日本産業社会の「神話」 の商品レビュー
本書は、「日本は集団主義の国」「日本人は会社人間」「長時間労働が競争力を強化」「成長は政府のお蔭」といった、日本を惑わす迷信を、労働経済学の第一人者である著者が一刀両断するもの。 ちなみに、著者は本年文化功労者に選ばれた。 本書も楠木建教授がPRESIDENTの記事で戦略本30...
本書は、「日本は集団主義の国」「日本人は会社人間」「長時間労働が競争力を強化」「成長は政府のお蔭」といった、日本を惑わす迷信を、労働経済学の第一人者である著者が一刀両断するもの。 ちなみに、著者は本年文化功労者に選ばれた。 本書も楠木建教授がPRESIDENTの記事で戦略本30冊として取り上げていたが、「戦略読書日記」では取り上げられていなかったもの。例によって、どんな解説をしていただろうと想像しながら読みすすめた。 昨日楠木教授の講演を聞くという幸運に恵まれたのだが、その講演で、経営のセンスは測ることができないという一節があったように記憶している。本書で、「働きぶりは数値で測ることができるか」という節がある。おそらく、本書からも知己を得たのだろうと想像できた。結論としては、「高度な作業の働きぶりは―…―とうてい数値であらわせず、仕事をよく知る人の『主観的』な判定によるほかない」ということである。しかも、これは、英米でも常識であるとのこと。主観的、とはまさに楠木教授が常々口にする「センス」そのもの。なるほど。
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「集団主義の国、日本」「政府のお陰」「年功賃金」などの「神話」について、検証し、否定している。そういう見方もあるのだなと思った。
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2010.6.17 勉強会の課題本。 ・日本人は集団社会である ・日本人の競争力の源泉は長時間労働である。 ・日本人は会社がすきである。 そういった神話(通説)を検証し、否定している。 きちんとした論文・調査を素材に論じていて、信頼性は高そうに思えるが、著者は中小企業の専門...
2010.6.17 勉強会の課題本。 ・日本人は集団社会である ・日本人の競争力の源泉は長時間労働である。 ・日本人は会社がすきである。 そういった神話(通説)を検証し、否定している。 きちんとした論文・調査を素材に論じていて、信頼性は高そうに思えるが、著者は中小企業の専門家であるとのことで、そういったバイアスがあることは否めないとのこと。
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統計資料を下敷きにして書かれた本にありがちな、「ここの数字がこうであーなってと」と数字の羅列をくどくど解説する箇所が多くて冗長 作者の「このデータはこう読むんだ」的な解説を延々聞かされて閉口する バッサリ結論だけ書いてくれれば読者としては手間が省けて良いのに しかも(作者も書中で...
統計資料を下敷きにして書かれた本にありがちな、「ここの数字がこうであーなってと」と数字の羅列をくどくど解説する箇所が多くて冗長 作者の「このデータはこう読むんだ」的な解説を延々聞かされて閉口する バッサリ結論だけ書いてくれれば読者としては手間が省けて良いのに しかも(作者も書中で断っているように)最終的な結論についてはデータ不足(賃金や査定などの企業内部データは公開度が低いらしい)のため、データ的な裏付けはなく、まったくの推測ですと気弱になったりする そんなんだったら、一人悦に入ったデータ解説などやめて、最初から持論の展開だけに留めればページ数も減らせて良いのに… 【以下感心した内容】 ・あらかじめ決まった仕事のみ行う人(単純作業) …「部品を組み立てる人」と「組み立てた後でチェックする人」が別の人物 →組み上がって奥のほうの部品は見えないためチェックするのも大変だし、何かあったとき直すのも部品を分解する必要があるため大変 →能力を数値で測定可能 ・事前に予測不可能な不具合を見つける人(職人作業) …「部品を組み立てる人」と「組み立てた後でチェックする人」が同じ人物 →部品を組み立てながらチェックするため、何かあってもすぐ直せて手戻りが少ない →出来る人には、給与にプレミアをつける →能力を数値で測定不可能 →上司の評価に頼るしかない →複数部署を移動することで、上司による評価のブレを慣らす →短期では(能力評価できないため)給料に差をつけないが、長中期では能力に応じて給料に差がつく ・日本の会社は集団主義的な為、仕事のパフォーマンスが良い →実は個人間競争が激しい(=その為、仕事のパフォーマンスが良い) ・日本の社員は会社への忠誠心が強い →実は会社に不満を持つ人が多い(=競争が激しいため)
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グローバル化が進む世界経済の中で、日本がこれからどうあるべきかについて人々の関心は高い。しかし、この疑問にきちんと答えるには、海外の議論を翻訳するだけの輸入学問ばかりでは不十分である。日本には固有の歴史や経済制度があり、「経済的な豊かさ」に関しても欧米とは異なる見方がある。その...
グローバル化が進む世界経済の中で、日本がこれからどうあるべきかについて人々の関心は高い。しかし、この疑問にきちんと答えるには、海外の議論を翻訳するだけの輸入学問ばかりでは不十分である。日本には固有の歴史や経済制度があり、「経済的な豊かさ」に関しても欧米とは異なる見方がある。その一方、日本経済の「通説」には誤解も少なくない。日本人研究者による議論の蓄積は不可欠である。日本の労働市場の「通説」を批判的に論じた。 (日経・福田慎一:2009/12/27)
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