やんごとなき読者 の商品レビュー
今のイギリスの女王が読書にハマっちゃったら、というお話。 読書を通じて段々と変わっていく陛下が素敵です。 本を読むということを実はおざなりにしているのではと考えました。 こうしてひとつひとつに確かな感想を持って 自分のものにしていく読み方は訓練が必要でしょう。 私はそれなりに本...
今のイギリスの女王が読書にハマっちゃったら、というお話。 読書を通じて段々と変わっていく陛下が素敵です。 本を読むということを実はおざなりにしているのではと考えました。 こうしてひとつひとつに確かな感想を持って 自分のものにしていく読み方は訓練が必要でしょう。 私はそれなりに本を読んでいる方だと思っていましたが、 自省させられました。 本を読んでどんどん頭脳が明晰になっていく女王を 周りが耄碌していっている、アルツハイマーだと勘違いするのが なんとも皮肉。 このアラン・ベネットという作家は あまり日本じゃ知られていないらしいけれど、 とても面白いお話を書く人だと思いました。 ぜひ戯曲も出版を!!
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本屋で人を待っている間にうっかりかってしまったシロモノ。 現代作家がさっぱり分からなかったけど、本を読む人なら共感できる部分はあるかも。 文章が微妙なのは、もともとか訳のせいか。
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原題は"The Uncommon Reader"~エリザベスが犬を追っていった先に移動図書館が来ており、女王たるもの素通りはできないと本を借りたら,そこには宮殿で皿洗いをするノートンがいた。ようやく読み終えて返しに行くと又,赤毛のノートンがいるので,運転手兼司...
原題は"The Uncommon Reader"~エリザベスが犬を追っていった先に移動図書館が来ており、女王たるもの素通りはできないと本を借りたら,そこには宮殿で皿洗いをするノートンがいた。ようやく読み終えて返しに行くと又,赤毛のノートンがいるので,運転手兼司書にお勧めの本を借りると,読書という有害な趣味を持ってしまった英国国王にして,英連邦元首は,ノートンを小姓として側に置き,公務による移動中も本を手放せない程,本の虫となってしまった。それを苦々しく思う,ニュージーランド出身の個人秘書はノートンを大学に追い出し,首相や旧い使用人を使って,女王を読書から遠ざけようとする。読書により,人の表情も読めるようになった女王は,やがて書いてみようかと考え始め,枢密議員を呼び出して,過去の例を挙げ始める~イギリスの劇作家で,皮肉屋でもあるアラン・ベネットが書いた中編で,英国国内だけでなく,ドイツ語への翻訳も早々に決まり,日本語に訳された。読んだのは7刷,リスクを回避して,少しずつ刷るんだなあ。解説によると,上流階級ほど,読書はしないのが英国らしい。何しろ,土地持ちの貴族は,領地を検分して歩き,狩猟もしなくてはならないからで,cleverは良い意味を持たせていないのだ。貴族は大学を卒業するが,飽くまでも,それは紳士としての箔付であるらしい。という事を皮肉っているが,仏文学どころか,英文学に精通していないと身にとっては辛いなあ。皮肉が皮肉として受け止められない我が良識の狭さを感じた
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何となく見た週刊ブックレビューで気になり アマゾンでかってしまった。 どうやら希少本らしく、中古だと定価よりも700-800円ほど高い。 在庫なしだったけれど新品を注文したら2-3日で届いたので 早速読み始める。 エリザベス二世が読書に目覚めるのだが、 それを側近...
何となく見た週刊ブックレビューで気になり アマゾンでかってしまった。 どうやら希少本らしく、中古だと定価よりも700-800円ほど高い。 在庫なしだったけれど新品を注文したら2-3日で届いたので 早速読み始める。 エリザベス二世が読書に目覚めるのだが、 それを側近たちは良しとしない。 本がなくなってしまったり、移動図書館が来なくなったりと 様々な邪魔が入る。 女王はこれしきのことでどうようしたり、あがいたりしないけれど そのことも見ていて面白い。 本を読んでいる面白さは絶えずあるのに、 ドキドキもわくわくもしない。 こっそりイギリス女王の読書生活を覗き見るようなかんじで、 女王と同じようにむさぼり読んでしまうのだ。 王室の華々しさは微塵もなく、 80歳の人間らしさを感じさせない存在として生きてきた女性が 読書によってかえられていく。 その堂々たる物腰やすこしの優しさが心地よい。 訳者のあとがきによると抱腹絶倒の面白い本のようだけれど 残念ながらイギリス王室やイギリス人の思考に疎い私にしてみれば 笑いはそうそう起こらなかった。 今度この本を読む時は「くすっ」とうっかり笑ってしまうくらいのレベルには なっていたいと願うものの、そうそううまくも行かないものかな。 笑えなくても十分面白い刺激があるので満足。 小説としての面白さもさることながら、辛口の文学批評によって 却って小難しい小説や古典に手を伸ばしたくなってしまう。
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おもしろかったー。突然、読書にハマったエリザベス女王がすごーーくチャーミング、かわいいー。(エリザベス女王って、たとえばコージーミステリ「バッキンガム宮殿の殺人」でもとてもチャーミングに描かれていたんだけれども、本当にそういうお人柄なのかしらん??)最初は手あたり次第、やがてだん...
おもしろかったー。突然、読書にハマったエリザベス女王がすごーーくチャーミング、かわいいー。(エリザベス女王って、たとえばコージーミステリ「バッキンガム宮殿の殺人」でもとてもチャーミングに描かれていたんだけれども、本当にそういうお人柄なのかしらん??)最初は手あたり次第、やがてだんだん古典や手ごわい本も読めるようになっていったり、やたら人と本の話をしたくなったり、読書によって人の気持ちがわかるようになっていくとか、本が好きってこうだよね、読書ってそういうことだよね、とか思えるのがうれしく、楽しかった。70歳すぎて読書をはじめた女王は、はじめるのが遅すぎたと思いつつもどんどん読む。まわりに迷惑がられても気兼ねせず読む。なんか、なんでもはじめるのに遅すぎるってことはないんだなーと勇気を得るような。こういう、いくつになっても、ある意味純粋で素直で、すねない、ひねくれない人になれたらいいなーとか思ったり。でも、ストーリーは思っていたよりずっと短くてあっさり終わってしまった印象。もっともっといろいろなエピソードとか展開で盛り上がるのを期待していて、もっともっと長〜く読みたかったんだけど。あと、イギリスらしい皮肉とかユーモアがいまひとつよくわかってないんだろうな、と自分で思うところがけっこうあって。知らない本もたくさん出てきたし。あと、なんだかやたらゲイにこだわってる?ともちょっと思った。
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おもしろく読めたことは確かなのだけれど、恥ずかしながら、ここで紹介されている、というか女王が読んでる本をあんまり読んでないので、多分その皮肉っぷりというか、ユーモアみたいなところを半分も理解できてないんじゃないかと思う。
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趣味を持つことが「えこひいき」になり、それは仕事の性質にふさわしくない女王陛下。ハリーポッターに興味がなく、ローレンバコールが羨ましいって、可愛い。夫君の公爵が、結構いい味出してると思う。
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2009/10/15-10/16 天神 映画を観ているようだった。明快で、コミカルで、読書の喜びを代弁してくれる。 年老いた女王が本を通して初めて知った外の世界へ、無邪気に突っ走っていくのが気持ちが良い。読書にも筋力が必要って、本当にそう。 『一冊の本は別の本へとつながり次々に...
2009/10/15-10/16 天神 映画を観ているようだった。明快で、コミカルで、読書の喜びを代弁してくれる。 年老いた女王が本を通して初めて知った外の世界へ、無邪気に突っ走っていくのが気持ちが良い。読書にも筋力が必要って、本当にそう。 『一冊の本は別の本へとつながり次々に扉が開かれてゆくのに、読みたいだけ本を読むには時間が足りないことである。』 『女王は確かに読書は好きだったが、本を開いて他人の人生に入り込むことを知らなかったらよかったのにと思ったことも一度ではなかった。読書は彼女をだめにした。いずれにせよ、こうした職務では満足できない人間にしたのである。』 そして最終頁の最後の一言。これは明らかに映像を意識した書き方ではないか。 と思ったらベネットは劇作家で、その世界では有名らしい。後書きを読んで納得。 2014/04/21 プレイス
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タイトルの“やんごとなき”が示すように、まさに主人公が イギリスのエリザベス女王。夫君・エディンバラ公や事故死した ダイアナ妃やサッチャー元首相など、ポンポンと実名で登場したりする。 バッキンガム宮殿の裏庭に来た移動図書館の運転手兼司書・ハッチングズ 車内にいた厨房で働く本好...
タイトルの“やんごとなき”が示すように、まさに主人公が イギリスのエリザベス女王。夫君・エディンバラ公や事故死した ダイアナ妃やサッチャー元首相など、ポンポンと実名で登場したりする。 バッキンガム宮殿の裏庭に来た移動図書館の運転手兼司書・ハッチングズ 車内にいた厨房で働く本好きな少年・ノーマン 彼らと出会い、最初に義務感から借りた一冊の本から 読書の魅力にとりつかれてしまう。 その影響で、飼い犬の散歩の手抜きをし犬に嫌われたり(笑) 本の続きを読むため、鼻をぐずぐずさせ、インフルエンザかもしれないと ベッドから出て来ず仮病を使ってみたり、公務に支障がでてくるようになる。 さらに、厨房で働くノーマンが気に入り 側近に置き、図書館に関する仕事をさせ書記にまでさせてしまう。 そんな読書熱がエスカレートしていく女王に心の変化が! 人の気持ちを理解するようになったり 音楽を聴く気持ちとか・・・感受性が豊かになっていく。 除々にエスカレートしていく王女の読書熱を快く思わない侍従など王室の人々。 そこで、個人秘書のサー・ケヴィンは、王女が海外へ公務中にノーマンを密かに遠ざける企てをするのである。 そして、ラストで王女はある驚べき決断をするというもの・・・・・。 物語で実名は登場するもののフィクションで、実際あり得ない話だろうが読んでて楽しい。 例えば、公務で演説する際、読みかけの本を馬車のクッションに隠してあったのを 侍僕から警備の者がその本を押収して爆破したのだろうと聞かされ 「そうね。まさにそのとおりよ。本は、想像力の起爆装置ですもの」と 小気味良い展開でラストの粋なセリフも心憎い!! 舞台化されたのをぜひ観てみたいものである。
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エリザベス女王がある日、読書の魅力に取り憑かれたというお話。 ありそうなこととまさかという内容を取り混ぜつつ、軽い風刺もふくめ〜現代のおとぎ話的な展開に。 コーギー犬を追って、ウェストミンスター区の移動図書館の車に出会い、厨房で働く青年ノーマンと知り合う。 ノーマンのすすめた本を...
エリザベス女王がある日、読書の魅力に取り憑かれたというお話。 ありそうなこととまさかという内容を取り混ぜつつ、軽い風刺もふくめ〜現代のおとぎ話的な展開に。 コーギー犬を追って、ウェストミンスター区の移動図書館の車に出会い、厨房で働く青年ノーマンと知り合う。 ノーマンのすすめた本を読み進み、謁見で「最近何を読みましたか?」と訪ねて人々を困らせたり、フランス大統領にジュネを知っているか訪ねたり。 声の小さいE.M.フォースターに会ったことを思い出したり、ヘンリー・ジェイムズにいらいらしたり。 読書の楽しみに目覚めた結果、遅刻しがちになり、時には公務に熱が入らない。 だが前よりも、人の心を理解するようになる… それが読書の効用! と本好きには嬉しい主張ににっこり。 著者は1934年生まれ、劇作家、俳優、小説家。 2006年にはトニー賞受賞。 2007年の作品、2009年3月翻訳発行。 もっと著作が読みたいけど、基本が劇作家なのでまだ翻訳されていないようです。
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