宇宙を織りなすもの(下) の商品レビュー
古代から人類は宇宙に思いを馳せていた。しかし、それは彼らの宗教観と深く結びつき、科学に基づいた宇宙観とは遠くかけ離れたものであった。 時代を経ること数千年。中世ヨーロッパの天文学はガリレオやケプラーにより再興され、ニュートンへと受け継がれた。彼は、重力の法則を自ら生み出した微分積...
古代から人類は宇宙に思いを馳せていた。しかし、それは彼らの宗教観と深く結びつき、科学に基づいた宇宙観とは遠くかけ離れたものであった。 時代を経ること数千年。中世ヨーロッパの天文学はガリレオやケプラーにより再興され、ニュートンへと受け継がれた。彼は、重力の法則を自ら生み出した微分積分で見事に書き表した。さらに、この時点での人類の知識を統合し、静的で始まりも終りもない宇宙観を構築した。 この宇宙観を最初に破壊したものは、アインシュタインである。彼の相対性理論は、人類がそれまで感じていた共通の時間に対する感覚も、それが幻想であることを明らかにした。リーマン幾何学により表されたの彼の理論は、「宇宙は静的ではなく、ビックパンにより生み出されたこと」を予言した。しかし、この天才もそれまで人類が構築した静的宇宙観の束縛を逃れることが出来ず、宇宙方程式に宇宙項というなぞのパラメータを加えることにより、自ら生み出した動的宇宙観を覆した。このことが、将来にわたってアインシュタインを後悔させた。このエピソードは、人間が持つ感覚や、史観を拒否し、虚心坦懐で科学を見つめることの難しさを教えてくれる。 しかし、さらに我々の感覚を捨て去らねばならない物理が相対論直後に生まれた。量子論である。我々は、宇宙の初期状態が完全にわかれば、その未来は完全に予測できる、つまり「宇宙は決定論的である」と考えがちである。それが直感であろう。しかし、量子論によれば、宇宙は決定論的でなく、確率論的である。この理論によれば、あなたの隣に突然もう一人のあなたが現れてもよい。実際に、素粒子の世界ではこのようなことが実験により確かめられている。 宇宙を記述する2大理論である相対論と量子論。これらは、すばらしい精度で我々の宇宙を予言する。つまり、正しいらしい。「正しいらしい」といったのは、実験で確かめるしかない物理理論は、正しいと言い切ることが論理的に不可能であるからで、「実験的に怪しいところがある」からでない。現在の技術力を駆使した実験データとこの2大理論には矛盾がないのである。 ところが、この2大理論、困ったことに相性が悪い。相対論の特異点が、量子論を発散させる。残念ながらそれをシームレスにつなぎ合わせる数学はない。ということは、どちらかが間違いであるか、両方が間違いであるということである。これをまとめ上げ、一つの物理理論にすることがアインシュタインの夢であったし、現在の理論物理学者の目的である。 この物理理論の有力候補に超ヒモ理論というものがある。本書でスポットが当てられるのもこの理論である。相対論と量子論を統合できる可能性があるこの理論は、その生い立ちから考えれば明らかではあるが、あまりにも摩訶不思議な世界を作り出す。特に奇異な予言は、「この世界は11次元」であること。我々が感じることができる4次元以外は、すべて微小な閉じた次元となる。思わず「ありえねー」と言いたくなるが、この「ありえねー」で失敗したのは、かのアインシュタインである。虚心坦懐で、この理論の行く末を見守りたい。 この本は、以上のような感想が書ける元ネタを提供してくれますが、上下巻あわせて900ページもあるヘビー級書籍ですので、コアな物理ファンでない方にはお勧めしません。ただし、物理的な意味においても、歴史的な意味においても内容はすばらしいです。
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上巻に引き続き難しい内容だった。ひも理論の具体的で簡易な内容を期待していたが、理解が及ばなかった。ただ、物質だけでなく時間と空間にも最小構成単位のある可能性が示されており、興味を持った。 また本書で紹介されていた本などを読んで知識を増やしたら再度読み返したい。
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時間と空間の謎。上巻の相対論と量子論に続いて,下巻では宇宙論と超弦理論がこの謎にどう迫ってきたかを扱う。 下巻はさすがに難解なところもあるけど,類書に較べて読みやすいのは評判どおり。中でもテレポーテーションとタイムトラベルに関する第15章は,多くの人が楽しめるはず。親殺しのパラド...
時間と空間の謎。上巻の相対論と量子論に続いて,下巻では宇宙論と超弦理論がこの謎にどう迫ってきたかを扱う。 下巻はさすがに難解なところもあるけど,類書に較べて読みやすいのは評判どおり。中でもテレポーテーションとタイムトラベルに関する第15章は,多くの人が楽しめるはず。親殺しのパラドックスはパラドックスじゃないというのには,とても納得。 最後はなかなか刺激的。本書において時間と空間に関する常識は常に覆されてきたのだが,物理学の前提とも思える,時空が出来事の舞台であり,物理的実体であるという常識までが覆される。超弦理論が目指しているのは,いわゆる背景独立な理論。時間も空間も理論に先んじて設定される枠組みなどではなく,理論が記述する多数の弦によって織られてゆく二次的なものなのかも知れない。
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去年5/3から始めて3/18未明読了。10ヶ月半の長旅。ベッドサイドに常備し、1コーナー(数ページ)だけ読むと必然的にうつらうつらするので就寝、という睡眠導入剤的な、「空間と時間」について一般人に分かるように物理学的に解説した内容の本。だいたいにおいて、字面は追っていけるけどその意味が分からない。意味が分からないなりに読んでいると何となく表面的に分かるところもあるみたいな。。。こんな読み方なので、前日に読んだ内容はほとんどきれいさっぱり忘れている。そこには自分の年齢も関係しているはず。前のページを読み返すのは面倒なのでやらないが、後ろにある原注にはたびたび飛ばされる。例えばこんな文章。『数学の得意な読者のために書いておくと、ここで述べているのは、光線、あるいはより一般に質量ゼロの粒子は、有限な時間で、反ド・ジッター空間の内部にある任意の点から出発して、空間的な無限へと進んで戻ってこられるということだ。』。。なんじゃこりゃ。。。しかしながら、著者ブライアン・グリーンは当然理系なんだけど、ストーリーテラーでもあり、比喩表現でシンプソンズやらX-FILEやらを登場させることにより、分かりやすくかつ面白くしている。そこがブライアンの良いところ(ちなみに僕にとって「ブライアン」と言えば真っ先に思い浮かぶのは、ブライアン・バートンルイスです)。最先端理論の話は、実験で検証されていないこともあり、机上の空論という可能性もあるところがオカルト的ですな。でも最先端理論のいろんなアイデアは、文系の自分でも単純に楽しめる気がする。「暗黒物質」「暗黒エネルギー」ってアイデアは、なんかSFチックで面白そうだ。。。自分には知らないことがいろいろとあるんだなぁという事を知ることができるという意味で、楽しい本です。前著「エレガントな宇宙」も以前読むことができたので、僕はブライアン・グリーンのファンってこと。理解できないけど楽しい本ってあるんですね。
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最先端の宇宙論を日常の言葉で語られていて面白かった。 ただ、量は多いので読むのに時間がかかる。 自分にその力がないのは承知の上だが、宇宙はなぜ11次元と考えられるのか等、数式を通して書かれている内容を理解したいという欲望に駆られる。
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SFよりSF味。こんなに言葉巧みな物理学者が居たのか!って感じ。 扱う中身はこれまでの宇宙論の変遷と、最新の宇宙論。とっても硬派な中身なのに、ストーリー展開が楽しい。何度も読み返したくなる、そんな本。
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上巻は何とか、ついてこられたけれど、下巻はほとんど理解できませんでした。 それでも、現代理論物理学の最先端をかいま見る楽しさは充分。 15章のタイムマシーンの議論は非常に興味深かったです。
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上巻に比べると、下巻は理解するのが難しい点があった。上巻で舌を巻いた筆者の説明力も、量子論や多次元世界ということになると直感での理解の範囲を超えてしまっているので仕方のないところか。しかしインフレーション理論などに偏らず、最新のサイクリック宇宙論やプレーンのことなどバランスよく紹介されていて面白かった。
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まず、この本の主題である、「時間と空間」やそれを理解するための最新の宇宙論は、物理学の素養のない僕ら一般の読者には、おそろしく難解になってしまう。それは仕方のないこと。 でも、著者のブライアン・グリーンさんは、様々な例え話を交えて、数式を使わずに文章でそれを語ってくれる。確かに...
まず、この本の主題である、「時間と空間」やそれを理解するための最新の宇宙論は、物理学の素養のない僕ら一般の読者には、おそろしく難解になってしまう。それは仕方のないこと。 でも、著者のブライアン・グリーンさんは、様々な例え話を交えて、数式を使わずに文章でそれを語ってくれる。確かに難しいけれども、それでも、この分野の本としては、とても分かりやすくて、読みやすく、正確に記述されているのではと感じた。 まだ、一回しか読んでいないけれど、二回三回と繰り返して読めば、現代の宇宙論のエッセンスに触れられそう。
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下巻になって著者の専門分野に話題が移り、ますます筆も滑らか。 しかし、滑らかであるゆえのボリュームの多さはシンプルな理解を妨げる。 科学雑誌あたりにまとめてもらわないと自分には少し手強い。
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