裁判官 の商品レビュー
主人公が複数の女性にあてたラブレターを時系列順にならべている、という体裁の小説。相手側からの返信はあるようですが、作中にはでてきません。 久しぶりに鋤で掘り返すごとく、気持ちを乱された本でした。 何せ、ラブレターを書いている主人公が、ザ・女の敵というタイプの男性で、そんな人間が...
主人公が複数の女性にあてたラブレターを時系列順にならべている、という体裁の小説。相手側からの返信はあるようですが、作中にはでてきません。 久しぶりに鋤で掘り返すごとく、気持ちを乱された本でした。 何せ、ラブレターを書いている主人公が、ザ・女の敵というタイプの男性で、そんな人間が書く身勝手な文章を延々読ませられるわけです。 読了まで、不愉快な気分が止まりませんでした。 でも、です。これだけこちらの精神に作用するということは、この作品が(あるいは書き手が)それだけの力を持っているということなのかなと考えました。 ここまで腹が立ったのは山崎豊子の「大地の子」以来であることを思えば。 そして、人を裁く裁判官がやはり人の子なんだと感じ、裁判員制度には意義があるんじゃないかと思えました。 気楽に読書を楽しみたい方にはお奨めしません。 重たい本が好きな方でも、辛いのではないかと思われます。学ぶべきことは沢山書かれていますが。
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一人の裁判官が12人の女性に出し続けた79通のラブレターで綴られる、異色の小説。 主人公の独りよがりな、勝手な手紙の内容に吐き気を感じるほどだけど、この朔立木と言う作家の無限の可能性を考えると、途中で止めることが出来なかった。 「死亡推定時刻」では、ドキュメンタリータッチの小説に...
一人の裁判官が12人の女性に出し続けた79通のラブレターで綴られる、異色の小説。 主人公の独りよがりな、勝手な手紙の内容に吐き気を感じるほどだけど、この朔立木と言う作家の無限の可能性を考えると、途中で止めることが出来なかった。 「死亡推定時刻」では、ドキュメンタリータッチの小説に、現実と小説の世界の境界線が見えないほど。 続く、「深層」では深い人間の深層心理に涙、涙・・・ そして、この79通のラブレターをひたすら羅列するという、また違った手法で読ませる技巧。 今後、この作家がどんな形で、私たちに作品を提供してくれるのだろう?と思うと、ワクワクしてしまう。
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