プロフェッショナルの交渉力 の商品レビュー
著者の主張通り、本書は一貫性があり同一の内容が繰り返されていて要点が明瞭だった。内容を外交官専用だと思うのではなく、自分の中で客観化・相対化して活用したい。
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別の近著を読もうと思っていたのだが、たまたまこっちを本屋で見つけた。組織人としての則を守りながら組織の枠を超えた仕事をしようとする姿勢・苦悩に学ぶところあり。この人がバッシングされてしまった訳も少しわかるような感じはするが、それだけ突出した仕事ぶりであったのだろう。 交渉の基本...
別の近著を読もうと思っていたのだが、たまたまこっちを本屋で見つけた。組織人としての則を守りながら組織の枠を超えた仕事をしようとする姿勢・苦悩に学ぶところあり。この人がバッシングされてしまった訳も少しわかるような感じはするが、それだけ突出した仕事ぶりであったのだろう。 交渉の基本的要素 「確信」 交渉を始める前に達成すべき利益に確信を持たないと相手を説得はできない。相手の利益についても確信を持つべし。 「インテリジェンス」 交渉相手の組織について情報を集め評価する。また交渉相手の個人的立場についても。 「信頼性」 交渉相手が相手組織の首脳部を説得できるか。特定の課題を与えてチェックすることができる。 「リスク」 リスクを取る覚悟とリスク管理。 「力」 大きな力を梃子にする。外圧だって利用できる。 「戦術」 タイミング、言葉(妥協できないポイントの一貫性)、場所 「保秘」 交渉中の情報管理。特に譲歩できない案件で大事。途中で発表して相場観を作る場合も。 「発表」 演出。トップの仕事。 「人間関係」 不調に終わった交渉の再開の糸口になることも。
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本書は、元外務省キャリア官僚、田中均氏による外交交渉の回顧録。氏は、小泉元首相の電撃的訪朝の実現者としても有名なので、その手腕は言わずもがな。本人の記述のため、客観性に疑わしさがのこるが、書かれていることには説得力がある。 武力背景を持たない日本の外交は、そもそもハンディキャップ...
本書は、元外務省キャリア官僚、田中均氏による外交交渉の回顧録。氏は、小泉元首相の電撃的訪朝の実現者としても有名なので、その手腕は言わずもがな。本人の記述のため、客観性に疑わしさがのこるが、書かれていることには説得力がある。 武力背景を持たない日本の外交は、そもそもハンディキャップを持つ。それを嘆くことなく、経済力や同盟国アメリカの武力を背景としての(とはいえ、経済力を使う外交は、経済産業省や財務省などへの根回しが必要。ここに縦割り組織の難しさがある)外交には頭が下がる思いがした。
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著者は日朝首脳会談で有名となった外交官の方。 交渉力を身につけるための本、というよりは、氏の業績を述べた本といった感じ。交渉力を体系的に学ぶ、というのには向いてないだろうが、外交官の方がどんな仕事をしているか、というのがわかり、一読の価値がありました。 交渉をうまくやるためには、バスケットの中にたくさんの課題を持ち込めば持ち込むほどやりやすくなる、一方的に自分の要求を主張するだけでは交渉ではない、というのは確かにそうですね。交渉の基本だと思います。仕事でも交渉する場面はよくありますが、交渉の枠組み、相手側へ与える利益等、交渉の枠組みを考え、作戦を練ってから交渉に挑むべきだな、と思いました。
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[自負故に]日米経済交渉や普天間基地問題、そして総理訪朝までの北朝鮮との水面下でのやり取りなど、数々の交渉の現場を担ってきた著者による、「本質」を捉えるための交渉論。ご自身のエピソードを紹介しながら、交渉を結果に導くために必要な要素が紹介されています。著者は、現役を退かれた後も積...
[自負故に]日米経済交渉や普天間基地問題、そして総理訪朝までの北朝鮮との水面下でのやり取りなど、数々の交渉の現場を担ってきた著者による、「本質」を捉えるための交渉論。ご自身のエピソードを紹介しながら、交渉を結果に導くために必要な要素が紹介されています。著者は、現役を退かれた後も積極的に外交に関する発信を続けている田中均。 著者が外交官だったこともあり、主に国家対国家の交渉が想定されていますが、9つに分けて紹介される交渉の要諦はその関係にとどまらず、ありとあらゆる交渉について視程に収めた有益なものだと思います。また、実際の外交交渉というものが(ここで紹介されているものは特殊なケースかもしれませんが)どのように行われているかの一端を知る上でも良い参考書となってくれるのではないでしょうか。 「外交に関する評価は歴史に委ねる。他方、評価を下す前提となる事実については正しく知ってほしいし、当事者である自身が何を考えていたか(ここに著者なりの評価も含まれるところが留意点かと)については知っておいてほしい」という(無?)意識が反映されているように思えましたので、田中氏の自伝的側面を担った作品とも言えそうです。著者の静かなる、それでいて熱いプロフェッショナリズムが強く印象に残った読書体験でした。 〜交渉とはつまり、こういうことなのである。「我々の仕事は、受け入れられる余地がどの程度あるのか、どうすれば受け入れられるのかを考える仕事ではないか。それを探そうではないか」〜 どうでもいいですが、エジプトだとタクシーの運転手さんと交渉することが多いです☆5つ
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外交交渉の場合、その目的は国益にかなうこと。 交渉は個人でできるものではない。日本政府の権力の裏打ちが必要である。交渉者の後ろには必ず権力がなければいけない。 結果を求めるのがプロ。 北朝鮮もミャンマーもアメリカが怖い。世界で最も怖い存在。アメリカは世界の秩序を維持するためには軍...
外交交渉の場合、その目的は国益にかなうこと。 交渉は個人でできるものではない。日本政府の権力の裏打ちが必要である。交渉者の後ろには必ず権力がなければいけない。 結果を求めるのがプロ。 北朝鮮もミャンマーもアメリカが怖い。世界で最も怖い存在。アメリカは世界の秩序を維持するためには軍事力を行使するから。 民主主義のもとでは選挙で選ばれた政治指導者しか最終的には責任はとれない。
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交渉を行う際の大切なことの1つはグランドデザインを明確化することである。大きな流れの結果、どこを目指している、目指すべきかをきちんと意識していることが肝要である。外交とは国力を高めるための道具なのだ。最近の日本の政治家は国力を高めようという意識が薄いような気がする。外を見ずに内ば...
交渉を行う際の大切なことの1つはグランドデザインを明確化することである。大きな流れの結果、どこを目指している、目指すべきかをきちんと意識していることが肝要である。外交とは国力を高めるための道具なのだ。最近の日本の政治家は国力を高めようという意識が薄いような気がする。外を見ずに内ばかりを見て自己の保身に走っているように思えてならない。己を空しくしてこそ政治家なのだ。
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交渉とは「結果を作るプロセス」結果を作るためには双方が「結果を作るのが利益になる」と思わない限りできない。交渉がうまくいくかはこの「共通利益を作れるかいなか」ということに尽きる。
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公的な自分とはどうあるべきか。目的を達成する為には感情を除して、と書くと血も涙も無いような感じですが、しかし目的を達成という信念を貫き通す為にはそこまで厳しく自分を律する必要があるのだなと思いました。
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日朝国交正常化交渉にあたった元外交官だった筆者による交渉論が本書のテーマ。 交渉では、双方の利益となる目的の設定とそこに至るための交渉者の確信がまず必要。 筆者は、双方の利益を大きくするための大きな絵をまず提示するように心がけている。「大きな絵=複数の論点を含んだ提案」と私は認識...
日朝国交正常化交渉にあたった元外交官だった筆者による交渉論が本書のテーマ。 交渉では、双方の利益となる目的の設定とそこに至るための交渉者の確信がまず必要。 筆者は、双方の利益を大きくするための大きな絵をまず提示するように心がけている。「大きな絵=複数の論点を含んだ提案」と私は認識した。つまり、譲れる点と譲れない点、または重視している点とさほど重視しない点を見極めて、双方の価値が最も大きな案を描くことが必要だということ。 これは、『交渉の達人』で述べられていた「価値の創造」とほぼ同意だろう。「価値の創造」も交渉における当事者双方の価値のパイを大きくさせて、価値要求だけではなく、双方のWin-Winを目指すような交渉論点の展開の重要性を説いている。
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