手鎖心中 新装版 の商品レビュー
軽やかな落語のようで この語り口がいいんだよ 誰も彼も憎めないキャラクターばかりで 今更ながら面白いもの読んだなぁっ思えた いい本だ!あ?直木賞とってた? なーるほど(^^)満足
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井上ひさし文学忌、吉里吉里忌。 代表作「吉里吉里人」より。残念ながら未読。 井上ひさしといえば、“ひょっこりひょうたん島”だけど、第67回直木賞「手鎖心中」 材木屋の若旦那が絵草紙作家になりたいが為、自ら戯曲の主人公の様に生きようし、世の中の話題の中心になろうとする。果ては、自...
井上ひさし文学忌、吉里吉里忌。 代表作「吉里吉里人」より。残念ながら未読。 井上ひさしといえば、“ひょっこりひょうたん島”だけど、第67回直木賞「手鎖心中」 材木屋の若旦那が絵草紙作家になりたいが為、自ら戯曲の主人公の様に生きようし、世の中の話題の中心になろうとする。果ては、自らお上に反して手鎖となり、その状態で心中を図る。 もともとがお坊ちゃん、安易な策略の話題作り。その嘘の中、本当に死んでしまう。 「江戸の夕立」大棚の薬問屋の若旦那、それに従う太鼓持ち。薩摩藩武士との小競り合いから品川の海に飛び込み、なぜか釜石へ。そこから苦労知らずの若旦那に振り回されて裏切られる生まれ持っての太鼓持ち。 周り回って江戸に戻った時には、家はなくなり、そこは東京となっていた。 笑を得る苦悩みたいな小説には時々出会うけれど 今回は滑稽譚という感じ。主人公も周囲もなるがままといったような。そこが井上ひさしかな。
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1972年の直木賞受賞作品。表題作も良かったが、併録の「江戸の夕立ち」がロードムービーのようで面白かった。どちらの主人公も飄々として粋だった。言葉の組み立てが緻密でリズム良く読めた。
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井上ひさし『手鎖心中』読み終わった。「江戸の夕立」がとても面白かった。江戸の問屋のぼんぼんと、たいこもちが東北をめぐる珍道中。
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⚫︎手鎖心中…戯作者になりたい大店の坊ちゃんと彼に巻き込まれる人々 ⚫︎江戸の夕立…こちらも大店の坊ちゃんと彼に巻き込まれる吉原幇間。 どちらも洒落と切なさを味わせてくれる江戸もの。 どちらかというと江戸の夕立の落語を聴いているような吹き出す瞬間はわたしの小説記録の中では貴重...
⚫︎手鎖心中…戯作者になりたい大店の坊ちゃんと彼に巻き込まれる人々 ⚫︎江戸の夕立…こちらも大店の坊ちゃんと彼に巻き込まれる吉原幇間。 どちらも洒落と切なさを味わせてくれる江戸もの。 どちらかというと江戸の夕立の落語を聴いているような吹き出す瞬間はわたしの小説記録の中では貴重な作品だった。 折れたり曲がったりしてしまったぐちゃぐちゃのパズルのパーツを組み合わせたら、思った絵柄じゃないものが出来上がった!というような構成が面白かった。
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「手鎖心中」と「江戸の夕立」の2作。両作とも作者得意のユーモア小説だがユーモアの中にも哀しみが満ちている秀作。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
表題作は軽快かつ洒脱。道楽もここに極めり、で宜しいのでは。併録の「江戸の夕立ち」はロードムービー…じゃなくて、道中記になるのかな?夕立ちならぬ大川の時化で、流されに流された若旦那と幇間。この結末は切ないなあ。 解説は18代目中村勘三郎(この新装版は2009年出版)。この小説を舞台化した『浮かれ心中』で、栄次郎役を4回やってるそう。観たかったなあ。って言うか、井上ひさしといい、勘三郎といい、早逝過ぎたよ。
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江戸の夕立ち もっと長くても良かったのに。 すぱっと終わった。 この辺が物語の濃密感なのかもしれないけど。
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軽妙な語りの落語を聞いたかのような読後感。出版統制の時代に本気の茶気に成らんとして命を賭す、それって凄まじい強さだ。ただ、笑いだけでないラストのしんみりは、しばらく心に留め置かねば次に進めない。
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2009年に出た新装版で読んだ。 「手鎖心中」と「江戸の夕立」の二作が入っているのは旧版と同じ? でも、この版には、先年亡くなった中村勘三郎が解説を書いている。 二つの作品の共通点は、若旦那が、見事なダメっぷりを遺憾なく発揮することで筋を牽引しているところ。 絵草紙の作者になる...
2009年に出た新装版で読んだ。 「手鎖心中」と「江戸の夕立」の二作が入っているのは旧版と同じ? でも、この版には、先年亡くなった中村勘三郎が解説を書いている。 二つの作品の共通点は、若旦那が、見事なダメっぷりを遺憾なく発揮することで筋を牽引しているところ。 絵草紙の作者になることを夢みる「手鎖心中」の栄次郎。 でも、自分に才能がないことをとうに理解している。 分かった上で、金の力で夢をかなえようと、話題づくりのためになりふり構わず奮闘する姿は、滑稽を通り越して哀しい。 「江戸の夕立」では、たいこもちの桃八は、薬屋の若旦那、清之助に振り回され、東北地方をさすらうはめになる。 江戸のロードムービーを見ているかのようで、金の切れ目が縁の切れ目、となってもおかしくない二人の間に、なんとなく信頼関係が生まれていくのが面白い。 九年ぶりに放浪の旅から戻ってきた二人が、もはや江戸では亡くなった町の、もはや誰もいなくなった実家の鰯屋の前で、夕立に打たれるラストに、全てを失った虚無感っていうのはこういうものなのかな、と感じる。 小説を読む醍醐味を久々に味わった。
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