、物語をただ味わいたい。

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2021/11/12

 久生十蘭の2冊目。1編を除いて戦後、1946年から1957年に発表されたものが収められている。1957年は十蘭が55歳で亡くなった年であり、この付近は晩年の作と言うことになる。  先に読んだ同じ岩波文庫の短編集『墓地展望亭・ハムレット』と同様に、非常に凝縮された見事な表現が目を...

 久生十蘭の2冊目。1編を除いて戦後、1946年から1957年に発表されたものが収められている。1957年は十蘭が55歳で亡くなった年であり、この付近は晩年の作と言うことになる。  先に読んだ同じ岩波文庫の短編集『墓地展望亭・ハムレット』と同様に、非常に凝縮された見事な表現が目を惹くが、物語の構成も優れているし、予想外の展開になる作品も多く、やはり、一つ一つがキラキラ輝いているような粒ぞろいである。  しかし、何故か短編集として通読すると、ちょっと疲れてしまう。1編ごとに凝縮されて濃厚な上に、文学性が多岐にわたっており、多彩すぎて作家のコアな「声」が迫ってこない。技巧的で言語表現に凝りまくっている点でナボコフを想起させるが、ナボコフにあるヘンタイっぽさは皆無で、ずっと大人しくも見える。実際にこの作家は穏やかな人物だったのだろうか。  やはりなかなか正体が掴めないこの作家へ目を凝らしても、何やら霧がかかって茫漠としている。それでいて、個々の作品は非常に優れていることも確かなのだ。  さらに十蘭を少しずつ読んでみたい。

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