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ドラゴンフライ アースシーの五つの物語 の商品レビュー

3.5

14件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    3

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2024/08/28

スピンオフ作品って感じの。ゲドさんは今、くらいに、ああそういう人もいたわね、って感じに前に出てきた人も出てくるけど、ぶっちゃけあんまり覚えてないよ。名前がね、覚えにくいというか、真の名前がとか言っちゃうからもうね、しょうがない。 でね、もうゲドさんのことは忘れて読むにね、いや悪く...

スピンオフ作品って感じの。ゲドさんは今、くらいに、ああそういう人もいたわね、って感じに前に出てきた人も出てくるけど、ぶっちゃけあんまり覚えてないよ。名前がね、覚えにくいというか、真の名前がとか言っちゃうからもうね、しょうがない。 でね、もうゲドさんのことは忘れて読むにね、いや悪くないかも。じんわりくる恋愛モノとか、償いの旅に出る年寄りみたいな話とか。最後の話も唐突ではあるけど、それもまたファンタジーやねぇ、ってなって、不思議な読後感。 これが本場のファンタジーってことか。

Posted byブクログ

2023/07/31

アースシーの世界のエピソード集です。「帰還」より生活する人間たちがさらにリアルに語られています。「手の女」たちの結社が、ロークで学院として発展するにつれて、魔法の場が男性に独占され、女性のまじないの営みは俗のものとして貶められていく…。ファンタジーとは思えなくなってきました。 「...

アースシーの世界のエピソード集です。「帰還」より生活する人間たちがさらにリアルに語られています。「手の女」たちの結社が、ロークで学院として発展するにつれて、魔法の場が男性に独占され、女性のまじないの営みは俗のものとして貶められていく…。ファンタジーとは思えなくなってきました。 「ゲド戦記」から冒頭にアースシーの詳細な地図が載っていて、物語世界の設定の緻密さに感嘆しましたが、歴史まで綿密に組み立てられていたのですね。すごい…。

Posted byブクログ

2023/05/08

「私たちは揺るがない確かなもの、遠い昔からある真実、変わることのない単純さを、ファンタジーの領域に求める。ー するとそこに多額の金が注ぎ込まれる。模倣と矮小化された“商品化されたファンタジー”は、かわいく安全なものとなり、ステレオタイプ化されてガッポガッポと金を儲けていく。ー 私...

「私たちは揺るがない確かなもの、遠い昔からある真実、変わることのない単純さを、ファンタジーの領域に求める。ー するとそこに多額の金が注ぎ込まれる。模倣と矮小化された“商品化されたファンタジー”は、かわいく安全なものとなり、ステレオタイプ化されてガッポガッポと金を儲けていく。ー 私たちは長い間、現実と空想の両方の世界で暮らしてきた。しかし、その暮らし方は、どちらの場合も、私たちの両親やもっと前の先祖たちのそれとはちがう。 人が楽しめるものは年齢とともに、かつまた時代とともに変化していくものなのだ。- 物事は変化する。 作家や魔法使いは必ずしも信用できる人たちではない。 竜がなにものであるかなど、誰にも説明できない。」 再びアースシー世界に足を踏み入れるにあたってアーシュラ・K. ル=グウィンが記した警句である。 それは自らが創りあげた美しい世界に目を凝らし、そこに潜むひび割れを鋭く批判する作業である。 賢人の島ロークの権威が孕む矛盾と欺瞞が語られるとき、ファンタジーの魔法は解けるのか? いや、『カワウソ』そして『ドラゴンフライ』はアースシーとリアルな世界を共鳴させることで、物語をより重層的にそして切実に感じさせてくれる。ファンタジーのテーマは剣と魔法だけじゃない。

Posted byブクログ

2022/03/20

年代順に並ぶ短編集 まえがきにある作者の物語へのスタンスが面白い アーキペラゴへ行き、収集してきた話を書きつけているという 実際書いている感覚はそんな感じなのかなと想像してみるも、アースシー解説の記述の詳細さにくらくらする

Posted byブクログ

2021/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

5作目読了です。ゲドがほぼ出てこないのでゲド戦記シリーズとは呼べないと思うけど、アースシーの世界の物語でどれも面白かった。冒頭のカワウソの話は一番読み応えがあって、カワウソが出会う闇(ゲラックと水銀)と闘っていくところとか、ロークの学院をどう立ち上げたかとか、深い物語になっています。ロークの学院や魔法の世界自体、女性禁止だけれど、ロークの立ち上げには「手の女」たちが深い携わりをしていることが分かったし、なんで女性禁止になってしまったのかなあ。昔から、どこの世でも男性が政をし強い権力を持ち、女性はそれを支えるための存在であり続けたわけだけど、禁欲こそ自分を高め守り抜くことであり、女はそれの邪魔をするという発想なわけですよね。宗教の世界でもそういうことは聞くから、そういうところとも話は繋がっているのだろうか。ゲド戦記1〜3ではストーリーが面白く世界観が良かったけれど、4と5での1番のテーマは、「女性とその立ち位置」になっていると思う。才能があっても虐げられたり、居場所がなかったりと。作家さんが女性の方なので、やはりそういうメッセージなのかなあと思った。

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2021/04/28

1.2巻は面白くて一気に読めたのですが、3.4.5巻は話しがトントンとは進まず、ちょっと苦手でした。

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2021/01/01

外伝の位置らしい短編集。 「ドラゴンフライ」はいよいよ最終巻へ、という感じがしてわくわくした。 「湿地で」もとてもよかったな。 大賢人のゲドの話、安心する。 4巻から急に「男と女」の色が濃くなってきて、そこだけは戸惑う。これを児童書の位置にしておくのはきついのでは。

Posted byブクログ

2020/09/04

まったく実在したことのない、つまり一から十まで完全な虚構の世界を構築、あういは再構築するときは、そのための調査研究は実在の世界のそれとは順序がいくぶんことなる。けれど、根底にある衝動や基本的な技法に大差はない。まず、どんな事が起こるか、観る。そして、なぜ起こるのか、考える。その世...

まったく実在したことのない、つまり一から十まで完全な虚構の世界を構築、あういは再構築するときは、そのための調査研究は実在の世界のそれとは順序がいくぶんことなる。けれど、根底にある衝動や基本的な技法に大差はない。まず、どんな事が起こるか、観る。そして、なぜ起こるのか、考える。その世界の住人がこちらに向かって話すことに耳を傾け、彼らがなにをするか観察する。次にそれについて真剣に考え、誠実にそれを語ろうと務める。そうすれば物語はちゃんと重力を持ち、読むものを納得させるものになっていく。 想像力は他のあらゆる生命体と同じように現在この瞬間生きて活動している。それは本当の変化をともなって活動し、本当の変化から生じて活動し、本当の変化から養分をもらって活動する。私達の行為や持ち物と同じように、想像力も時には予定外のものに勝手に用いられたり、弱まってしまうこともあるが、それでも金儲けの道具に使われようと、説教の道具に使われようと、きっと生き延びる。 想像力という意味では、優れた本だと思う。ただし、エンターテイメントとしては、あまり面白くはない。ゲド戦記のファンのための概念であり、本編を補完する以上のものではない。 ルグィンは、円熟した文章を書くようになったが、何かを探求するという、物語としての面白みは欠けてしまった。

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2020/01/21

ゲド戦記の世界に広がりを持たせるような短編5篇。 オジオンの過去を知れる地の骨が一番のお気に入り。 4から、「男と女」の問題に対しての言及が多いと感じる。

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2018/02/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ゲド戦記、アースシーを舞台にした短編集だが、これは4と6と同時進行で読むか、4、5、6と順番に読むのがいいかもしれない。 作者がどうしてフェミニスト作家と呼ばれるのか、よくわかった。フェミニストといっても、エコロジカルフェミニストという範疇にはいるのではないだろうか。 女をどう描くかというのは常に挑戦のようなものではないかと思う。女の描き方は画一化されていたり、変に理想的だったり、添え物のようだったり、ヒロイン、登場人物として魅力的、オリジナリティがある人物像を描くのは難しいと思う。 しかし、ル・グウィンの描く女たちはどうだ。ファンタジーなのにリアル。等身大なのに奥底に何かとても価値があるものが秘められているような感じがする。どの女もそうだ。 「ドラゴンフライ」のアエリアンもそうだが、女は待ち、受け入れ、導き、そして自分だけで完結することもできれば、仲間とつながることもできる。根のように大地に広がり、揺るがない。支配ではなく連帯、男とでさえもそういうことができる。男は有史以来、女の支配しか頭になかったのに。 そういう不条理とそこからの脱出、解放を書いたのが、女の側から見たゲド戦記かなと思う。ゲドという英雄の物語ではあるものの、その英雄さえ魔法の力を失ってただのおじさんになり、力があると思われていた知の拠り所ローク学院が、実は女によって作られて女によって救われるっていうのが、象徴的である。現実の世界でままならないことをファンタジーの世界でやってのけ、かつそれが実現することを夢として描き出すというのは、まさに文学的だと思った。

Posted byブクログ