男女の怪 の商品レビュー
アガワさんの理解力と聞く力がすごい。養老さんの高次元の言葉を庶民レベルに噛み砕いてくれて、養老さんに次の具体例を促すような相槌がさすがだった。 男と女について生物学的に分析された話。考え方の違いも、生物学的に説明されると納得せざるを得ないような感覚になった。 自分は女だけど、興味...
アガワさんの理解力と聞く力がすごい。養老さんの高次元の言葉を庶民レベルに噛み砕いてくれて、養老さんに次の具体例を促すような相槌がさすがだった。 男と女について生物学的に分析された話。考え方の違いも、生物学的に説明されると納得せざるを得ないような感覚になった。 自分は女だけど、興味や目指したいと思う方向性は男の思考に似ているような。家庭を持ったらまた変わるのなかぁ。 ▼以下記録 女性の地位は都市化するほど低くなる 女性は月経と妊娠、出産が新体制に出る。隠すことができない。ところが、都市化と言うのは意識の世界だから、やむを得ない身体的なものが露呈するのは下等となる。 言葉も遺伝子も情報。ところが、人間は遺伝子じゃない、情報じゃない、言葉でもない。細胞が遺伝子を使う。細胞の集団であるのが言葉を使う。脳味噌対言葉の関係は、細胞対遺伝子と言う関係と同じなんです。それが情報誌とシステムと言うこと。システムと言うのは脳であり細胞で、情報とは言葉であり遺伝子であると。 動物は個々のものを見る。体験とか経験とか感覚って常に個々でしょう。それを同じものとして普遍化していくのが人間。都会はその普遍化したものの上に乗っているところ。だから、日本人は感性と言うものが衰えてくる。さまざまに違うものを分類してまとめてしまう。 最近は形容詞や副詞がものすごく減ってきている。それは感覚を言葉にしていくと言うこと、実は創造、と言うことなんです。様々なものから自分が与えられたことを何とか共通の言葉に戻すってきう作業がまさに創造で、それをやるのが文学だから、文学は創造的な仕事だった。
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ブログに掲載しました。 語りの名手養老孟司とインタビューの名手阿川佐和子。内容はいつもの養老節で、男と女、自然と人間、無宗教という宗教、無思想という思想など、阿川の絶妙の合いの手を得て、楽しげに語っていく。 終わり近くに、なにそれ、という養老の言葉が発せられる。 「人間って非常に...
ブログに掲載しました。 語りの名手養老孟司とインタビューの名手阿川佐和子。内容はいつもの養老節で、男と女、自然と人間、無宗教という宗教、無思想という思想など、阿川の絶妙の合いの手を得て、楽しげに語っていく。 終わり近くに、なにそれ、という養老の言葉が発せられる。 「人間って非常に悪い癖があって、考えたものをつくろうとするんですね。考えるだけじゃ満足できない。」 「そうすると、人間が最初に考えてつくりだしたもののひとつが神でしょう。だから、それもいずれ実現するんです。」 怖いね。 遺伝子操作、クローンなど、現代科学が向かっているのは、「そういう人」をつくること。 これ本当なんだろうか。 科学は神をつくろうとするー怖い予言だなあ。
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養老孟司の知識量に驚きですッ 都市化した社会は男性中心になる。なんか、都市化は人間の生活を歪めてしまってるんだなぁと思った。ホモサピエンスとしてのだけどね・・ 日本が社会主義的な民主主義を確立できたのは、自然と人間の関係が対等だから。 科学と宗教は同根。宗教のキツさから逃れ...
養老孟司の知識量に驚きですッ 都市化した社会は男性中心になる。なんか、都市化は人間の生活を歪めてしまってるんだなぁと思った。ホモサピエンスとしてのだけどね・・ 日本が社会主義的な民主主義を確立できたのは、自然と人間の関係が対等だから。 科学と宗教は同根。宗教のキツさから逃れるために科学をした。 日本人の無思想の思想: 中国人はどこででもチャイナタウンを作り自分の国のものを食べる。しかし日本人はそこの食べ物を自分なりにアレンジして食べる。他国からすると理解しがたいが、これは日本人が持っている自信からくる。 ◆◆◆ 体験・経験・感性を普遍化して共有していくのが人間。その上に乗っているのが都市。 感覚を言葉にするのが創造で、つまり本来は普遍化することが創造だった。現在は普遍化したものが多く、感性が衰えている人が多い。 皆の感想が、『すごい!』だったとしたら、言い変えるとそれは普遍化されてて、同じになっている。(本来、すごいの後には何か付くんだろうけどね・・) 普遍化とは、 例えば目の前にあるリンゴとナシを、果物と呼び、次に食べ物と呼ぶようにラダーアップしてく事。究極まで上げると神になり、それが中世ヨーロッパの時代。 ルネッサンスは、万物が違うという世界の復活。つまり感性の時代の再来。 ◆◆◆ 面白いッ!! とにかく体験してく事なんだな。普遍化されててはならん!ってね
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-それを受け止めた人間には、「自分の力で考えろ!」と示唆なさっているのである。私は決心した。あとは読者諸氏の脳みそに判断をまかせよう。わかるでしょ?- 養老氏の博学ぶりというか天才ぶり?に恐れをなすとともに、養老氏がとってもかるーく、脳みその屁、なかんじで話す放言を、受け止める...
-それを受け止めた人間には、「自分の力で考えろ!」と示唆なさっているのである。私は決心した。あとは読者諸氏の脳みそに判断をまかせよう。わかるでしょ?- 養老氏の博学ぶりというか天才ぶり?に恐れをなすとともに、養老氏がとってもかるーく、脳みその屁、なかんじで話す放言を、受け止める阿川さんも偉い。下手な飲み会いくより、飲み会いったつもりで、この本を読むといいかも。トリビアはそこここに満載なんだけど、受け止める側が問題でね、多分、忘れちゃうんだろな。
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週刊文春で阿川さんが毎週対談を掲載されているという経験値の高さと、解剖学者として脳と身体性の関係から都市と人間生活の変遷を学術的見地から喝破する養老先生の掛け合いの絶妙さといったら、これに勝るものはないかもしれませんね。 なにしろ対談の中で話題に取り上げられるトピックの広さに...
週刊文春で阿川さんが毎週対談を掲載されているという経験値の高さと、解剖学者として脳と身体性の関係から都市と人間生活の変遷を学術的見地から喝破する養老先生の掛け合いの絶妙さといったら、これに勝るものはないかもしれませんね。 なにしろ対談の中で話題に取り上げられるトピックの広さに驚かされます。恋愛と結婚、愛情表現としての言葉(=遺伝子=言霊?)、男性の口べた、霊長類における生殖行動とペニスの大きさとの関連性、三原色(人間)と四原色(鳥)の世界観、都市化と自然、男の乳房、社会主義的民主主義と日本の自然との関係性、私(わたくし)と個との間にある相似と差異、などなどです。 上のような一見、社会学的なトピックと生物学的トピックが乱雑に上げられているようで、この二人によって語られると不思議と関連性が見えてきてしまうのです。しかもそれにはバッサリ感にも似た爽快さという麻薬のような甘美さを秘めた危険で魅力的な断定がちりばめられているのです。なので、なるほど!と膝と打つ一方で本当にそうなのかい?と懐疑的にならないとそのまま心にストンとおさまってしまいそうです(笑)。 一見複雑に見えて、それを前に考えることを止めてしまいそうになることもありますが、複雑に見せられているだけで実は根本を見抜く方法をすこしでも知り得ていれば、既成事実に屈服せずに思考しつづけることができるのではないかな?その点でお二人の対談集は面白かったです。後半において、養老氏が日本人が長い歴史とをかけて身につけてきた「無思想の思想」について話をする場面があります。 どういう巡り合わせかわかりませんが、この本を借りる少し前に本屋さんでブースが出来ていた岩波書店のフェアで丸山真男氏の著作『日本の思想』を買ったのでした。思想つながりで次はこの本に向かうこととしましょう。
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