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子供たちは森に消えた の商品レビュー

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23件のお客様レビュー

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2023/01/07

ロシアの殺人鬼、アンドレイ・チカチーロが逮捕されるまでのノンフィクション。 色々な意味で凄まじい……。

Posted byブクログ

2020/07/22

ソヴィエト連邦体制崩壊直前の1982~1990年にロストフ州を中心に発生した連続殺人事件を扱ったノンフィクションです。筆者が小説も執筆しているせいか、ミステリー小説の雰囲気も感じさせる描写もふんだんに盛り込まれており、事実でありながら推理小説のように読むことができます。 主役に...

ソヴィエト連邦体制崩壊直前の1982~1990年にロストフ州を中心に発生した連続殺人事件を扱ったノンフィクションです。筆者が小説も執筆しているせいか、ミステリー小説の雰囲気も感じさせる描写もふんだんに盛り込まれており、事実でありながら推理小説のように読むことができます。 主役にあたるのは犯罪研究所から事件の捜査官として抜擢されたヴィクトル・ブラコフ。中盤までは彼を中心に、一部は黒海にも面するソ連のロストフ州をはじめとした各地で発生した、女性や少年が残酷な手口で殺害される連続殺人事件の犯人を追います。登場人物が多く、このあたりは推理小説と同様に本書冒頭にある「事件に関連した人々」を確認しながら読み進めることをお勧めします。地理的な情報についてはそこまで注意を払う必要はありません。終盤は8年以上の歳月を費やして捕らえた真犯人が、どのような経緯で残虐な数多くの殺人に手を染めたかが精神科医などの手によって明らかにされます。 このミステリー仕立てのノンフィクションの特色はある意味「失敗した捜査の記録」であることでしょう。これがミステリー小説であれば同じ犯人であっても、ここまでの犠牲者を出さずに優秀な探偵や刑事の推理や捜査によって鮮やかに解決していたかもしれません。現実に起こったこの事件は、数多くの捜査員のミス、鑑定作業、民衆の民警(警察)への反感、そして事なかれ主義をはじめとするソ連体制の問題点が犯人の追跡を困難にし、捜査員たちは次々と増える被害者たちを見過ごすしつづけ、ブラコフも精神的に追い詰められます。そこには当時のソ連の社会情勢も色濃く影響しています。 凶悪なこの事件を起こした犯人の動機は精神鑑定を通して、大量殺人を行うだけの理由が判明します。そこには生い立ちをはじめ、スターリンの政策、ナチスとの戦争といった歴史的背景も影を落とし、精神的・肉体的な疾患を負わされた犯人の暗い生涯が解き明かされます。筆者はアメリカであれば精神異常と判定されていたであろうこの事件の結末については批判的な目を向けます。 ※こちらの事件自体をご存じない方は、犯人がわかる箇所までは検索などによるネタバレに注意したうえでお読みになることをお勧めします。

Posted byブクログ

2019/07/02

読書は次のタイプに分かれる。1.読みたい本、2.資料、3.参考書、4.類書である。テーマを決め、腰を据えて20~30冊ほど読み込めばどんな分野でも輪郭程度はつかめる。ま、ハズレをつかむことも多いのだが、修行を積むとハズレの見極めが早くなる。このようにして読書の枝は分かれ、2~4の...

読書は次のタイプに分かれる。1.読みたい本、2.資料、3.参考書、4.類書である。テーマを決め、腰を据えて20~30冊ほど読み込めばどんな分野でも輪郭程度はつかめる。ま、ハズレをつかむことも多いのだが、修行を積むとハズレの見極めが早くなる。このようにして読書の枝は分かれ、2~4の本を読むことが増えるわけだが、決して楽しい読書体験とはいえない。それでも珠玉のような一冊と巡り合うためには長い道のりを歩くことが必要なのだ。 https://sessendo.blogspot.com/2019/06/44.html

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2018/10/20

小説ではなく、これは実話なのですが、、 ロシアこわいわーっていう、犯罪者ではなく、警察とか政府とかの側面も見えるし、いろんな意味で怖いお話でした。 私はこの時代の事件のことはまったく知らなかったし、「チャイルド44」も読んだし映画も見たけど、実話をベースとしたものだったと知らなか...

小説ではなく、これは実話なのですが、、 ロシアこわいわーっていう、犯罪者ではなく、警察とか政府とかの側面も見えるし、いろんな意味で怖いお話でした。 私はこの時代の事件のことはまったく知らなかったし、「チャイルド44」も読んだし映画も見たけど、実話をベースとしたものだったと知らなかったんです・・ 実話だと知った今、再び「チャイルド44」を読んだり観たりしたら、もっと恐怖感が増すかもしれません!

Posted byブクログ

2018/05/19

ソ連では「連続殺人は資本主義の弊害によるもの。この種の犯罪は社会主義では存在しない」ことになっており、組織だった捜査が行われなかった。そのためチカチーロは52名もの女性・子どもを殺害するに至った。

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2016/01/25

旧ソビエトの連続殺人鬼アンドレイ・チカチーロを扱った一冊。 チカチーロ側からの視点で事件の原因を探るというより、捜査側からの視点で事件を解明する。 事件発生、遺体発見、捜査、逮捕、裁判と描かれる。 ソビエトについて今まで余り興味がなかったが、猟奇事件には興味があるため今回読んで...

旧ソビエトの連続殺人鬼アンドレイ・チカチーロを扱った一冊。 チカチーロ側からの視点で事件の原因を探るというより、捜査側からの視点で事件を解明する。 事件発生、遺体発見、捜査、逮捕、裁判と描かれる。 ソビエトについて今まで余り興味がなかったが、猟奇事件には興味があるため今回読んでみた。 犯罪が起きたときに、家庭のせい社会のせい病気のせいと事件を起こした本人ではない何かのせいにすることが嫌いだ。どんな家庭で育とうとも、どれだけ社会が非情でも、精神に深刻な問題を抱えていようとも、犯罪を起こさないひとは起こさない。なにかのせいにすることは、そういったことを乗り越え励むひとをも侮辱しているように感じられる。 そう基本的には考えている。 今回のチカチーロも精神的肉体的に健全ではなかった。 ソビエトという社会も歪ではあった。 それでもチカチーロの起こした事件はチカチーロの責任だと思う。 そう思いながら読んでいく。 それにしてもソビエトの考え方は変わっている。 犯罪というものはブルジョア社会に限って起きるもので、完璧な社会主義国ソビエトに犯罪が起きるわけがない。 そんなわけは勿論なくて、普通に、いや異常に犯罪が起きている。 それを無理矢理無かったことにしようとするところにソビエトの恐ろしさがある。 ソビエトで犯罪を起こすのは、精神疾患や知的障害などを持つ人間に決まっている。そういう危険な人物は捕まえて施設に放り込んでおく。 自分の弁護も満足にできない人々は、やったかどうかよくわからない犯罪をやったことにされて拘禁される。 日本でも冤罪はあるし、明らかに犯罪なのにろくに捜査もしてくれない、精神疾患者や未成年者は犯罪のし放題。これはこれでおかしいとも言えるけれど。 チカチーロに辿り着くまでに多くの容疑者を調べ、多くの被害者が無残に殺された。 チカチーロによって殺された50人以上の人々、疑いをかけられ処刑されたひと、自殺したひと。多くのひとの命が失われた。 犯罪を犯したのはチカチーロであって、そこに同情の余地はない。そのチカチーロの犯行を重ねやすくさせ、正しい取り調べの行われなかったソビエトにも罪の一端はあると言わざるを得ない。 チカチーロとソビエトの罪は余りにも大きい。

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2015/10/10

今年公開された映画『チャイルド44』で描かれる事件のモデルとなった、ソ連末期に発生した連続猟奇殺人事件を追ったノンフィクション。社会主義国家を楽園とし、そこでは殺人など起こらないという発想はどうかしていると思ったが、逮捕された犯人の壮絶な半生が語られるクライマックスには背筋が凍っ...

今年公開された映画『チャイルド44』で描かれる事件のモデルとなった、ソ連末期に発生した連続猟奇殺人事件を追ったノンフィクション。社会主義国家を楽園とし、そこでは殺人など起こらないという発想はどうかしていると思ったが、逮捕された犯人の壮絶な半生が語られるクライマックスには背筋が凍った。幸せに育てず、コンプレックスに苛まれた彼が性的サディストとなって殺人を重ねることが克明に描かれているが、殺人を犯す人間の背景にはイデオロギーは関係ないというよりも、どんな社会でも止められないという恐ろしさもあった。

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2015/08/19

「チャイルド44」の解説で勧められていたので。 同じ解説で勧められていた「なで肩の男」でコストエフ特命捜査検事が中心となっていたのとは異なり、 民警のメンバー、ブラコフ少尉を捜査の中心として書かれている。 この著書によれば、 コストエフはロシアが送り込んで来たものの、常駐して捜...

「チャイルド44」の解説で勧められていたので。 同じ解説で勧められていた「なで肩の男」でコストエフ特命捜査検事が中心となっていたのとは異なり、 民警のメンバー、ブラコフ少尉を捜査の中心として書かれている。 この著書によれば、 コストエフはロシアが送り込んで来たものの、常駐して捜査にはあたらなかったときわ めて厳しく評価され、 チカチーロの自白を引き出したのも、 ブラコフと協力して捜査に当たっていたブハノフスキー博士ということになっている。 どちらの主張することが本当なのかはわかりかねるが、 こちらの方がとにかく読み進めるのがつらかった。 殺人が重ねられるのに、遅々として進まない捜査。 好奇心を煽るようにドラマチックに描いてほしいわけではないが、 もうちょっとメリハリをつけてもらえないだろうか。 この単調さが現実に近いのかもしれないが。 最後の方で、チカチーロの生涯や家族等の周辺の人々の証言は、うまくまとめられていて良かったが、 「なで肩の男」では感じられた ノンフィクションのもつ力というか、輝きというか、恐ろしさは感じられなかった。 「なで肩の男」でも書いたが、 「チャイルド44」がいかに良くできている作品かがわかった。

Posted byブクログ

2015/07/12

本当はチャイルド44を読みたかったのだけれど、間違って借りたという…解説を読んでこの事件が元になってることを知ってあながち選んだのも間違いではなかったのかと一安心(?)なにしろ関わった人物が多すぎて、人物相関図でも書きながら読めば良かったかとかも途中で思うくらいでしたが、旧ソ連の...

本当はチャイルド44を読みたかったのだけれど、間違って借りたという…解説を読んでこの事件が元になってることを知ってあながち選んだのも間違いではなかったのかと一安心(?)なにしろ関わった人物が多すぎて、人物相関図でも書きながら読めば良かったかとかも途中で思うくらいでしたが、旧ソ連の体制の問題とか複雑な要素が絡み合ってこうなったんだろうなと思ったり。途中で残虐な描写が続いた時は読んでいて手の力がなくなりました。血の気がひくというか…

Posted byブクログ

2013/12/03

これのせいでシリアルキラー関係の本に目覚めてしまった…。 本人のやったことだけでなく、当時のソビエトの社会情勢も入っていて面白い。

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