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肩胛骨は翼のなごり の商品レビュー

3.9

54件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    14

  4. 2つ

    2

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2024/10/03

児童書と categorizeされていたけど、十分内容の重い話だった。テーマはしっかりしているのに、ノスタルジックで不思議な魅力のある本だった。 深掘りしたい、記憶しておきたい考え方がいくつかあった。

Posted byブクログ

2024/08/17

とても好みなのだがさいごがあまりにあっさりしすぎている気がして、いや、でもこのくらいでいいのかな、もんもんもんとしてしまうため星をひとつ減らしております。 ばか安くてうまいイタリアンチェーン店がメニューを番号で注文するようになったとき、思い出してざわざわするくらいには血肉になって...

とても好みなのだがさいごがあまりにあっさりしすぎている気がして、いや、でもこのくらいでいいのかな、もんもんもんとしてしまうため星をひとつ減らしております。 ばか安くてうまいイタリアンチェーン店がメニューを番号で注文するようになったとき、思い出してざわざわするくらいには血肉になっているようです。 うましかて!

Posted byブクログ

2024/05/21

肩甲骨は翼のなごり、タイトルと同じように素敵でノスタルジックな物語だった。 妹の赤ちゃんのか弱さを子供ながらに感じ取り、無事を祈り、守りたい、と切に願うマイケルの姿が胸にじんと沁みた。スケルグの正体は最後まではっきりとは明かされなかったけど、そして私が想像していた天使とは見た目は...

肩甲骨は翼のなごり、タイトルと同じように素敵でノスタルジックな物語だった。 妹の赤ちゃんのか弱さを子供ながらに感じ取り、無事を祈り、守りたい、と切に願うマイケルの姿が胸にじんと沁みた。スケルグの正体は最後まではっきりとは明かされなかったけど、そして私が想像していた天使とは見た目は違ったけど、でも想像通りの純真な心の持ち主だった。この一冊を読んで心が洗われたように感じる。うまし糧〜( ´˂˃` )

Posted byブクログ

2023/05/25

古ぼけた空き家に家族が入る。リフォームにとりかかる。ガレージには謎の存在がいる。その事に主人公は気づく。 ところで、例えば以下のようなフレーズに初めに出会ったらこれが児童文学と信じて疑わなかっただろう。 「ぼくはサッカーで大活躍した。ぼくからボールを奪えるやつはひとりもいなかった...

古ぼけた空き家に家族が入る。リフォームにとりかかる。ガレージには謎の存在がいる。その事に主人公は気づく。 ところで、例えば以下のようなフレーズに初めに出会ったらこれが児童文学と信じて疑わなかっただろう。 「ぼくはサッカーで大活躍した。ぼくからボールを奪えるやつはひとりもいなかった。敵のあいだをたくみにすり抜け、ドリブルし、跳びあがる。タックルをかわし、ヒール・キックでボールを味方に渡す。ヘディングでゴールを決め、ネットの隅に曲がって入りこむロングシュートを決めた」 しかし、実際はそのような単純な話では無い。 タイトルにあるとおり、肩胛骨が翼の名残だとしたら。誰しも天使の翼の生え際を不遜にも想像したことがあるのではないだろうか。それを実際に仮定して、即ちイデアとしてある、天使と、人間としての身体を持つ人間との、概念的な矛盾の相剋を題材のひとつとしている。 「でも、神話って真実に近いんじゃないかしら。周囲を見まわしてごらんなさい、マイケル。雛たち、花々、まぶしい陽光。わたしたちのまわりに見えるものは、みんな、ペルセポネがもどってきたのを歓迎しているみないじゃない?」 6羽の翼を持った存在が語られる。家がなくガレージに蜘蛛などと住む痩せこけたホームレスであり、しわくちゃな翼をもつスケリグ、と主人公マイケルの妹──これも翼のイメージと語られる──と2羽のフクロウの番い、2羽の雛、これらの命が並列して語られる。この並列状況は、どのようなことを意味するのか?最後にはミナに翼があることが錯視される。 これはなんだろう。世界に羽ばたいていく、人間の希望というのを示しているのではないだろうか 「想像してごらんなさい」ミセス・マッキーはいった。「もしすべての種が育ったら、世界にはザクロの木以外なにも育つ余地がなくなってしまう」 天使の羽というのは、「鳥のつばさみたいのじゃなく」、「透明で、あわあわしていて、よく見えないんだけど、でも、確かに翼だった」 一応、解説で、筆者自ら「初めての児童書」と言っていることから、児童文学とジャンル分けすることにする。この作家がレイモンド・カーヴァーから、影響を受けていたということをが、驚いた。

Posted byブクログ

2022/11/18

どこかで書評を見て、珍しく手を出した翻訳もの。しかし良かった。 ジャンルとしては児童書に入るらしく、200ページに満たない薄い本ですが読み応えがあります。 倒壊寸前のガレージの片隅に居た不思議な人物。重度のリューマチで動けないが背中には羽が生えてる。天使? 彼の世話をするのが、そ...

どこかで書評を見て、珍しく手を出した翻訳もの。しかし良かった。 ジャンルとしては児童書に入るらしく、200ページに満たない薄い本ですが読み応えがあります。 倒壊寸前のガレージの片隅に居た不思議な人物。重度のリューマチで動けないが背中には羽が生えてる。天使? 彼の世話をするのが、そのガレージがある家に引っ越してきた少年・マイケルと隣家の少女・ミナ。 心臓疾患を持つ生れたばかりの妹のことを思い続けるマイケルと、重圧故に時には少年につらく当たるが基本的に善良な両親。 学校は、好奇心、創造性、知性を抑圧するという考えの元、母親による家庭教育だけで個性的に育つミナ。 そして蜘蛛や蠅、時にフクロウが持ってくるネズミなどを食べ、口は臭く、背は高くガリガリに痩せて、皺だらけだけど若いらしい天使・スケリグ。 少年の純粋な想いを中心に、個性的な登場人物達が上手くまとわって、読んでいてとても心地良い物語でした。 原題のSkelligをネット辞書・Weblioで調べたら「『肩甲骨は翼のなごり』は、デイヴィッド・アーモンドによる児童文学」と書かれてました。その位有名な作品のようです。(実際的には、修道院や初期キリスト教遺跡群が残るSkellig Michael=ミカエルの岩というアイルランドの島の名前から採られた物語の中の天使の名前) ...カーネギー賞/ウィットブレッド賞受賞。 デイヴィッド・アーモンドの作品は他にも図書館に沢山あるようなので、もう少し読んでみようと思います。

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2022/07/30
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良質なジュブナイル。邦題も良いです。 マイケルとミナを始め、子どもも大人も生き生きとしてるな…と思ったら翻訳が「スタンド・バイ・ミー」と同じ訳者さんでした。 不可思議な存在のスケリグ、人なのか鳥なのかはたまた天使?というのが深堀りされてなくて良かったです。詳しく調べ始めると興醒めしてたと思うので。想像の余地が多くて好きでした。 マイケルとミナがスケリグを好きでせっせと交流してるのが描かれて微笑ましい。甘し糧!!中華料理を番号で注文するのもお酒が減ってるのもアスピリンが無くなってるのもそれ程問題にならずおおらか。 鳥の生態も面白かったです。フクロウとブラックバード。 あかちゃんとスケリグの病室のシーンも良かったです。あかちゃんが召されなくてほっとしました。すくすくと育ってほしい、マイケルとミナも。

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2021/07/10

(あらすじ) マイケルは両親と生まれたばかりの赤ちゃんと一緒に新しい家に越して来た。家は古くとうさんが壁や床を直している。庭には今にも崩れそうなガレージある。とうさんから危ないから入ってはいけないと、さんざん言われているのにも関わらずマイケルはガレージに入ってしまう。 ガレージ...

(あらすじ) マイケルは両親と生まれたばかりの赤ちゃんと一緒に新しい家に越して来た。家は古くとうさんが壁や床を直している。庭には今にも崩れそうなガレージある。とうさんから危ないから入ってはいけないと、さんざん言われているのにも関わらずマイケルはガレージに入ってしまう。 ガレージの中には痩せ衰えて埃まみれの〈彼〉がいた。彼は自分の事を話してくれない。でもマイケルには彼が死にかけているのがわかり、何とかしたいと思う。同じ頃赤ちゃんの具合が悪くなって入院する。マイケルは赤ちゃんの事も心配でならない。 隣の家に住む女の子は学校へ行ってない、ちょっと風変わりな子だった。やがてマイケルはその女の子、ミナと友達になり、二人で協力して彼を助けだそうと試みる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1998年にその当時大ブレイクしていた『ハリー・ポッターと賢者の石』を抑え、カーネギー賞とプリンツ賞の児童書部門をダブル受賞したそうですが、読んでみると納得です。ハリー・ポッターは確かに面白いけど、エンタメの域を出ていない。けれど、この作品はファンタジーの要素は入っているけれど、やはり文学だと思えます。 隣家の少女ミナが、『テレビシアにかける橋』のレスリーに通じる個性的でたくましい魅力的な女の子です。ミナのほうがレスリーよりもタフで芯が強い。この子を主人公にした前日譚があるようなので、そちらもいずれ読んでみたいです。 ミナは子どもだけど大人以上にしっかりしているし、〈彼〉はたぶん大人だろうけど子どもっぽい所がある。マイケルのお父さんやお母さん、学校の先生やお医者さん達、みないい人ではあるけれど大人達がそれぞれちょっとだけ子どもの部分や弱いを持ち合わせている。その辺のリアルさがエンタメを越えていると思えた。 [国際アンデルセン賞受賞作家 29/35]

Posted byブクログ

2021/05/12
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引っ越した家のボロボロのガレージで、僕は彼を見つけた。リウマチの体はガチガチで、虫とほこりで真っ黒の彼。僕は彼のことを父さんにも話さないことに決めた。 生まれたばかりの体の弱い妹、不思議なしっかり者の隣の家の女の子、懐かしい学校の友だち。 やがて物語がゆっくりとステップを踏みはじめる。 孤独はひとりぼっちなのではなくて、透明な膜に包まれているようなものなのだなと思った。見えているのに、そこにいるはずなのに。 手を伸ばして触れあえたから、何かが変わったんだろう。進化なのか、奇跡なのか。 タイトルと表紙イラストで、ずっとSFと思いこんでました。が、読み始めてみるともしやミステリー?いえ、ジュブナイル小説でした。

Posted byブクログ

2021/05/05
  • ネタバレ

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読後感の良いファンタジーで一気に読めた。 元々はジブリの『ハウルの動く城』の「旨し糧」の元ネタということで読んでみたのであったが、登場人物(ミナや主人公やその家族)も魅力的で、話も続きが気になるような面白さがあり、楽しく読めた。 サイドストーリー(?)の『ミナの物語』も気になるのだが、いかんせん文庫じゃないのでそれなりに高いという。。 https://amzn.to/3nMt5iS https://twitter.com/ghibli_world/status/1377963546097577988

Posted byブクログ

2021/03/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この本を読むと不可思議を感じる子供心をとっくに失ってしまったのだろうかと思う。 マイケルが引っ越してきた家には倒れそうな小屋があった。扉をそっと開けて中に入っていくと隅に何か生き物がいた。座ったままで動けないらしい。蜘蛛の巣やほこりをかぶって彼は虫やネズミなどを食べて生きているようだ。苦しそうなので背をなでると背中に不思議な盛り上がりが二つあった。彼は口をきいた。 「なにが望みだ」 汚れて死にかけているようなこの人には食べ物と薬がいる。 隣にミナという女の子がいた。学校には行ってないで自由に暮らしていて、勉強はお母さんに教わっているという。 ミナと二人で彼を空き家に移して、話をする。こっそり夜様子を見に行ってみると、彼の背中に翼があった、三人で手をつないで踊っているとミナとマイケルの背中にも、月に照らされた翼が見えた。 ミナは学校に行ってないが子供らしい中にも柔らかい心と知恵でマイケルに様々な影響を与える。子供の心だけが見ることができる不可思議なものに満ちた世界を、マイケルにも気づかせる。 ミナが質問するとマイケルは言葉に詰まる。「あんた鳥、好き?」「わからない」「ハ!典型的」「ブラックバードの色は」「黒」「典型的」 彼女はありきたりの知識を典型的という。 マイケルの妹は命の灯が消えそうな心臓病の赤ちゃんで、彼は心配でならない。お父さんもお母さんも一喜一憂して病院に通っている。 お母さんは赤ちゃんの心臓手術の後、そっと抱き上げる翼のある男の人を見た。不思議な夢だった、と思う。 手術が成功して赤ちゃんが退院した。危険な小屋は取り壊され、そこで元気に遊ぶ赤ちゃんの庭ができるのだろう。 読後に失ってきた様々な不可思議を感じる心について。その中にある祈りの心について。 学校の教育につて、 なかでも、学校に行っていないミナののびのびとした暮らしと彼女とお母さんが声を合わせて歌うウィリアム・ブレイクの詩について。 両親の心が、赤ちゃんにばかり偏っていないかと、マイケルを気遣いいたわることについて。 教育の典型について。知識と経験と環境について。 奇怪な男が少しずつ元気になり、「名前はスケリク」と教えたことについて。 第一声が「何が望みだ」といったことについて。 作者は美しい感動的な物語の中にたくさんの意味を込めて、これを書いたことだろうと思う。 うちのあかちゃんも翼を持ってたと思う?」 ええ、ぜったい翼を持っていたと思うわ。よく見てごらんなさい。ときどきかあさんは、あの子はまだ天国を離れきっていなくて、この世にちゃんと降り立ってないんだと思う」 母さんは微笑したがその目は涙ぐんでいた。「だからこそ、この世にとどまるのに苦労しているのかもしれないわ」 お母さんはそういった。でもあの夜あかちゃんを抱きあげて慈愛に満ちた目でじっと見つめ、どこかに消えていったスケリクのことは夢だと言っていた。

Posted byブクログ