最終目的地 の商品レビュー
同名の映画を見て、映像を文でなぞりたくなって手に取りました。 期待に違わず、繊細な言葉の連なり、行ったことのないウルグアイの情景が眼前に広がって行くような世界が広がった読書の時間を堪能できました。 不幸と幸福のうねりが静かに積み重なるように、彼、彼女らに降りかかって行く・・そんな...
同名の映画を見て、映像を文でなぞりたくなって手に取りました。 期待に違わず、繊細な言葉の連なり、行ったことのないウルグアイの情景が眼前に広がって行くような世界が広がった読書の時間を堪能できました。 不幸と幸福のうねりが静かに積み重なるように、彼、彼女らに降りかかって行く・・そんな時間の絵巻物が静謐なタッチで展開。 ともすれば、結論を掴みたくなる読書の中にあって、登場人物6人がそれぞれにライフロードの歩みがかなたまで続いて行くことを予感させられるエンドはよかった。
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2023/11/23読了。ミステリーや歴史好きの私だが 最近はこう言った心に何か余韻が残る小説を読むとほっとする。作家はアメリカ生まれのピーター・キャメロン。『最終目的地』人生最後に辿り着く作品と思いきや…こが最終目的地だと思っていても、いつまた新しい旅が始まるかも知れない。 だ...
2023/11/23読了。ミステリーや歴史好きの私だが 最近はこう言った心に何か余韻が残る小説を読むとほっとする。作家はアメリカ生まれのピーター・キャメロン。『最終目的地』人生最後に辿り着く作品と思いきや…こが最終目的地だと思っていても、いつまた新しい旅が始まるかも知れない。 だれでも、いくつになっても、あらたな目的地が見つかる可能性はつねにある。かたくななこころを開いてその可能性に飛び込むことは、生きることを楽しむのと道義だ-そんな希望と祝福に満ちたメッセージが、この題名には隠されているように思います。訳者あとがき。それもある種の人生におけるミステリーなのかも。読後感は悪くはなかった。文体も繊細で読みやすかった。
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ウルグアイの町から離れた自然な中で静かに暮らす作家の家族。そこへ伝記を書く許可を得るため、青年が現れる。そこで静かに恋が始まり、別れと旅立ちの種が播かれる。登場人物のそれぞれの関係が特殊で思いやりか意地悪かないまぜになった心情でがんじがらめになっているところが、ほどけていく。最終...
ウルグアイの町から離れた自然な中で静かに暮らす作家の家族。そこへ伝記を書く許可を得るため、青年が現れる。そこで静かに恋が始まり、別れと旅立ちの種が播かれる。登場人物のそれぞれの関係が特殊で思いやりか意地悪かないまぜになった心情でがんじがらめになっているところが、ほどけていく。最終目的地に向かって。 久しぶりに物語世界に堪能しました。
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文章が逸脱。 人物のキャラクター会話を通して 細かく設定されていて目の前にいるみたい。 ストーリーも日常的で、馴染みのないウルグアイが とても居心地の良さそうな土地に感じた。
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この美しい翻訳をなさった方がもうこの世にいないのが残念。ピート役が真田広之か。欧米人にはそんなに若く見えるのね。オマーの恋は安っぽく見えたが、長続きしているみたいね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
自殺した作家の妻と、一緒に住む作家の愛人とその子供。作家の兄とその恋人。彼らの暮らすウルグアイでの非現実的な日常に、作家の伝記を書こうとアメリカから大学院生が訪ねて来る。 登場人物たちの会話が多く、それでそれぞれの揺れる細やかな心情がはっきり浮かび上がってくる。 でも最後の爽やか過ぎる展開について行けなかった。
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人の行き来も殆どなく、時間さえも停滞しているような、ウルグアイの田舎で暮らす、今は亡き作家の兄、妻と愛人。彼らの生活は、気だるい物憂さに包まれている。激動の過去を経て、この先には何もないと諦めているよう…そこに、博士号と研究費を取得するために作家の伝記を書きたいという男が現れ、そ...
人の行き来も殆どなく、時間さえも停滞しているような、ウルグアイの田舎で暮らす、今は亡き作家の兄、妻と愛人。彼らの生活は、気だるい物憂さに包まれている。激動の過去を経て、この先には何もないと諦めているよう…そこに、博士号と研究費を取得するために作家の伝記を書きたいという男が現れ、それぞれに変化が起こる。 とても読みやすい文章で、馴染みのないウルグアイという国の田園風景が、美しく想像できた。 色々な国籍・背景・過去を持つ登場人物達が、何からも遠い異国の辺鄙な地で、失っていた自分を取り戻していく様が繊細に描かれていて、じんわり心に染みた。静かに希望で満たされていくような、心に残る一作だった。
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真田さん出演映画の原作。 先に映画を見てしまったので、登場人物がなんの違和感もなく 映画の役者さんに変換された。 ナイスキャストだったんだと思う。 原作も、ゆっくりとたんたんと。 みんな、それぞれの「最終目的地」へ。 ちょっぴりウルグアイの生活に憧れる。 しかし、ディ...
真田さん出演映画の原作。 先に映画を見てしまったので、登場人物がなんの違和感もなく 映画の役者さんに変換された。 ナイスキャストだったんだと思う。 原作も、ゆっくりとたんたんと。 みんな、それぞれの「最終目的地」へ。 ちょっぴりウルグアイの生活に憧れる。 しかし、ディアドラって・・・(苦笑)こういう人、いるよね。 好きにはなれないけど、可哀相。
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死んだ作家の妻と、愛人とその子供と、兄とその恋人の青年が、田舎のお屋敷に住んでおり、そこに作家の伝記を書こうと一人の若者が訪ねる。 アメリカの大学院生の若者が、作家の伝記を書きたい意志を伝えるのだが、妻と愛人の承認を得られず説得していく話。 とくに波も無く淡々と進んでいき、楽しい...
死んだ作家の妻と、愛人とその子供と、兄とその恋人の青年が、田舎のお屋敷に住んでおり、そこに作家の伝記を書こうと一人の若者が訪ねる。 アメリカの大学院生の若者が、作家の伝記を書きたい意志を伝えるのだが、妻と愛人の承認を得られず説得していく話。 とくに波も無く淡々と進んでいき、楽しい訳でもないが不愉快ではない感じが心地よい。 結末も想像がついたが想像を裏切らないところがこの作品に関してはよかった。 不思議な話である。
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「最終目的地」ピーターキャメロン 読んだ、in奈良。雨上がりの緑のようなすがすがしい読後感。斜陽の中で澱みたいに時間が止まったまま暮らしていた人達が、「伝記」をきっかけにそれまで気付かないふりをしていた自分の気持ちに向き合い、新しい生活へ一歩踏み出す。(つづく) それぞれが長い...
「最終目的地」ピーターキャメロン 読んだ、in奈良。雨上がりの緑のようなすがすがしい読後感。斜陽の中で澱みたいに時間が止まったまま暮らしていた人達が、「伝記」をきっかけにそれまで気付かないふりをしていた自分の気持ちに向き合い、新しい生活へ一歩踏み出す。(つづく) それぞれが長い旅の最終目的地を見い出す。キャロラインの章がよかった。それまで内省に逃げていた目がNYのアパートで次第に外へ向いていく。グレースケリーが唐突に出てくる1.5行が最高。 (つづき)オマーは諦めと周囲との折り合いに終始する生活から、初めて揺るぎない確信を持って、アーデンに伝える。口説き文句として、こんなのは反則だー。 滋味たっぷりの本
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