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ロシア文学の食卓 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2019/12/15

ロシア文学の作中に描かれる多彩な食事の風景を、前菜、スープ、メインディッシュ、デザートとコース仕立てで味わわせてくれる。 食事は人々が共にテーブルを囲む交流のひと時をもたらし、また文化や世情、地理が濃色に影響するため、食を知ることで見える背景描写が鮮明に開ける。食材や調理法が語る...

ロシア文学の作中に描かれる多彩な食事の風景を、前菜、スープ、メインディッシュ、デザートとコース仕立てで味わわせてくれる。 食事は人々が共にテーブルを囲む交流のひと時をもたらし、また文化や世情、地理が濃色に影響するため、食を知ることで見える背景描写が鮮明に開ける。食材や調理法が語る当時の国民生活や政治情勢も読み取れるように、文化(食も勿論だが、言語や宗教なども)への造詣を深めていきたいと思った。 旅行した時は冷静スープのボトヴィーニヤと、スパイスが効いた蜂蜜のお菓子プリャーニクを食べてみたい。

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2019/02/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ロシア文学に描かれている料理から ロシア料理について紹介していく内容。 谷崎潤一郎の『細雪』のロシア人にご馳走になった 場面を話すシーンの説明から始まる。 「フルコース」とはてっきりフランスのものかと 思っていたけれど、実はロシアからフランスに 伝えられたもの、だったり、ロシア人は大食家で、 ピロシキはつまみ(前菜)であり、スープ、 メイン、デザートを食べる。 社会主義から生まれた「公共食堂」 収容所の食事、飲み物のクワスなどに ついても書かれている。 白鳥の丸焼き(メイン)、が贅沢だったそうで 食文化博物館の写真が載っているんですが 白鳥が丸焼きではなく、剥製?の白鳥が どーんとお皿に載っています。。

Posted byブクログ

2015/02/25

前菜からお腹いっぱいになりそうなロシア文学における料理のシーン。スープの肉のあるなしが貧富の差を表すというのも万国共通。本を読むきっかけにしたい。 コース料理はもともとロシア発祥で、フランス料理はテーブルいっぱいに料理を並べるのが豪勢にみえて良しとしていたのに対し、温かいものが冷...

前菜からお腹いっぱいになりそうなロシア文学における料理のシーン。スープの肉のあるなしが貧富の差を表すというのも万国共通。本を読むきっかけにしたい。 コース料理はもともとロシア発祥で、フランス料理はテーブルいっぱいに料理を並べるのが豪勢にみえて良しとしていたのに対し、温かいものが冷めないように出来たてを給仕が順番にサーブするというの はロシアで改良された手順ということだ。おおう。 また著者は谷崎の『細雪』をとりあげ、堅実な幸子を近隣に住むドイツ人に、奔放な妙子を豪快なロシア人に関連づける。「ああ、そういうシーンあったあった」とニヤリとさせられる読書の醍醐味。こういう考察はとても楽しい。(ロシア関係ないですけれど、細雪には家族でローマイヤに食事に行くというシーンもありますね。今でもあるドイツ料理の店) 著者は『亡命ロシア料理』の翻訳者の奥様ですね。

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2013/12/28

食一つから広がる世界。とくにロシア文学のなかの「食」にはさまざまな意味が込められているのだなぁと。プリャーニクというお菓子、はじめて知った。

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2011/06/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 難解で深遠なイメージがつきまとうロシア文学。 だが、実際はけっして暗く重苦しいものではない。 即物的な「食」「料理」という観点に注目してみると、さまざまな食事風景が描写されてきたことに気づく。 皇帝の豪華な晩餐に、素朴だが家族で囲む食卓…。 食卓に現れる料理の数々は、ロシアの多様な地域性、宗教、ときには時代背景や思想をもわれわれの眼前にうつしだす。 ロシア文学を、「食」というプリズムをとおして読みなおし、その多彩な世界を浮かびあがらせる、味わい深い一書。 [ 目次 ] 第1章 前菜 第2章 スープ「第一の料理」 第3章 メイン料理「第二の料理」 第4章 サイドディッシュ 第5章 デザート 第6章 飲み物 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2013/06/18

ロシア文学に登場する「食」に関する解説のような本。 ロシア文学を読むときに、参照しながら読むと理解が深まるのではと思います。 ロシア料理が懐かしくなりました!

Posted byブクログ

2009/10/04

著者:沼野恭子(NHKブックス・1218円) 評者:井波律子 2009年2月22日(日) 今週の本棚より サブタイトル:死に連なる過剰な食欲の危うさ ※ この書評の原文は、こちらで読めます。 古代ローマの国父と言われたキケロの名言として、  「食べるために生きるな。生き...

著者:沼野恭子(NHKブックス・1218円) 評者:井波律子 2009年2月22日(日) 今週の本棚より サブタイトル:死に連なる過剰な食欲の危うさ ※ この書評の原文は、こちらで読めます。 古代ローマの国父と言われたキケロの名言として、  「食べるために生きるな。生きるために食べろ。」 というものがある。 一般に、食べること=食欲は、性欲、睡眠欲と並んで、本能の 三大欲求と称される。 それらが、人間の原初的行動に根付いたところからくる欲求で あればこそ、それらを生きることの主ではなく従とすることが、 人間としての精神の発現であるということが、キケロの真意だろう。 一方。 人間も動物である以上、マズローに示唆されるまでもなく、 まずそれらが充足しないと次のステップに進めないことも また、事実である。 些か大上段に構えるならば、人間の歴史はそれら欲望の充足 との戦いの歴史であるが、富や自然の恩恵が世界では決して 普遍ではなく、偏在していることから分かるように、世界の 各地域における食文化や性文化は、その外部環境のもたらす 影響を受けて、実に多様な特性を示している。 それでは、酷寒の地ロシアでの食文化とは、如何なるもの なのか…。 前振りが長くなってしまったが、この作品。 表題のとおり、ロシア文学における食事の情景を通じて、 「ロシア文学ひいてはロシア人の特性を鮮やかに浮き彫りにする」 ものである。 著者は本書の構成にも工夫を凝らしていて、 「前菜、スープ『第一の料理』、メイン料理『第二の料理』、  サイドディッシュ、デザート、飲み物と、全六章仕立て」と なっている。 それらの章を通じて紹介される、ロシア文学における食事の シーンは、これでもかとばかりのボリューム感に満ちている。 そこに繰り広げられるあくなき食宴の情景から、著者は ロシア人の食への欲求が、時としてその過剰感から死を 予兆させる程のものであるであると主張する。 そして、ロシア文学における食の基本的な主調が、その 過剰性にあると喝破する。 このことは、実際のロシア人の食生活と照らし合わせて見ると 面白い。 現実には、ロシア人の食生活は長らく続く冬の影響もあり、 ボリューム感はともかくかなり質素なものだという。 長期に渡る寒季は、勢い保存食中心の食生活を庶民にもたらす。 このことは、流通機構が進化してきた現在となっても、 文化の根底を培うものとして存在し続けている。 更にもう一つ。ロシア人の精神を形作る上で重要な要素となって いるのが、ロシア正教である。 ロシア正教は、先に述べたロシアの実生活とも呼応したのかも しれないが、断肉週等の食事に何らかの制約をもたらす日々が、 一年のうち200日にも及ぶという。 そうしたつましい生活を送っていたロシア人が、せめて文学の 中では豪華絢爛たる食卓を堪能するために、ロシア文学における 食事の情景が過激になっていったと考えることは、うがち過ぎ だろうか? ともあれ。 本書で紹介された、数々の文豪の手による食卓の風景。 氷点下は遥かに下回る過酷な屋外から帰宅し、凍え切った体に ウオトカを流し込んで胃から喉を焼いた後に、じっくりと暖炉の 火で煮込んだボルシチを家族で食する。 そこからは、まるでボルシチやシチ(キャベツのスープ)、 ピロシキの香りが鼻腔をくすぐるかのようだ。 そんな本書を、評者は最高の言葉で礼賛する。 以下、引用して、このコラムを締め括ろう。 「読み終わるや、引用されているロシアの小説が読みたくなり、  ロシア料理が食べたくなる魅力あふれる一冊である。」 ※ 現代ロシアにおける食生活については、佐藤華緒理さんの   HPを参照しました。   有難うございました。

Posted byブクログ