十一番目の志士 新装版(上) の商品レビュー
★評価は読了後に。 どうやら架空の人物を使って、一通り江戸末期の人物紹介というか評価を簡単にお示ししましょうという試みのように思え。 それ故かあんまり深い話には立ち至らない感あり。まぁもともとストーリーで読ませる語る作家でないから、ある意味この程度にはなるのかもしれず。
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唯一人の長州人、という異常な緊張感と寂寥感が、どう屈折してそうなるか、晋助に自由を与えた。 自由とは、こうである。 晋助の隣りに、他家の娘が臥ている。その娘の脛を晋助は白々とめくった。 (おれは何をしようとしているのだ) と、驚いて自問したときには、自分の中に皮膜を破りちらして別の自分が誕生していることを知った。 (かまわぬ) 傲然と答える自分が、である。浮世の道徳法律(とりきめ)などはなんであろう。法律的には自分は朝敵であり、道徳的にはすでに殺人者であり、しかもなおその殺人は主義で正当化され、道徳的な罪悪感はない。さらに、 (この焼け跡の都で、おれ一人が人間の外だ。おれはただひとりで生きてゆかねばならぬ) ということがある。正体が露顕すれば当然殺されるし、殺される前に当然、相手を斃さねばならぬ生活人である。もはやこの過酷な生存条件のなかでは、道徳も法律もない。すべての人間を縛っているそれらが、晋助の心から解け去っている。 小栗は、いった。 「わしは手練手管を好まない。婦人に好かれる言葉も持たぬ。おまえが好きだと思ったから、唐突にここへよんだ。よく来てくれた」 これが、小栗の睦言らしい。
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剣の腕がたち、思慮も働く長州藩士、天童晋助が幕末の動乱の中で長州藩のために奔走する。小栗上野介暗殺を目的に江戸、京都を経て大阪で勝新太郎に危ないところを匿われるところまでの上巻。 高杉晋作、土方歳三、小栗上野介、勝海舟等幕末における重要人物との絶妙な関わりや追手との死闘、そして女...
剣の腕がたち、思慮も働く長州藩士、天童晋助が幕末の動乱の中で長州藩のために奔走する。小栗上野介暗殺を目的に江戸、京都を経て大阪で勝新太郎に危ないところを匿われるところまでの上巻。 高杉晋作、土方歳三、小栗上野介、勝海舟等幕末における重要人物との絶妙な関わりや追手との死闘、そして女性たちとの艶っぽい展開と読み手を飽きさせず、娯楽性は高い。この後も史実に沿った主人公の活躍と顛末まで興味を持って読めそう。
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1965年連載の、司馬遼太郎さんの小説。舞台は幕末。主人公は架空の人物です。珍しいですね。 司馬さんの小説の中では、「初期の終り」みたいな時期でしょうか。 # 主人公は天堂晋介。長州藩士。と言っても下層、ほぼ農奴のような出身。 この人が、実は超絶な剣の使い手。 高杉晋作に...
1965年連載の、司馬遼太郎さんの小説。舞台は幕末。主人公は架空の人物です。珍しいですね。 司馬さんの小説の中では、「初期の終り」みたいな時期でしょうか。 # 主人公は天堂晋介。長州藩士。と言っても下層、ほぼ農奴のような出身。 この人が、実は超絶な剣の使い手。 高杉晋作に見いだされ、幕末の混乱期の京都で、「長州の殺し屋」として新選組などを向こうに回して、殺人を繰り返す大活躍…という内容。 史実で、「薩摩の中村半次郎」「土佐の岡田以蔵」は「人斬り」として有名ですが、長州藩はそういう人物が伝わっていない。 そんなところに着目して書かれた小説なのでしょう。 なんだかんだと土方歳三あたりと対決を繰り返し、でも生き延びて、最後も死なずに終わる、という内容。 # 正直、司馬さんの小説としては、第1級のオモシロサ、ということはありませんでした。 その分、「架空の主人公で娯楽小説家に徹したら、司馬さんはこうなるんだなあ」というのを楽しんでしまった、という風情。 とにかく女性にもてまくる、というか、縁がとにかく多いです。 そして、あらためて史実に縛られずに書かれた感じを味わうと、ほとんど「ゴルゴ13」ですね。 もっと言うと、現代の常識的なフェミニズム感覚で言うと、女性陣が怒りそうなくらい、「男性本位」な女性像ばかりです。 まあ、実際に江戸時代で言ったらそうだったのかも知れませんが、男性主人公の都合で描かれる女性たち、という意味では、ほんっとゴルゴ13です。 それはそれで、まったりと愉しむ分には、なるほどなあ、やっぱり執筆年代も60年代だもんなあ、そして司馬さんも実はフェミニズム度は低いしなあ、と読みました。 # そして、主人公が強いわけです。剣を取ったら。 もう、とにかく強くて笑っちゃう。その意味でも、司馬さん版「ゴルゴ13」。 あんまり強いんで、どんどん「絶体絶命の危機」がきつくなるのだけど、徐々にだれてくる(笑)。 しかもその剣技が、よくわからない(笑)。 とにかく精神論みたいな気合いみたいな感じ。 時代劇ヒーローで言うと、眠狂四郎の円月殺法みたいな。「なんじゃそりゃ」な感じです。 恐らくは週刊誌連載でしょうから、終わり際なんて、「うーん、作者の方が飽きたんぢゃなかろうか」という手触りが、なんともはや、微笑ましいレベルでした。 # やっぱり、こういうの書かせたら、池波正太郎さんとかのほうが、オモシロイ。 …と、書いている司馬さんも思ったのではないでしょうか(笑)。
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長州藩の高杉晋作に見出された天堂晋助が戦国時代の遺風を残す二刀流を駆使して、幕末長州藩のために大活躍する青春小説。架空の人物ですが、巧みに史実が交えられているので、実在の人物みたいに楽しめます。
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架空の人斬りを主人公に、その他の登場人物や事件などは史実に基づいた、幕末の長州を高杉晋作と共に描く歴史ロマン。 架空の天堂と実在の高杉をを駒のように配置して当時の長州の背景を邂逅していく様は、事実と創作をうまく混ぜ合っていて司馬らしくて面白い。 最後まで架空とは思えず、実在したのではと思わされる主人公の描き方も自然すぎる。 思わず試しに調べてしまったくらい。 司馬が描く人斬りは初めてだったので新鮮だったと同時に、長州には代表的な人斬りがいなかったというのは驚き。 大河「花神」に登場していたらしい。 できれば「世に棲む日日」と併せて読みたい作品。
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フィクションの主人公 宮本武蔵の 流れを汲む 天才的な剣士 高杉晋作に会うことで 大きく 人生が変化していく。 桂小五郎、西郷隆盛、勝海舟などにであう。 自らは 剣で禍を呼ぶと思い込んでいる。 しかし、何故司馬遼太郎は この天堂晋助をモデルに書きたかったのだろう。 不思議...
フィクションの主人公 宮本武蔵の 流れを汲む 天才的な剣士 高杉晋作に会うことで 大きく 人生が変化していく。 桂小五郎、西郷隆盛、勝海舟などにであう。 自らは 剣で禍を呼ぶと思い込んでいる。 しかし、何故司馬遼太郎は この天堂晋助をモデルに書きたかったのだろう。 不思議である。 いわゆる剣客。何故天賦の剣術つかいになったのか。 その過程は 説明されない。 そして、マグアイの描写が やはり へたくそ。 通俗アクション剣術つかいの物語と言うことですね。
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新装版になっていたため、ジャケ買い 笑 天堂晋助という長州藩の架空人物の人斬りの話。確かに、明治維新前後の天誅や辻斬りの中には、長州藩の凄腕は史実としては着目されていない。薩摩、土佐の暗躍が目立つ。司馬文学の醍醐味はほんとうにこういうことがあったのかと思わせてどっぷり追体験させる...
新装版になっていたため、ジャケ買い 笑 天堂晋助という長州藩の架空人物の人斬りの話。確かに、明治維新前後の天誅や辻斬りの中には、長州藩の凄腕は史実としては着目されていない。薩摩、土佐の暗躍が目立つ。司馬文学の醍醐味はほんとうにこういうことがあったのかと思わせてどっぷり追体験させるところであると思う。まるで見てきたかのような文体は常に惹き込まれる。 また、晋助が使う剣術も二刀を礎としている凄腕なので、それもまた惹き込まれる。下巻ではどのような情景を描くのか楽しみである。
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幕末の勢いだけであれこれやっちゃう感が好きなんだけど、人切って逃げて人切って逃げてってゆーせわしない人生はいやだなぁ(・・;)
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高杉晋作に見出だされた剣豪が幕末に暗躍する話。創作とは思えぬほど主役にテロリストとしてのリアルな個性あり。
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