最初に父が殺された の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
友人がカンボジアに行った話を聞いて、ポル・ポト政権下、何が起きていたのだろうか、ということで手にとった1冊。 ウン一家の記録である。だが、覚え書きに「体験は私個人のものであるが、何百万のカンボジア人のものと重なるだろう」とある。 読むことによって追体験し、もし自分がこの時代のカンボジアに生まれていたら…と考えること。 辛いとか悲しいとか一言で簡単に表せるものではないが、知らなくてはいけないことだと思った。 解説を読んでその思いはいっそう強くなった。 328P「彼女にいわせれば、祖国再建に奉仕することは、生き残った者の義務なのである。それは私たち日本人の義務でもあるだろう。日本はポル・ポト政権を承認した西側唯一の国で、七九年以降も長らくポル・ポト派を陰に陽に支援し続けた。」
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ポル・ポト体制下のカンボジアでは、たくさんの命が失われ、文化や歴史が白紙に戻され、教育は放棄され、いまだその爪痕は癒えたとはいえないだろう。 日本でもかなりの量の書籍が刊行されている(かなり絶版になっているので正確には「いた」だろうか)が、大量虐殺におびえる悲惨な生活や家族がひ...
ポル・ポト体制下のカンボジアでは、たくさんの命が失われ、文化や歴史が白紙に戻され、教育は放棄され、いまだその爪痕は癒えたとはいえないだろう。 日本でもかなりの量の書籍が刊行されている(かなり絶版になっているので正確には「いた」だろうか)が、大量虐殺におびえる悲惨な生活や家族がひとり、また一人と殺されていく恐怖、迫り来る飢餓はほぼすべての本で語られている。この本はしかし、その生活を生き抜いてきた少女の生々しい告発で、そこには静かな怒りと深い悲しみしかない。藤原ていの『流れる星は生きている』に近いかもしれないが、これは1970年代の話である。 いったいポル・ポト体制下のカンボジアとはいったいなんであったのか?そして、カンボジアはもう過去のものなのか?過去のものにしてもいいのだろうか?アウシュビッツが語り継がれ、ポル・ポトが忘れられていくのは、いったいどうしてなんだろう?
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ロン・ノル将軍政権下のカンボジアの首都プノンペン。憲兵隊勤務の 父と中国系の母の間に生まれた少女は、3人の兄とふたりの姉、 幼い妹に囲まれて裕福な暮らしを送っていた。 それはある日突然訪れた。都市生活者の強制移住だ。カンボジアは ポル・ポトが支配する恐怖の時代を迎えようとしてい...
ロン・ノル将軍政権下のカンボジアの首都プノンペン。憲兵隊勤務の 父と中国系の母の間に生まれた少女は、3人の兄とふたりの姉、 幼い妹に囲まれて裕福な暮らしを送っていた。 それはある日突然訪れた。都市生活者の強制移住だ。カンボジアは ポル・ポトが支配する恐怖の時代を迎えようとしていた。 軍人であったことを隠し、父は家族を守る為に力を尽くす。しかし、 それも長くは続かない。何の前触れもなくクメール・ルージュの兵士 に呼び出された父は、2度と帰って来ることはなかった。 本書は恐怖の時代を生き抜いた女性の回想録だ。政治的な解説は 一切ない。少女だった著者が体験し、目にし、耳にしたことが綴られ ている。 慢性的な飢えに苦しみ、死の恐怖に脅え、ポル・ポトとクメール・ ルージュの兵士へ向けられる煮えたぎるほどの憎悪。10歳にも 満たない少女が、何故、こんな感情を持たなければならなかった のだろう。 ポル・ポトがカンボジアを支配したのは僅か4年。その4年間に200万 とも300万とも言われる人々が飢餓や虐殺、病気等で亡くなっている。 悲劇という言葉だけでは表現し切れない、狂気の時代の体験は 読むのが辛かった。しかし、これが現実に起こったことなのだ。 著者だけの特別な体験ではない。この時代、多くの家族が同じ ような恐怖の時代を迎えていた。著者はばらばらになった兄弟 と運よく再会出来たが、そうではない家族もあったのだろうな。
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そう遠くない昔に、カンボジアで起こった本当の話。 こんな現実があっていいのかと思うほど、悲惨で残忍な事実を、ウン一家の一人であるルオン・ウンの視点から全て記されている。 裕福な生活から一変し、農耕社会の一員となって働くことがカンボジアを救うという。けれども自分たちで育てた米や野...
そう遠くない昔に、カンボジアで起こった本当の話。 こんな現実があっていいのかと思うほど、悲惨で残忍な事実を、ウン一家の一人であるルオン・ウンの視点から全て記されている。 裕福な生活から一変し、農耕社会の一員となって働くことがカンボジアを救うという。けれども自分たちで育てた米や野菜は、どこかへ運ばれ、自分たちは少ない米と魚だけを与えられ、飢えに苦しむ。クメール・ルージュは、「平等」という言葉を掲げていた。誰かが飢えているならば、全員が飢えなければならない、と。「平等」とは一体何だろう。 新人民と呼ばれる知識人たちは、残虐な死を遂げる。一家で暮らすことさえ、ままならない。ウン一家は父親が殺されてから、バラバラになり、自身の名を変え、必死に生きようとする。 そうして、もがいて生きたからこそ、この本は存在している。ポル・ポト政権の事実を伝えるために。 総括すると最初に殺されたのは父ではなく、キーヴだと思うのだけど。 けれども本のカバーにも書かれているように、きっとこの本を読んで思うことは、カンボジアの大虐殺の恐怖よりも、ルオンの不屈の精神である。 自殺者が今もなお1万以上いる日本の人々に、読んでほしいと思った。
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『最初に父が殺された』 かつてポルポト政権下にあったカンボジアで、国民の4分の一が国によって殺害されました。 殺されたのは、文明に溺れた堕落者とされた大学生・学校の先生・医者といった人達でした。 この本はそのような過酷な時代を生き抜いた少女の記録です。 極限状態の中彼女を生かし...
『最初に父が殺された』 かつてポルポト政権下にあったカンボジアで、国民の4分の一が国によって殺害されました。 殺されたのは、文明に溺れた堕落者とされた大学生・学校の先生・医者といった人達でした。 この本はそのような過酷な時代を生き抜いた少女の記録です。 極限状態の中彼女を生かしたものがなんだったのか。 決して綺麗ごとで済まないものが、そこにはあります。 そんな現実(リアル)があったのか、と読んだ後は暫く身動きがとれませんでした。 とても読んでいてつらかったです。 しかし、これを著した彼女が一番辛かったに違いありません。 最後の「これはあなただったかもしれない」の一言が重く突き刺さります。
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ポル・ポト時代の悲劇は、今までに出されたたくさんの本や映画で知ることができるけれども、そのどれにも増して当時の惨劇がありありと描写されている一冊のような気がします。 どうしようもない運命に従わざるを得なかった日々が、当時5〜8歳だった著者の視点で綴られています。幼さの残る感...
ポル・ポト時代の悲劇は、今までに出されたたくさんの本や映画で知ることができるけれども、そのどれにも増して当時の惨劇がありありと描写されている一冊のような気がします。 どうしようもない運命に従わざるを得なかった日々が、当時5〜8歳だった著者の視点で綴られています。幼さの残る感情や家族に対する想いが痛いくらい読者に伝わってきます。 冒頭の覚え書きにある「あなたがこの時代にカンボジアに生まれていたとしたら、これはあなたの歴史になったかもしれない」という一文が重く、悲しいです。
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