世界はうつくしいと の商品レビュー
誰もいない静かな場所。深呼吸をする。穏やかな気持ちで、この詩集と向き合い、味わう。それが一番ふさわしいのでは、と思えるような詩集でした。 紡がれる言葉をじっくりと噛みしめて、ゆっくりゆっくり味わいました。時々現れる1羽のミミズクに、気持ちを見透かされているような感じもしました。...
誰もいない静かな場所。深呼吸をする。穏やかな気持ちで、この詩集と向き合い、味わう。それが一番ふさわしいのでは、と思えるような詩集でした。 紡がれる言葉をじっくりと噛みしめて、ゆっくりゆっくり味わいました。時々現れる1羽のミミズクに、気持ちを見透かされているような感じもしました。 風景のなかに、もうここにはいなくなったものの存在を間近に感じることと、姿を消し去ったものが残していくものが、この世界の何気ない美しさだということが、あとがきに書かれていました。そうかもしれないと思いました。 これからは詩集も読んでいこうと思うきっかけになった素敵な詩集でした。最後に、これからも読書をする上で、なるほどと思った言葉です。 読むことは、本にのこされた 沈黙を聴くことである。 無闇なことばは、人を幸福にしない。 「聴くという一つの動詞」より
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眠りにつく前に少しずつ読んでいた やさしい言葉たちが周りを囲んでくれる 一瞬にして自然の中へ、ここではない穏やかなところへ、音楽の世界へ、連れて行ってくれる これからもきっと読み続ける
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長田弘の紡ぐ言葉はなんでこんなにうつくしいんだろう。伝え方や話し方の上達よりも、沈黙を大事にしたいと思わせてくれる一冊。
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世界とか自然とかスピノザとかそういう詩集。 ⚪︎ 大丈夫 失うものは何もない 守るものなどはじめから何もない ⚪︎ この言葉が、この無力感が実は人生の希望だったりする。私は全てに意味をつけて守りたがるから、本当に刺さる
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タイトルに惹かれた。 一時、もう生きていたくないと思う時期があった。 それを経て思うことがある。「生きたい」と思えるのは、世界はうつくしいと信じていられるからだということ。この世界がうつくしいと信じられなくなったとき、人の心は急激に下へ下へと向かう。 この本を読んでいると、生きる...
タイトルに惹かれた。 一時、もう生きていたくないと思う時期があった。 それを経て思うことがある。「生きたい」と思えるのは、世界はうつくしいと信じていられるからだということ。この世界がうつくしいと信じられなくなったとき、人の心は急激に下へ下へと向かう。 この本を読んでいると、生きることの喜びって、そんなに大層なものじゃないなと思える。 ただ生きてそこに在って心の機微を感じること。 そういう静かな喜びを大切にしていたいと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
長田弘による詩集。優しく穏便な詩の中には、植物の茎、葉を支える葉柄のような一本の軸があり、それが自身の思想ないしは哲学なのだろう。そのような思想書のような感覚を持つ理由は、詩の内容にあり、詩という風景を描写する断片的な文章の中に、著者が人生の中で培い築き上げてきた積層的な文章が織り混じっているからだと思う。 私が好きな「聴くという一つの動詞」を例に出して言うと文頭は「ある日、早春の、雨のむこうに〜」から始まり、文中はそれに続く風景の描写が続く。しかし文末の「読むことは、本にのこされた沈黙を聴くことである。無闇なことばは、人を幸福にしない。」という文章は風景描写から続くまとめのように思えるが、この文章は「読むこと」というある一点に着目し、深く掘り下げた文章で、この文章だけでも成り立つ。他にも「二〇〇四年冬の、或る午後」でも同じことが分かる。文頭は「フラ・アンジェリコの受胎告知を〜」から始まり、芸術を通して色彩に対する風景描写が続く。そして文末には「世界を、過剰な色彩で覆ってはいけないのだ。沈黙を、過剰な言葉で覆ってはいけないように。」と終わる。 つまり文頭から文中にかけては詩であるが、文末が格言のように感じるのだ。その二つは決して分かれている訳ではなく、地続きのように繋がっている。だから詩のようにも思想書のようにも感じるのではないだろうか。 このような詩を読んだ事がないため、新鮮に感じた。他の作品も読んでみたい。
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静かな空間で、静かに声に出しながら・心の中で読みながら、じっくり堪能したい詩集。ひとつひとつの言葉が表題の通りとても美しい。 ==== 平和とは(平凡きわまりない)一日のことだ。 本を閉じて、目を瞑る。 おやすみなさい。すると、 暗闇が音のない音楽のようにやってくる。 ====...
静かな空間で、静かに声に出しながら・心の中で読みながら、じっくり堪能したい詩集。ひとつひとつの言葉が表題の通りとても美しい。 ==== 平和とは(平凡きわまりない)一日のことだ。 本を閉じて、目を瞑る。 おやすみなさい。すると、 暗闇が音のない音楽のようにやってくる。 ==== 山の写メにかさなって 淡い緑と濃い緑のあいだにひろがった 木漏れ日の灰色の敷物が、とてもきれいだ。 ==== 表紙のフクロウの絵もとても好き。
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■■評価■■ ★★★★☆ ■■感想・概要■■ ○詩ってよくわからない、抽象度が高くてなんともなぁって思っていた時期が私にもありました。 ○誌の言葉を数行、読んで、目を閉じて夢想する。なんでもないと思っていた思い出が、美しい世界であることに気付かされる。 ○本をガンガン速読し...
■■評価■■ ★★★★☆ ■■感想・概要■■ ○詩ってよくわからない、抽象度が高くてなんともなぁって思っていた時期が私にもありました。 ○誌の言葉を数行、読んで、目を閉じて夢想する。なんでもないと思っていた思い出が、美しい世界であることに気付かされる。 ○本をガンガン速読して必要なものを見つけていくという読み方も良いのだけれど、反対にじっくり、言葉一つ一つのイメージを膨らませていく詩は、自由度がとても高い。 ○言葉に出来ないけれど、紡がれるイメージは、まさにアートなんだと思った。 ○本書は、過ぎ去ったものなどがあり、少し寂しさもあるが、だけれどそれ以上に美しさを感じることができて嬉しくなる物が多い。 ○失った・過ぎ去ったものの美しさを感じられるのは、それを想像するからなんだろうな。想像が憧れや懐かしさなどの感情を動かしてくれるんだと思った。
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シェーカー・ロッキング・チェア なによりもその椅子の、 たっぷりと大きく、 頑丈で、 それでいておどろくほど軽く、 繊細な様子を 言いあててくれている。 わたしの部屋にある シェーカー・ロッキング・チェアは、 キットを自分で組み立てたもので、 接合部が甘いのか 体重をかけて寄り...
シェーカー・ロッキング・チェア なによりもその椅子の、 たっぷりと大きく、 頑丈で、 それでいておどろくほど軽く、 繊細な様子を 言いあててくれている。 わたしの部屋にある シェーカー・ロッキング・チェアは、 キットを自分で組み立てたもので、 接合部が甘いのか 体重をかけて寄りかかるとギシギシいう。 その音もふくめて、この椅子が 「一日の時間をうつくしくするもの」だということに深く同意する。 「人生の冠は無なのだ。贅言ではなかった。」
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印象に残った作品 ●なくてはならないもの ●世界はうつくしいと ●大いなる、小さなものについて ●花たちと話す方法
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