マイナークラブハウスへようこそ! の商品レビュー
内容と志村貴子さんの絵がうまくお互いを緩和しているというか・・・。合ってるかは人によって感じるところが違うと思いますが。僕は良い組み合わせだと思います。木地さんはガレオンといい、拾い上げるのが難しい心境をうまく書くなあと思います。
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“滝が振り返ると、小さな女の子はもう、机の上に突っ伏して、眠ったように固く動かなくなっていた。 面倒見てやんなくちゃ……と、滝はなぜか、直感的に思った。 この子の痛みは多分、あたしみたいなヤツでなきゃ、却ってわからないんだわ。 最初の3日ばかり、ぴりかは机に突っ伏したまま、ぴくり...
“滝が振り返ると、小さな女の子はもう、机の上に突っ伏して、眠ったように固く動かなくなっていた。 面倒見てやんなくちゃ……と、滝はなぜか、直感的に思った。 この子の痛みは多分、あたしみたいなヤツでなきゃ、却ってわからないんだわ。 最初の3日ばかり、ぴりかは机に突っ伏したまま、ぴくりとも動かなかった。 週末を挟んで、遅刻して出て来た月曜日あたりから、少し顔を上げて、窓の外を、ぼんやりと眺めるようになった。 滝は隣で、時折その様子を眺めながら、授業を受けた。休み時間には、自分の机でできる、細かい手作業を続けた。刺繍。ビーズつなぎ。パッチワーク。チャイナボタンの作り置き。 そうして眺めていると、滝にはわかった。 この子は強い。どんな悲しいことがあったか知らないけれど、このままで、負けてしまうつもりはないらしい。今は多分、充電中なのだ。 背中から、生命力みたいなものが、もやもやーっと立ち上ってくるから、わかる。” なんか、ちょっと不思議な感じ。 ぴりかの過去が気になる。 “「なんかもうワケわかんねえすよソレ。」 笑い続けながら、つと、手を伸ばす。そして、ニットキャップごしに、ぴりかサンの頭に、ちょっとだけさわる。 とたんに、あの日の顔が覗いた。 それが返事だ。俺はもう、踏み込めない。 「いっこだけ、いいっすか。」 ミツアキが、思い切ってそう言うと、ぴりかサンは、笑顔を固めたままで待つ。 「あの、次の灯りまで、」 と言って、坂道の下の方を指差す。 「一緒に歩いて欲しい。」 それで、ぴりかサンは、いつもの顔に戻る。 そして、歩き始める。”
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3を読んだので既刊も読み返してみようかと。各章でクラブのそれぞれ違うメンバーに焦点をあてているために、ほどよく緊張と緩和があって読みやすいのです。誰の話に緊張して、誰の話にほっとするかは人それぞれだと思いますが。 滝の話は胸が痛くて読んでいられない。そのたび高杢君の小さな大き...
3を読んだので既刊も読み返してみようかと。各章でクラブのそれぞれ違うメンバーに焦点をあてているために、ほどよく緊張と緩和があって読みやすいのです。誰の話に緊張して、誰の話にほっとするかは人それぞれだと思いますが。 滝の話は胸が痛くて読んでいられない。そのたび高杢君の小さな大きな一歩を踏み出す話で気持ちを緩ませてもらってます。 「氷の海のガレオン」は宝物なんですけども、それくらい好きな作家さんなんだけども、たぶん意見は合わないと思う(笑) 「みんな」に合わせられないってことは人間として恥ずべき短所だと私は思うし。自戒をこめて。
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前作のせいで読もうと思った。 はじめは読まなきゃよかった(期待はずれ)と思ったけど後からじわじわきた。 このクラブハウス行ってみたい。
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タイトルと志村貴子先生の表紙、評判で気になって読んでみました。 裏表紙の解説にはかなり偽りがあります。 「普通じゃない」少年少女。まずこの書き方、一見では最悪。 「普通っぽくない」。皆色々なことを抱えてもがき、皆と騒げば楽しくて、 でも心の底の澱みは消えない。 ここまでは今や「普...
タイトルと志村貴子先生の表紙、評判で気になって読んでみました。 裏表紙の解説にはかなり偽りがあります。 「普通じゃない」少年少女。まずこの書き方、一見では最悪。 「普通っぽくない」。皆色々なことを抱えてもがき、皆と騒げば楽しくて、 でも心の底の澱みは消えない。 ここまでは今や「普通」と思います。これさえ普通と言わない社会なら嫌だ。 ただ、面子の澱みは結構深い。 この心の澱みを指して「普通じゃない」と言わしめてるのなら唸ります。 5人の人物の視点から語られますが、ある意味主役っぽいのは キャラの中で1番明るいのだけれど。その明るさが危なっかしく、 1番澱みが深そうに見える「ぴりか」。 この子の「澱み」は4話の最後でちらりと見えますが、 5話で確信に変わります。 ぴりかの母の視点で5話は語られるんですが、気持ち悪すぎました。 どこをどうしてこの母がこんなにキモくなり、こんな母と過ごすぴりか はどんなものを抱えているのか、物凄く気になる。 読者の方にも人気がありそうで、自分も大好きなのは2話目の視点である滝ちゃん。 よくも悪くもオトコマエなんですが、冗談抜きでぴりかの「母」っぽい彼女、 良いなぁ~。 彼女はじめ、ロックを気取る(笑)業平君など、自分の才能を信じて疑わない、 それ故に皆に同調できない、でも天才は天才を知る、みたいな感じで 「マイナークラブハウス」に集まる「マイナー」な面々が理屈でなく 息を合わせていくさまは「若いっていいなぁ」と思わせます。 でも若いから「澱み」を持て余している。 彼らがこのマイナークラブハウスでどう学生時代をすごし、 どう「卒業」していくのか気になります。
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舞台はとある学園の高等部にある弱小文化部の集う洋館、「マイナークラブハウス」 そこにたむろする、文化系高校生たちの青春(?)が、明るく暗く描かれています。 登場人物たちの行動は表面上はとってもコミカルで会話も面白い。 ですが、その反面、内面は現実の生身の人間そのままで、シリ...
舞台はとある学園の高等部にある弱小文化部の集う洋館、「マイナークラブハウス」 そこにたむろする、文化系高校生たちの青春(?)が、明るく暗く描かれています。 登場人物たちの行動は表面上はとってもコミカルで会話も面白い。 ですが、その反面、内面は現実の生身の人間そのままで、シリアスでけっこう深刻。 そのチグハグさにクラクラして文章に酔ってしまいました。 思春期なんて遠の昔に通り過ぎてしまった者にしたら、昔の傷をエグられているようで痛いよ… でも、残酷だなぁ~、なんて感想をもらしたとたん、作者に引っ叩かれてしまいそうな迫力があります。 親や教師や友達の残酷さ卑怯さに、幸運にもあまり触れる機会がなく、のほほ~んと生きてこられた方には刺激が強いかも知れません。 あるいは見たくないものは無視して、考えたくないことは考えないようにしている人は怒り出すかも。 たまにこういう直線的な小説をみかけますが、私はニガ手です。 もう少し、やんわりとお願いしたいです。 そこが面白いんですけどね。
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部活紹介で葬送をやって、監禁紛いの方法で入部させてしまうという場面のインパクトは強烈。 きん注のわぴこや、砂糖菓子の弾丸の藻屑を思わせるぴりかのテンションは流石に読んでいると疲れるが、シリアスモードに替わった時はぐっと引き込まれる物がある。 流行りの部活小説というよりは、微妙な立...
部活紹介で葬送をやって、監禁紛いの方法で入部させてしまうという場面のインパクトは強烈。 きん注のわぴこや、砂糖菓子の弾丸の藻屑を思わせるぴりかのテンションは流石に読んでいると疲れるが、シリアスモードに替わった時はぐっと引き込まれる物がある。 流行りの部活小説というよりは、微妙な立ち位置を意識し始める10代半ばの喜怒哀楽と悩みを思い出しながら愉しむ小説。 ちょっと、登場人物が多くてメイン以外はあれ誰だったっけと忘れてしまうのが難点。凄い面白いってわけじゃないけど、何か展開が気になる作品。(11/21)
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桃李大学付属、那賀市桃李学園。文武両道の有名私立大学に付属する中高一貫校である。その高等部の一角に、部員5人未満のための非公式な存在の文化部ばかりが集い、「マイナークラブハウス」と通称される古ぼけた洋館があった―――。 思春期を旅する「普通じゃない」少年少女たちの一筋縄ではいかな...
桃李大学付属、那賀市桃李学園。文武両道の有名私立大学に付属する中高一貫校である。その高等部の一角に、部員5人未満のための非公式な存在の文化部ばかりが集い、「マイナークラブハウス」と通称される古ぼけた洋館があった―――。 思春期を旅する「普通じゃない」少年少女たちの一筋縄ではいかない日常を描き、面白いのに不思議とジンとくる、最先端の学園小説。(ピュアフル文庫本紹介文より)
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読む人を選ぶかもしれません。 それでいい、と思える物語です。 届くべき人のところに届けば、いい。 現代っ子の文化がきちんと取り入れられていて、十二年の空白を感じさせません。
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ありがちな青春小説だろうと思っていたら、まぁ青春小説には違いないんだろうけど、ぶっ飛んでて面白かった。思わず笑う場面もあり、考えてしまう場面もあり。連作短編集。 2009/7/23
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