ベンジャミン・バトン の商品レビュー
フィッツジェラルドのミステリーな作品、七篇。 「ベンジャミン・バトン」 ブラッド・ピットさん主演で映画化もされた作品。フィッツジェラルドの作品だったと知らなかった。しかも短編だったとは。 老人の姿で生まれて赤ん坊の姿で死ぬ、数奇な運命に生きた男バトン。 老人の姿といっても大きさ...
フィッツジェラルドのミステリーな作品、七篇。 「ベンジャミン・バトン」 ブラッド・ピットさん主演で映画化もされた作品。フィッツジェラルドの作品だったと知らなかった。しかも短編だったとは。 老人の姿で生まれて赤ん坊の姿で死ぬ、数奇な運命に生きた男バトン。 老人の姿といっても大きさは赤ん坊で、要するにシワのある赤ん坊と思っていたら、読んでみると老人が大人の大きさで生まれたようで、お母さんは産むときは大変だろうなと思った。産みの苦しみなんてものじゃない。 老人とはいえ自分より大きいだろう男をお腹に入れていたわけで、どういうシステムでお腹に入っていられて出てこられたのだろうと思う。ちょっとしたツッコミどころではある。 物語自体は淡々と残酷に進む。 「モコモコの朝」 少し怖いような作品の中ではかわいらしい作品。 「最後の美女」 「グレート・ギャツビー」に出てくるデイジーのような女性が出てくる。こういう女性は自分で自分の魅力に気づかず周囲を掻き回すタイプではなく、自分の魅力を十分あるいは過大に認識しているタイプで、計算された言動と態度で周囲を翻弄する。下手をすると痛々しい、友人なら苦笑して見守るようなひとだ。 フィッツジェラルドはこういう華やかで男性を惑わせる小悪魔な女性が好きなのじゃないかなと思う。 「異邦人」 ラストで何となく恐怖を残す作品。 他に「レイモンドの謎」「ダンス・パーティの惨劇」「家具工房の外で」が収められている。 フィッツジェラルドは「グレート・ギャツビー」以外は余り知られておらず、どちらかというと私生活に注目のいく作家だったが、短編も面白く他の作品も探して読んでみたい。
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フィッツジェラルドの中でも、ミステリーとかそういった類のものをコンセプトに集めたらしい。 発想の書き留めと言ったらいいだろうか。一瞬目の前に現れた景色をすぐさまペン一本で書き上げたラフなスケッチみたい。自己完結せずにこれから新しい拡がりをみせてくれそうな、そんな物語の数々。 ベン...
フィッツジェラルドの中でも、ミステリーとかそういった類のものをコンセプトに集めたらしい。 発想の書き留めと言ったらいいだろうか。一瞬目の前に現れた景色をすぐさまペン一本で書き上げたラフなスケッチみたい。自己完結せずにこれから新しい拡がりをみせてくれそうな、そんな物語の数々。 ベンジャミン・バトンは、時間という概念を疑いつくしたものだと感じた。この宇宙、存在というものは、時間とは独立して在るもの。だが、時間とは独立しているにもかかわらず、肉体をもって時間の中で生きているのがこの人間。そして、時間は流れるものとして過ぎては消えていく。そこに、もし、その流れが逆になって生まれてきてしまった存在がいたら…生まれながらに死んでいる状態で、死にながら生まれていく状態なら… これを数奇と呼ばずになんて呼んだらいいのか。それでも、彼はベンジャミン・バトンなのである。生死とは誰にとっても数奇なものだ。存在そのものが、数奇なものだ。 レイモンドの謎やダンスパーティの悲劇、異邦人はフィッツジェラルド自身の試行錯誤の道の途中にあるものだと感じる。ひとが死ぬ、そのことをへたな理由をつけて掘り下げずに、それを見る観察者を通じて移りゆく。 最後の美女は、消えてゆく名残りを求めて立ち尽くす感覚を呼び起こしてくれる。さびしさと言ってしまえば失われてしまう。懐かしさと言っては美しすぎる。文学はいつもそういう限界を求めてやまない。 モコモコの朝に家具工房の外では、絵本を開いているようなまなざしを感じる。想像の不思議は、絵本のような物語でなければ、伝えることが出来ない。 人気の絶頂であろうと、転落した時であろうと、いつだって気取らず、等身大であろうとするフィッツジェラルドの物語は、ことばと共にあろうとする彼の生き様を強く映し出してくれる。
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表題作のベンジャミンバトン。思った以上に短い物語だった。死ではない、生まれる前に戻る描写が奇妙で、でも納得できる気がした。フィッツジェラルドらしい作品は、ベンジャミンバトンよりも、やはり男女の哀しい物語かな?
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映画、、ベンジャミン・バトンを観ました、まぁまぁよかった。そして原作がギャッツビーの人だと知り(てかギャッツビー読んでないけど)読んでみました。 短編なのですぐに読破。そして映画とは、、、ベンジャミンが奇異な生まれ方をしたって設定が同じだけでストーリー展開は全く違い、原作っていう...
映画、、ベンジャミン・バトンを観ました、まぁまぁよかった。そして原作がギャッツビーの人だと知り(てかギャッツビー読んでないけど)読んでみました。 短編なのですぐに読破。そして映画とは、、、ベンジャミンが奇異な生まれ方をしたって設定が同じだけでストーリー展開は全く違い、原作っていうより、原案って感じ? 映画の方がよかったかなぁ? だって、こちら小説版ではベンジャミンの最初の言葉が生後6時間ほどで「あんたがわしの父さんかい?」って、、何かこわ~~い!!
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普段外国の小説を読まないけど、友人が間違って2冊買ったとの事でもらってしまったこの本。 読んでみた感想としては、うーん、自分にはよくわからなかったかな。 訳の問題なのか、文化的背景・時代的背景が把握しづらかったからなのかは分からないけど、読みにくかった。 表題のベンジャミンバト...
普段外国の小説を読まないけど、友人が間違って2冊買ったとの事でもらってしまったこの本。 読んでみた感想としては、うーん、自分にはよくわからなかったかな。 訳の問題なのか、文化的背景・時代的背景が把握しづらかったからなのかは分からないけど、読みにくかった。 表題のベンジャミンバトンも、本当にただただ奇妙なだけに思えてしまった。
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こんなに短い話だとは思わなかったです! 映画で観たときは、とっても内容が濃かった気がするのですが、、、 原著で読むとまた違うかな?
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…人生は夢であると感じたことはないだろうか。 老人の姿で生まれ、年を経るごとに若返っていくー。 周りと逆行した人生を送った男の哀しく数奇な物語。 *** いつかの話題作。 深みをつければいくらでも哀しみや美しさを強調できそうな、人を感動させられそうな、そんな題材をも...
…人生は夢であると感じたことはないだろうか。 老人の姿で生まれ、年を経るごとに若返っていくー。 周りと逆行した人生を送った男の哀しく数奇な物語。 *** いつかの話題作。 深みをつければいくらでも哀しみや美しさを強調できそうな、人を感動させられそうな、そんな題材をもってしてその描き方はあまりに淡白。 人生のどこかにスポットをあてることもなく、最初から最後までほぼ同じ速度でベンジャミンは若返り、その生涯を終えるのです。 あっけなくて物足りなさを感じる反面、描きすぎていないところを素敵だとも思えたり。不思議ですね。 私は、好きです。
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初読。 映画の原作を読もうと買ったけど、何年か放置していた作品。多分、全体的に理解が浅い。 今回読んでみたら映画と原作は全くの別物だと分かった。 「レイモンドの謎」が13歳のときの作品というのはすごいと思う。 全体的に影がある印象。暗いというのとは少し違う感じ。 この短編...
初読。 映画の原作を読もうと買ったけど、何年か放置していた作品。多分、全体的に理解が浅い。 今回読んでみたら映画と原作は全くの別物だと分かった。 「レイモンドの謎」が13歳のときの作品というのはすごいと思う。 全体的に影がある印象。暗いというのとは少し違う感じ。 この短編集の中では「ダンス・パーティーの惨劇」と「家具工房の外で」が個人的に良かったかも。
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フィッツジェラルドの世界が少しわかってきた。南部を舞台にした「最後の美女」、海外で享楽を続けるうちに虚しさを感じていく夫婦の話「異邦人」などが好きだ。
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映画の原作となった表題作が短編だったのには驚いた。翻訳の文体がなじまなかった。 登場人物の名前が覚えられないので、ストーリーを辿れないようなありさまになってしまう話もあった。情景の描写もほとんどなく、とてもあっさりとストーリーを追ってばかりいるようで、奥行きが感じられなかった。
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