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密やかな教育 の商品レビュー

4.2

9件のお客様レビュー

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2015/12/25

寡聞にしてこの本の存在を知らずにすごし、ほんの偶然ネットをブラウジング中に見つけ今更ながら読んだ本。正直に言うと、BLそのものより巻末の70年代半ばの少女マンガの飛躍に大いに貢献したマンガ家、竹宮惠子さんとそのブレインであった増山のりえさんのインタビューが目当てであった。しかし、...

寡聞にしてこの本の存在を知らずにすごし、ほんの偶然ネットをブラウジング中に見つけ今更ながら読んだ本。正直に言うと、BLそのものより巻末の70年代半ばの少女マンガの飛躍に大いに貢献したマンガ家、竹宮惠子さんとそのブレインであった増山のりえさんのインタビューが目当てであった。しかし、70年代後半に創刊された少女のための同性愛漫画雑誌の評論がおもしろく、一気に読めた。なにか、Juneとはこんなぺだんちっくな雑誌だったのかと、思い出してみるとそういえば続く80年代のサブカルチャーの立役者が紙面をにぎわせていたなぁ。高野文子、南伸坊、ひさうちみちお、柴門ふみなどなど。巻頭の美少年の写真に添えられた詩の作者に「林真理子」という文字を見つけたこともある。あの林真理子なのだろうか。 創刊当時、美少年好きの漫画家たちが同人の乗りで作ってしまった悪乗り雑誌かと思っていたのも事実なのですが(すみません)こうやって論理的に語られるとアカデミズムを感じずにはいられない。三島由紀夫と少年愛はまったくの別物といった意見には激しく賛同。

Posted byブクログ

2015/04/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1970年に、二十四年組と呼ばれる竹宮恵子、萩尾望都、大島弓子が少年愛をテーマにしたマンガが発売される。内容だけでなく表現方法も斬新で「少女マンガ革命」とも呼ばれた。本書は、彼女たちび作品がいかにして産まれたかを分析している。本書では、その仕掛け人は竹宮や萩尾と親交があった増山法惠だと指摘している。ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」「デミアン」などの教養小説が描く少年たちの世界を基に少年愛を描くことを勧めたというのだ。驚いた、少年愛のルーツが教養小説だったとは。 本の内容もサブカルチャーなどの知識がなければ読めない所もある。そういえば、萩尾望都、大島弓子の本もマンガでありながら難解でよく分からないと思って読んでいたことを思い出した。

Posted byブクログ

2014/11/09

そうか、私は教育されていたのか! 何故BLなるもののこの世にあらん、とは日々感じている疑問なのですが、少なくとも少年愛については、これを世に知らしめた人々が何を考えてそうしたのか、この本を読んでわかった気になりました。

Posted byブクログ

2013/10/24

日本の少女マンガには、少年同士の愛を描いた少年愛をテーマにしたものが存在します。 既存の少女マンガに激震を与え、その黎明期の中心となったマンガの検証から論は始まりました。 まずは竹宮恵子の『風と木の詩』。連載が開始されたのは1976年ながら、実際には6年前の、彼女が20歳の時に...

日本の少女マンガには、少年同士の愛を描いた少年愛をテーマにしたものが存在します。 既存の少女マンガに激震を与え、その黎明期の中心となったマンガの検証から論は始まりました。 まずは竹宮恵子の『風と木の詩』。連載が開始されたのは1976年ながら、実際には6年前の、彼女が20歳の時に着想し、構想を綿密に練っていたとのこと。 ただし、内容が過激すぎるために出版社から掲載を断られ続けており、発表前からすでに問題作だったそうです。 竹宮氏は、そこで諦めずに、普通の内容でのヒット作(『ファラオの墓』)を出して人気作家となり、発言力を得たのだそう。 これが世間に受けなかったら漫画家を辞めるという覚悟もあったそうです。 そこまでして世に出したい作品だったという、作者の本気を知りました。 発表までの6年間は苦節の時だったようですが、その間に画力が上がったため、結果的には全体を通じて文句なしの代表作といえるようになったそうです。 たしかに『風と~』はヒットし、それからの少女漫画の方向性さえ変えた作品となったというわけですが、驚いたのは、作者が当時まだ20代だったということ。 池田理代子も、『ベルサイユのばら』を20代(たしか同じ26歳)で書き始めていますが、どちらも、その時点で自分の絵を確立させているということはもちろんのこと、卓越した物語の構想力を持っていたという面において、驚くべき才能を感じました。 たしかに、どちらの作品にも常に緊張感が漂い、鬼気迫るものを感じます。 それだけ作者が本気を出して描ききっているからでしょう。 竹宮氏は、70年代から渡欧したとのこと。 それは、ヨーロッパの生活を、実際に知るためだったそうです。 当時の日本には、石畳も暖炉もないため、どんなものかわからず、マンガに取り込めなかったからだとのこと。 当時は日本に欧米の流行が入ってくるのに半年から一年もかかったそうで、パリのクレープも、ベルギーのワッフルも、まだ日本になかったと聞くと、今とはかなり状況が違ったことを認識します。 そうした欧米風の世界がきちんとマンガの中に反映されているために、当時の読者たちはマンガを通じて外国の生活を知り、うっとりと夢見たのだろうと思います。 また、中島梓が栗本薫というペンネームを持っていたことは知っていましたが、ほかにも、計8個ほどのペンネームを操っていたことを知りました。 フランス人にまでなりすましていたとのこと。 キャラクター別に文体を変えて、同時執筆をしていたそうで、その才能にも舌を巻きました。 今ではかなりネタ的な立ち位置になっている少年愛ジャンルですが、その開拓者となった漫画家たちの苦労と努力を知るにつけ、やはり当時の作品は、芸術的な域に入るもので、今の「BL」と言われるようになった同ジャンルにおいては、そうした迫力はもう見られなくなっているように思います。 著者は「BLはハーレクイン化している」という表現を使っていました。 また、当時の読者も、非難し敬遠することもなく、支持し受け入れていったというところに、送り手と受け取り手の阿吽の呼吸を感じます。 よく例えられるのが、歌舞伎や宝塚といったトランスジェンダー的な芸能が日本で熱狂的に支持され続けているということ。 こうしたジャンルが根付く風土がもともと日本にはできていたんだろう、と改めて感じました。 イロモノ的なテーマでありながら、とても真面目に調査を重ねてまとめられたものだけに、襟を正して本に向かった感じ。 内容的にも盛りだくさんで読み甲斐がありました。

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2010/08/11

平行してこの手の本をいろいろ読んでたんだけど、ものすごく読みやすかったのとわかりやすかったので一番分厚かったけどこれが最初に読み終わりました。やおい、ボーイズラブ以前を純文学とかからJUNEまで時代をおって。入門編としては難しいことも書かれていないのでやおい史の勉強には最適です。...

平行してこの手の本をいろいろ読んでたんだけど、ものすごく読みやすかったのとわかりやすかったので一番分厚かったけどこれが最初に読み終わりました。やおい、ボーイズラブ以前を純文学とかからJUNEまで時代をおって。入門編としては難しいことも書かれていないのでやおい史の勉強には最適です。逆に深いところまではあまり触れていないので、やおいマイスターには物足りないのかもしれません。

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2010/03/23

なかなか興味深い内容の論文。 「少年が愛すること」なのか「少年を愛することなのか」という論点の説明に三島由紀夫が登場してきたり、説明がわかりやすいと思った。 結局は「少年が愛する様」を愛することを少年愛と意味するという結論も、理解はできないがそんなものなのだなと腑におちた。 大学...

なかなか興味深い内容の論文。 「少年が愛すること」なのか「少年を愛することなのか」という論点の説明に三島由紀夫が登場してきたり、説明がわかりやすいと思った。 結局は「少年が愛する様」を愛することを少年愛と意味するという結論も、理解はできないがそんなものなのだなと腑におちた。 大学の論文みたいで、大真面目に少年愛を研究しているところが自分としてはとても興味深いところだったのだと思う。

Posted byブクログ

2010/02/05

少年愛嗜好の心理的(非言語的)領域に下手に踏み込むことはせずに、「前史」に相応しく、文化の成立と成熟の背景を書くことに徹した姿勢は良かったと思う。

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2009/10/07

教養がないと読めない箇所が多いので、もの凄く分厚いながら結構流し読みで早く読み終わりました。ヨーロッパの絵画とか分からん…。 小説系は結構読んだことがあったので三島やコクトーやヘッセの話題にはついていけました。 とりあえず24年組賛美が凄い。私も日本の全ての漫画の中で24年組の漫...

教養がないと読めない箇所が多いので、もの凄く分厚いながら結構流し読みで早く読み終わりました。ヨーロッパの絵画とか分からん…。 小説系は結構読んだことがあったので三島やコクトーやヘッセの話題にはついていけました。 とりあえず24年組賛美が凄い。私も日本の全ての漫画の中で24年組の漫画が一番すきなので多いに結構ですが、個人的には今後のBL展望にも興味を向けてほしかった。 緻密でよく研究されていると思います。本当に“やおい・ボーイズラブ”の『前史』が知りたい人にオススメ。

Posted byブクログ

2009/10/04

教養がないと読めない箇所が多いので、もの凄く分厚いながら結構流し読みで早く読み終わりました。ヨーロッパの絵画とか分からん…。 小説系は結構読んだことがあったので三島やコクトーやヘッセの話題にはついていけました。 とりあえず24年組賛美が凄い。私も日本の全ての漫画の中で24年組...

教養がないと読めない箇所が多いので、もの凄く分厚いながら結構流し読みで早く読み終わりました。ヨーロッパの絵画とか分からん…。 小説系は結構読んだことがあったので三島やコクトーやヘッセの話題にはついていけました。 とりあえず24年組賛美が凄い。私も日本の全ての漫画の中で24年組の漫画が一番すきなので多いに結構ですが、個人的には今後のBL展望にも興味を向けてほしかった。 緻密でよく研究されていると思います。本当に“やおい・ボーイズラブ”の『前史』が知りたい人にオススメ。

Posted byブクログ