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本居宣長「うひ山ぶみ」 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2023/01/28

古学(国学)の初学者に向けた、宣長の晩年の文章です。 国学というと、万葉集と古事記などの古典を言語学込みで研究するものという、少しぼんやりイメージが私の中にはありました。 宣長によれば、古学は儒学や仏教と対置され、その中に神学、有職、歴史、歌学の4科があります。万葉集の研究は歌学...

古学(国学)の初学者に向けた、宣長の晩年の文章です。 国学というと、万葉集と古事記などの古典を言語学込みで研究するものという、少しぼんやりイメージが私の中にはありました。 宣長によれば、古学は儒学や仏教と対置され、その中に神学、有職、歴史、歌学の4科があります。万葉集の研究は歌学に、古事記の研究は神学にあたるわけです。 そして、古学の根本は、道、いにしえの心、大和魂を学ぶことにあるとされます。 本書では、漢意(からごころ)を排せよということが何度も繰り返されます。 私は漢文を好ましく思っているので、宣長のこの主張は少し嫌でした。 しかし、宣長も「漢籍をもまじへよむべし」と言っている箇所もあります。 宣長は、「詞の巧みにして、人の思ひつきやすく、まどはされやすき」と言っているように、漢籍の魅力を充分知っているからこそ非常に警戒するわけです。 こうした強い警戒には、宣長の前の時代には漢意に染まった古典の解釈が流布していたことが影響しており、あくまで宣長が生きた時代における主張に過ぎません。 現代で読む場合は、少し割り引いた方がいいかもしれません。 あるいは、西欧の文物が大量に流入している現代では、むしろ割り増しした方がいいのかもしれませんが。 初学者の心得を書いたものなので、勉強論もあります。 「学問は、ただ年月長く倦まずおこたらずして、はげみつとむるぞ肝要にて、学びようは、いかやうにてもよかるべく、さのみかかわるまじきこと也」 「かならずしも次第を定めてよむにも及ばず。ただ便にまかせて…これをもかれをも見るべし」 あまりカリキュラムにはこだわらず、勉強し続けることが大事ということでしょうか。 今は本もメディアも多いので、勉強法にこだわりたくなるときもありますが、結局、時間をかけて長く取り組むべきというのは同感です。

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2022/10/11

1798年6月に『古事記伝』を書き上げた本居宣長氏。初学者向けの古学の入門書を書いてほしいとの声に答えたのが、『うひ山ぶみ』で翌年5月に刊行された。 原文と注釈と口語訳があり、我々の理解を助けてくれる。 印象に残ったものは、 古事記と日本書紀では、古事記から学び始めなさいという趣...

1798年6月に『古事記伝』を書き上げた本居宣長氏。初学者向けの古学の入門書を書いてほしいとの声に答えたのが、『うひ山ぶみ』で翌年5月に刊行された。 原文と注釈と口語訳があり、我々の理解を助けてくれる。 印象に残ったものは、 古事記と日本書紀では、古事記から学び始めなさいという趣旨のことや、文意のわからないところが多い時は、不明なままにして先に進めばいいということが書かれている。 全体を通して読み、その上で文意を調べていく方が良いということと自分なりに咀嚼した。今の時代でいうと独学入門書。 学ぶ上での志や、古学を学ぶくらいの人物は人格者たれといった学ぶ姿勢についても触れているのが興味深い。今の時代でも参考になること多々あり。

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2018/02/27

アツいなー、宣長。 勉強するならここから手を付けようね、 こういうこという人いるけど 間違いだからね、 こういう考えだと伸びないよ、、、 初学の若者への愛情溢れる熱血講義。 しかも、意外にと言うと失礼だけど 学問スタイルは、実証的で科学的。 いつか、大部の古事記伝にも チ...

アツいなー、宣長。 勉強するならここから手を付けようね、 こういうこという人いるけど 間違いだからね、 こういう考えだと伸びないよ、、、 初学の若者への愛情溢れる熱血講義。 しかも、意外にと言うと失礼だけど 学問スタイルは、実証的で科学的。 いつか、大部の古事記伝にも チャレンジしたい!

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2017/06/29

10年ほど前、宣長について殆ど知識もないまま小林秀雄「本居宣長」を読んだ。冒頭の墓の話、小林の文章が間延びしていたこと(連載ものを単行本にしたせいか?)、宣長は歌を詠むことが本当に好きだったこと、この3点だけが印象に残った。そんな私にもこの「うひ山ぶみ」はすらすら読めて、宣長の考...

10年ほど前、宣長について殆ど知識もないまま小林秀雄「本居宣長」を読んだ。冒頭の墓の話、小林の文章が間延びしていたこと(連載ものを単行本にしたせいか?)、宣長は歌を詠むことが本当に好きだったこと、この3点だけが印象に残った。そんな私にもこの「うひ山ぶみ」はすらすら読めて、宣長の考えの一端が良くわかりました。宣長の勧めに従い昔の歌集でもひも解いてみたくなります。また後日拾い読みしたくなる本。

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2014/07/27

一番印象に残った一節を引用。 P54 才のともしきや、学ぶことの晩きや、暇のなきやによりて、思ひくづをれて止むることなかれ。 とてもかくても、つとめだにすれば出来るものと心得べし。 すべて思ひくづをるるは、学問に大きにきらふ事ぞかし。 全ての文に口語訳があるので読みやすい。...

一番印象に残った一節を引用。 P54 才のともしきや、学ぶことの晩きや、暇のなきやによりて、思ひくづをれて止むることなかれ。 とてもかくても、つとめだにすれば出来るものと心得べし。 すべて思ひくづをるるは、学問に大きにきらふ事ぞかし。 全ての文に口語訳があるので読みやすい。 口語訳だけでもいいので、全ての人に読んでもらいたい一冊。

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2011/01/31

古典研究・国学への手引きであるのみならず、優れた学問論でもある。読んでいると、むくむくとやる気が湧いてくるという効用もある。(2010:柳田洋夫先生推薦) 本居宣長が初心者にむけて丁寧に学問のあり方をといたもの。(2010:清水正之先生推薦)

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2010/10/10

高校生のポケットにこの一冊。大学にはいってへんなことを学ぶまえに、あるいは受験勉強で歪んだ歴史解釈を強制されるまえに、本居宣長による「日本の山登り入門」をよく味わっておくべきです。そのへんにねころがりながらでも。。 註が充実しているので、わからないところは参照できます。ただでき...

高校生のポケットにこの一冊。大学にはいってへんなことを学ぶまえに、あるいは受験勉強で歪んだ歴史解釈を強制されるまえに、本居宣長による「日本の山登り入門」をよく味わっておくべきです。そのへんにねころがりながらでも。。 註が充実しているので、わからないところは参照できます。ただできるだけ原文を読むことです。わかるところを発見し、電車のなかでさりげなく肯くのもよいでしょう。表紙がいいので、ぜひブックカバーをつけず、くたくたになっているサラリーマン諸兄にみせつけるのも、ささやかな国益となります。 気になる宣長の文献は、全集などでしか読めないものが多いですが、図書館なので借りてみて、どんどんつまみ食いをすればよいです。きっと宣長もよろこぶはずです。(できれば、小林秀雄からはいっていかないほうがよいかと思います)

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2010/02/02

この一首 「いかならむ うひ山ぶみの あさごろも 浅きすそ野の しるべばかりも」 は心に残るよね

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