旅する巨人 の商品レビュー
新しい土地に行った際には、まず高いところに登る。山がどこにあり、川がどのように流れ、人の暮らしがどこにあるかを俯瞰する。また街に入れば、家の造りや屋根、壁の構造や素材、街路の形成、田畑に植えられているもの、地域住民の服装や表情、その土地の食べ物、夜の街、、様々な土地の風俗を五感で...
新しい土地に行った際には、まず高いところに登る。山がどこにあり、川がどのように流れ、人の暮らしがどこにあるかを俯瞰する。また街に入れば、家の造りや屋根、壁の構造や素材、街路の形成、田畑に植えられているもの、地域住民の服装や表情、その土地の食べ物、夜の街、、様々な土地の風俗を五感で体験する。 これは宮本常一が日本中で実践してきたフィールドワークの実態だ。彼が歩いた足跡を地図に落とせば、日本全体が赤く染まりその距離は地球4周分にもなる。旅する巨人と言われる宮本常一の徹底した現場主義の成果は、『忘れられた日本人』や『民俗学への道』といった著書にまとめられている。 その宮本常一を経済的に支えたのは、渋沢敬三である。渋沢栄一の孫として大蔵大臣や日銀総裁に担ぎ上げられる一方で、贅沢税を導入して率先して貧富の格差解消に尽力した。そこには民俗学者として日本の隅々まで歩いた宮本常一の影響があったことは想像に難くない。 よく地域づくりの文脈では、現場が大事だと言われる。しかしそれ以上に重要なのは、その雑多な現場にどのような色彩を乗せて集合知へと昇華させる意味付けの教養であり、圧倒的な経験則に裏打ちされた具体例の集積だろう。宮本常一の足元どころか爪先にも及ばないが、数多くの地域を訪れてようやくその本質が見えてきた。 課題は現場にある。でも課題解決は現場にはない。中央にカネと情報を吸い上げて、十把一絡げにモデル事業だったり横展開とか言っちゃっているところには解はない。個別具体的な事例を積み上げて、大衆の生活のリアリティを見聞きし体感し、自らの想像力の引き出しを広げて異分野と結び付ける。ローカルで興るイノベーションとは、かくも泥臭く奥深いものなのだ。
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先日、金融庁元長官の遠藤さんが、講義の中で紹介された宮本常一の父の言葉に触発され、この本を、手に取りました。大正2年4月(1913年ですから、今から1世紀以上の昔)、山口県の離島だった(周防大橋が架かったのは1976年)、周防大島から旅立つ14歳の常一が書き留めた父善十郎の言葉。...
先日、金融庁元長官の遠藤さんが、講義の中で紹介された宮本常一の父の言葉に触発され、この本を、手に取りました。大正2年4月(1913年ですから、今から1世紀以上の昔)、山口県の離島だった(周防大橋が架かったのは1976年)、周防大島から旅立つ14歳の常一が書き留めた父善十郎の言葉。 汽車に乗ったら窓から外をよく見よ、から始まる10か条。これからさきは子が親に孝行する時代ではない、親が子が孝行する時代だ、そうでないと、世の中は良くならない等、なんとも素晴らしいものがあります。☆4つであります。
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超絶感動。コロナ終息後の最初の遠距離旅は山口県に決めた。宮本常一が生まれた周防大島行ったあと祐三ラーメン食うんです。 やっぱり「普通から生み出されるパワー」が「異常」となる景色のすさまじさよ。そこに絡むのが華麗なる元財閥でニコニコと没落する日銀総裁・渋沢敬三。なんというドラマ。 ...
超絶感動。コロナ終息後の最初の遠距離旅は山口県に決めた。宮本常一が生まれた周防大島行ったあと祐三ラーメン食うんです。 やっぱり「普通から生み出されるパワー」が「異常」となる景色のすさまじさよ。そこに絡むのが華麗なる元財閥でニコニコと没落する日銀総裁・渋沢敬三。なんというドラマ。 そして一番驚いたのが、あの世界に誇る和太鼓集団「鼓童」が、宮本常一なくしては存在しなかっただろうということ。まじっすか。 感動ついでに、関連本を5冊発注。早く読みたい。
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宮本常一と渋沢敬三という二人の(アカデミズムから疎外された)民俗学者の交わりをその係累と周辺の人々を交えて書かれたノンフィクション。 ここに書かれているのは日本の民俗学史であると同時に日本の近代を鋭く捉えようとしたものだと感じる。 購入2011/07/01 再購入2014/09/...
宮本常一と渋沢敬三という二人の(アカデミズムから疎外された)民俗学者の交わりをその係累と周辺の人々を交えて書かれたノンフィクション。 ここに書かれているのは日本の民俗学史であると同時に日本の近代を鋭く捉えようとしたものだと感じる。 購入2011/07/01 再購入2014/09/21 JPN560
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筆者はハシシタで話題の佐野眞一。読み終わって柳田国男が嫌なヤツって気がしてきた。忘れられた日本人はこれから読む。
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読んでてすごく面白かった本。孤島の貧農だが才能と生きた知識はピカイチの宮本と財閥の家に産まれ学問を泣く泣く諦めたパトロンの渋沢。そんな二人を結びつけた勃興したての奇妙な学問、民俗学。 黎明期特有のワクワク感と忍び寄る戦争の影。 もー時代背景とか人間ドラマとかすごく面白い。だけど美...
読んでてすごく面白かった本。孤島の貧農だが才能と生きた知識はピカイチの宮本と財閥の家に産まれ学問を泣く泣く諦めたパトロンの渋沢。そんな二人を結びつけた勃興したての奇妙な学問、民俗学。 黎明期特有のワクワク感と忍び寄る戦争の影。 もー時代背景とか人間ドラマとかすごく面白い。だけど美化のみになってないのもいい。筆者の取材にも感服。 血の通った学問をしなくてはなと思わせられる本。
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日本中を旅した民俗学者の宮本常一と、宮本を精神的そして経済的に支えた渋沢敬三のお話し。 宮本常一の著作を読んで以来少し民俗学に興味があった、宮本と渋沢敬三の生い立ちや関係、渋沢栄一の孫である敬三が民俗学を支援した背景、そして名著『忘れられた日本人』の裏話など、綿密な取材を重ねて...
日本中を旅した民俗学者の宮本常一と、宮本を精神的そして経済的に支えた渋沢敬三のお話し。 宮本常一の著作を読んで以来少し民俗学に興味があった、宮本と渋沢敬三の生い立ちや関係、渋沢栄一の孫である敬三が民俗学を支援した背景、そして名著『忘れられた日本人』の裏話など、綿密な取材を重ねており大変興味深い内容だった。 民俗学というジャンルについては若干理解が曖昧だったが、本作で宮本の行動を知ることにより理解する事が出来た。離島や農村の歴史や風習を調査収集するだけではなく、他のエリアや次の世代に伝える事、そして伝わった情報により少しでも生活が豊かになることが、民俗学本来の役割なのだと思った。 「主流にならぬ事、見落されたものの中にこそ大切なものがある」という一節が非常に印象的だった。
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緻密だが、著者の意見に欠けるように思う。正直、渋沢氏の話は興味ないので別の本としてまとめてほしかった。
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調査のため、日本を歩き訪ねて、73年の生涯で16万キロ。 白地図の日本列島に彼の足跡を赤ペンキで塗ると真っ赤になる。 彼が巨人じゃないなら、もはや巨人は存在しない。
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