玉嶺よ ふたたび の商品レビュー
2009年集英社発行の文庫版。5編。5編とも既読だが、何度読んでもいい小説。「方壺園」が唐代の雰囲気が好きである。あとはこの表題作も含め戦中を舞台とした話が印象深くできているように思う。 収録作。『玉嶺よ ふたたび』、『方壺園』、『胡蝶の陣』、『四人目の香妃』、『九雷渓』
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思っていたより読みやすかった 時々、中国の歴史上の人物の読み仮名や覚えにくさで読むのに手間取ったけど どれも、後半明らかになっていく真相に心を打たれた感銘を受ける 特に胡蝶の陣で、さいごのさいごに真犯人が共謀したあいつだったとは、と衝撃的だった
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第二次世界大戦中の中国で石仏を研究する日本人学者が主人公です。彼はそこで美しい女性と出会いますが、前線からは遠かった村にも徐々に戦争の影は近づいて来ます。途中で年老いた主人公の回顧パートが入るんですが、若き日の恋、情熱、学究的興味、民間伝承とそれを排撃する政治思想、そこにミステリ...
第二次世界大戦中の中国で石仏を研究する日本人学者が主人公です。彼はそこで美しい女性と出会いますが、前線からは遠かった村にも徐々に戦争の影は近づいて来ます。途中で年老いた主人公の回顧パートが入るんですが、若き日の恋、情熱、学究的興味、民間伝承とそれを排撃する政治思想、そこにミステリ的興趣とトリックが加わるんですから、何重写しになっているかわかりません。しかもそれが全くくどくない。 これは中短篇集なので他の作品も入っています。ことに印象深いのは「方壺園」ですね。唐王朝の文人趣味を前面に打ち出しながら、ミステリとしては純然たる密室トリックものという、実に味わい深い小説です。
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