続 基礎情報学 の商品レビュー
情報-その本質は生命による「意味作用」であり、意味を表す記号同士の論理的関係や、メディアによる伝達作用はむしろ派生物にすぎない。言葉の意味はいかにして私の心から他者の心へ伝えられるか。意味内容が他者間をまるごとそっくり移動するなどほんとうに可能なのか。社会的コミュニケーションはい...
情報-その本質は生命による「意味作用」であり、意味を表す記号同士の論理的関係や、メディアによる伝達作用はむしろ派生物にすぎない。言葉の意味はいかにして私の心から他者の心へ伝えられるか。意味内容が他者間をまるごとそっくり移動するなどほんとうに可能なのか。社会的コミュニケーションはいったいなぜ可能なのか。著者はHACS-階層的自律コミュニケーションシステム-に基づいて、「情報」そのものを根底から問い直すことから出発する。生命が、閉鎖的かつ自律的な「システム」であるとしてとらえ、その上で生命の「意味作用」を「情報」であると再認識した上で、生命/心/社会をめぐる情報現象を、統一的なシステム・モデルによって論じようとする。 ――2009/12/04
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Sun, 28 Dec 2008 5年前に出た前著,「基礎情報学」はちょうど博士過程2回生くらいの時で かなり,影響を受けた本だった. 現代思想的である,オートポイエーシスや生命記号論,ルーマンなどを 上手く,つなぎ合わせ,情報・意味の基盤を作ろうという野心的企み. この前著を...
Sun, 28 Dec 2008 5年前に出た前著,「基礎情報学」はちょうど博士過程2回生くらいの時で かなり,影響を受けた本だった. 現代思想的である,オートポイエーシスや生命記号論,ルーマンなどを 上手く,つなぎ合わせ,情報・意味の基盤を作ろうという野心的企み. この前著を読んで,僕の博論は西垣先生に読んでもらう為のものとなった. そんな,僕の人生にも強い影響を与えた前著に引き続く続編. 前著を読んだときの自分の状態に比べると,かなり自分自身の成長があるためか,ギャップはほとんど無く,素直に読める. 思想的距離が非常に近いので,僕は日本でもっともこの本をハイスピードで読める人間の一人だと思う. 前著ではオートポイエティックシステムからルーマンの社会システム論を経て, 階層的オートポイエティックシステムという概念を提唱したところで終わった感があったが,この本ではそれをさらに深めようとしている. コミュニケーションの産出による組織形成がルーマンの描いた社会システムに制限されることなく, 生命的な組織に本質的なものであるとの見方を出す. また,5年前からのブログ,SNS,セカンドライフなどの興りによるメディアの変化をとらえ, マスメディア主体の社会システムからいかなる変化が見えてくるかを考える. これは,時代を映し出す論点だろう. しかし,前著を消化した上で読む本著としては,期待していたほどは"差分"が大きいとは感じなかった. (期待が大きすぎるだけだが・・・) しかし,このような本をコンスタントなペースで出し続けられる先生方は凄いなあと最近は正直おもう.
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「基礎情報学」から4年経って出版された本。階層的自律システム(階層的オートポイエティックシステム)と呼ばれていたものは、HACSという新たな呼び方になった。そのHACSは、心的システム、社会システムを表すものだという認識だったが、生命体や神経システムなども表せるという新事実が明ら...
「基礎情報学」から4年経って出版された本。階層的自律システム(階層的オートポイエティックシステム)と呼ばれていたものは、HACSという新たな呼び方になった。そのHACSは、心的システム、社会システムを表すものだという認識だったが、生命体や神経システムなども表せるという新事実が明らかになり、非常に混乱した。ちょっと無理があるというか何でもありな感じがしてしまう。HACSの概念を、他の学問との類似点や相違点を挙げつつ説明していくのだが、これが同じことが何度も繰り返し述べられていて非常に冗長に感じた。既視感におそわれること数十回。なんだか疲れた。期待されるタイプIIIコンピュータについては、具体的なイメージがつかめず。
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相変わらず難しいけれど、他に似た本に出会ったこともないくらい独特で刺激的な内容。情報という切り口から、生命や社会を考察している。前著では、生命活動のレベルで終わっていたのが、今回はもう一歩進んで社会システムまで階層的自律コミュニケーションシステムによって基礎付けられている。 情報...
相変わらず難しいけれど、他に似た本に出会ったこともないくらい独特で刺激的な内容。情報という切り口から、生命や社会を考察している。前著では、生命活動のレベルで終わっていたのが、今回はもう一歩進んで社会システムまで階層的自律コミュニケーションシステムによって基礎付けられている。 情報というと、ITをはじめとしてクールなイメージなのだけど、これを読むとそうではない側面が見えてくる。情報こそが、生命活動や社会システムを駆動させるもので、それによって生命や社会が絶えず再構成されていく動的なシステムになっていることがわかる。こういう視点からすれば、生命を機械のように扱うことも、生命の絶対的な優位性を主張する立場も、どちらも一方的で独善的なものに思えてくる。 ただ、こうした情報の視点から、社会に対してどうアプローチできるか、ということまではたどり着けていないと思う。今はまだようやく情報とうものが生命、社会にとってどう位置づけられるかが見えてきた段階で、そこからどんな生命観を導きだすのか、どんな社会像を描き出すのかというのは、まだまだこれからの問題になってくるんだろう。 【メモ】 ・複雑な拘束/制約のもとにあっても、ともに自立性を失わず、しかも相互作用しあうことが、階層的な自律コミュニケーションシステム(HACS)の基本的特徴をなす。 ・人々のあいだの情報伝達とは、とりあえず、人々が属する組織におけるコミュニケーションの継続発生としてとらえられる。 ・生物とは、過去によって定められた大枠のなかで、試行錯誤を重ね、許容度を模索しながら生きているのである。
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オートポイエーシス理論を敷衍し、階層的自律コミュニケーションシステム(HACS)なる概念のもとに、情報学の基礎的・理論的な考察を行っている。 (階層的自律コミュニケーションシステムはオートポイエーシスの一種である。)
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