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神曲 煉獄篇 の商品レビュー

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23件のお客様レビュー

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2011/02/16

ダンテの神曲の2篇目、煉獄篇です。地獄篇を無事に抜けたダンテが煉獄山を登り、地上楽園を目指していきます。 「煉獄」という語は少しなじみのない言葉ではないでしょうか。私は本書を読んで初めて、こうした世界が地獄と天国との間にあることを知りました。そこに描かれるのは、地獄篇に立ち込めて...

ダンテの神曲の2篇目、煉獄篇です。地獄篇を無事に抜けたダンテが煉獄山を登り、地上楽園を目指していきます。 「煉獄」という語は少しなじみのない言葉ではないでしょうか。私は本書を読んで初めて、こうした世界が地獄と天国との間にあることを知りました。そこに描かれるのは、地獄篇に立ち込めているような悲惨さではなく、「ここを最後まで登り切れば必ず天国に行ける」という希望をよすがとして苦役に耐える魂たちの姿です。しかし一方で、突然現れたダンテ一行に「あの人には影があるぞ」と驚いたり、そのような表情のまま恐る恐る近付いて「自分のことをどうか現世の人に伝えてほしい」と口々に懇願したりする姿は滑稽でもあります。そのためか、登場人物からはあまり悲愴な印象を受けませんでした。 現世で山を登るときには、たいていは(私は山登りの経験はないのですが)頂上に近づくにつれて疲労が増していくものだと思うのですが、煉獄山ではそうではないようです。煉獄の門をくぐるとすぐに急峻な岩場が現れ、ダンテは息も絶え絶えにそこを越えていきます。その描写も巧みで、読者としては「まだ先は長いのに初めからこんなに疲れるなんて」という感情に襲われます。通常の山とは逆に、煉獄では登れば登るほど身体が軽くなっていくようなのですが、読みながらその軽やかさを追体験できるか、と言えば、私にはとても同意できません。このもどかしさはやはり私が現世に生きているからなのでしょうか。ですが、このような描写もやはり滑稽なものなのでしょう。 そして、地獄をずっと2人で旅してきた一行ですが、本書中盤の第21歌からはもう一人、ラテン詩人のスタティウスが加わります。ウェルギリウスを心底尊敬していたというこの人物の登場によって、作品の雰囲気はがらりと変わります。彼とのやり取りを通じて、ウェルギリウスの人柄が、主人公であるはずのダンテ以上に伝わってくる気がしました。地獄では厳格な人物という印象のあった彼の、スタティウスの一途な(?)想いに触れた時に表す心情などは、とても親しみやすいものに感じられます。このような描写のおかげか、本書は先の地獄篇よりもずっと明るい印象を与えるものとなり、原題の「Commedia」にずっとふさわしい内容になったような気がしました。そうした意味では、私個人としては地獄篇より煉獄篇の方が好みであるかも知れません。平川祐弘訳。 (2009年7月入手・2011年2月読了)

Posted byブクログ

2010/09/23

地獄と比べてここ煉獄にいる人たちは KiKi にとってあまり馴染みのない人が多かったです。  そうそう、それとですね、地獄と煉獄って形からすると地獄をひっくり返したのが煉獄・・・・みたいな形になっているみたいです。  要は地獄はすり鉢状・・・というか漏斗状で下へ行くほど狭まってそ...

地獄と比べてここ煉獄にいる人たちは KiKi にとってあまり馴染みのない人が多かったです。  そうそう、それとですね、地獄と煉獄って形からすると地獄をひっくり返したのが煉獄・・・・みたいな形になっているみたいです。  要は地獄はすり鉢状・・・というか漏斗状で下へ行くほど狭まってその先っちょにあるのが氷漬けの世界なんだけど、煉獄はそれを上下ひっくり返したような形の急峻な岩山でその天辺にあるのが天国・・・・らしい。  地獄から天国に移動する際には地獄の底に埋まったルシフェロの体づたいにダンテはウェルギリウスに負ぶさって、地球の球体のど真ん中を突き抜けてエルサレムとはちょうど反対側に突き抜けていくような形で浄罪山のほうへ脱出していったということらしいです。  何となくネジをどんどん下がっていくみたいな感じがしてちょっと面白いと思いました。 (全文はブログにて)

Posted byブクログ

2010/05/27

ベアトリーチェに会いに! その思いで辛く、険しい山道を登る。 ところどころ一息つけるものの、なかなか読み進むのがつらかった。 頂上に着くとベアトリーチェに会えるが、ベアトリーチェがなかなか手厳しい。 気づくとヴェルギリウスが消えているし。 地獄に落ちなくても7つの大罪の罪を煉獄で...

ベアトリーチェに会いに! その思いで辛く、険しい山道を登る。 ところどころ一息つけるものの、なかなか読み進むのがつらかった。 頂上に着くとベアトリーチェに会えるが、ベアトリーチェがなかなか手厳しい。 気づくとヴェルギリウスが消えているし。 地獄に落ちなくても7つの大罪の罪を煉獄で償わなければならない。 ああ、天国への道はかくも厳しいものなのか。 途中、フランスのカペー朝の王たちの名前があげられていたのでカペー家の歴史がついでに読めてしまった。

Posted byブクログ