漢和辞典に訊け! の商品レビュー
出版社で漢和辞典の編集に携わった著者による、漢和辞典諸々のお話。 小学校で漢和辞典を買わされた時は「何であんなものを…」と感じましたが、今思えば漢和辞典の利用法を習うことができたという点ではよかったのかもしれません。 こういう話を小学校の授業でするようにすればいいのに、と思いま...
出版社で漢和辞典の編集に携わった著者による、漢和辞典諸々のお話。 小学校で漢和辞典を買わされた時は「何であんなものを…」と感じましたが、今思えば漢和辞典の利用法を習うことができたという点ではよかったのかもしれません。 こういう話を小学校の授業でするようにすればいいのに、と思いましたね。 「ぼく」「なえた」など、漢字で書けそうな語を平仮名で記述するところに、著者のこだわりを感じました。
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「外郎」の「外」は「ウイ」と読む唐音だが、「唐音」って何?「龍」と「竜」はどちらが正しい?「政」の「正」は四画か五画か?「東」は木に日が昇るところか?「輝」の部首は「光」ではない?「鉄道」という熟語が載っていないのはなぜ?そして同じ字でも辞典によって部首や画数が違うのはなぜ?―漢...
「外郎」の「外」は「ウイ」と読む唐音だが、「唐音」って何?「龍」と「竜」はどちらが正しい?「政」の「正」は四画か五画か?「東」は木に日が昇るところか?「輝」の部首は「光」ではない?「鉄道」という熟語が載っていないのはなぜ?そして同じ字でも辞典によって部首や画数が違うのはなぜ?―漢和辞典はナゾだらけ。しかしその根拠を知れば、千年以上にわたる日本人の漢字受容の歴史が浮かび上がってくる。あなたも使いこなして漢字の世界へどっぷりとはまりませんか
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漢和辞典の魅力、短所、使い方、特徴などについて丁寧に、かつわかりやすく書かれています。漢字には昔から強い関心があって、今でも勉強しているのですが、正直、愛用しているのは電子辞書の漢和辞典。でもこの本を読んでいるうちに、漢字と漢和辞典の面白さ、そしてなにより著者の漢和辞典に対する愛...
漢和辞典の魅力、短所、使い方、特徴などについて丁寧に、かつわかりやすく書かれています。漢字には昔から強い関心があって、今でも勉強しているのですが、正直、愛用しているのは電子辞書の漢和辞典。でもこの本を読んでいるうちに、漢字と漢和辞典の面白さ、そしてなにより著者の漢和辞典に対する愛着がうつってきて一冊くらい紙のがあってもいいかなという気持ちになってくる。今は常用漢字という枠組みのなかで(私が思うに)必要以上に縮こまってしまっている漢字の世界だけれど、その歴史や数の厖大さを目の当たりにしてしまうと、煩わしさ以上に畏怖を感じてしまう。この著作中に著者は「漢字の森」という表現を使っているが、まさに果てのない森か大海原といった趣。漢字を含めた言葉の獲得はそのまま概念の獲得だと私は思っていますが、漢字という一分野をとってみても人一人ではとても抱えきれないこれだけの世界の深みと広がりがあるとその偉大さに慄いてしまう。
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国字 峠、畑、鰯 呉音、漢音、唐音 呉音 5、6世紀ころの南京あたりの中国語 漢音 7、8世紀頃の西安のあたりの中国語 唐音 漢音以後に日本語にもたらされた音読みの総称
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09/1/8 巻末附録:漢和辞典案内。208p白川静の『字統』を「熟語は収録していない」と説明して、『字通』をあげていないのは、「独断!」たるゆえんか。本文になにか説明があるのか、無視すべきなにか意図があるのだろう。そうとでも考えないと、これだけ読むと、『字通』以前に書かれた紹...
09/1/8 巻末附録:漢和辞典案内。208p白川静の『字統』を「熟語は収録していない」と説明して、『字通』をあげていないのは、「独断!」たるゆえんか。本文になにか説明があるのか、無視すべきなにか意図があるのだろう。そうとでも考えないと、これだけ読むと、『字通』以前に書かれた紹介文、あるいは『字通』の存在をしらない人の書いたもの、と理解しないと、不可解である。 115p 現在の日本で、新聞や雑誌、書籍に一番ふつうに使われている漢字のフォントのことを、明朝体という。明朝体は、中国の明王朝から清王朝の時代にかけて、だいたい15〜17世紀ごろに完成された。……彫刻刀での彫りやすさを考慮しつつも、筆で書かれた文字の雰囲気を残すことも重要視されたようだ。その結果、明朝体は、直線を多用した彫りやすい形でありながら、同時に、筆文字の雰囲気を伝える飾りをも持つことになった。 118p 教科書や参考書などで筆順を示すには、教科書体を用いるのがふつうである。筆順とはあくまで、手書きの場合のみ問題となるものであり、明朝体で筆順を問題にするのは、ナンセンスだからだ。 119p 筆順は漢字にとって本質的なものではない。/「正しい漢字」を書くためには、「正しい筆順」による方が書きやすい。筆順とは、そういうものだ。あくまでおススメの方法論であって、絶対的なものではない。 127p 漢和辞典のほとんどは,「なりたち」「解字」「字源」といった名前の欄を設けて,成り立ちの説明を掲載している。その説明は,世の多くの「成り立ち本」と比べて,はるかに網羅的で,系統だっていると,感じられる。/つまり,漢和辞典は,漢字の意味や読み方だけでなく,成り立ちを知ることのできる辞典でもある。にもかかわらず,世間では,成り立ちに興味を持った方が,漢和辞典を手にとるケースは,あまり多くないようだ。 147 漢字の成り立ちを知るためには漢和辞典を利用しようとするときは,少なくとも三冊ぐらいにはあたってみなければならない。 151〜2 漢和辞典の歴史 コピー 153 その成り立ちの説明が教育現場で扱われてよいほどに「正しい」ものなのかどうかについては,疑問符を付けたくなるのだが,それはそれとして,子どもたちの興味を引きつけるという意味では,成り立ちの効果は絶大であったようだ。……/その結果,1970代になると成り立ちの説明を漢和辞典に収録することは,出版社にとって一つの大きなセールスポイントとして意識されることになった。/……初めて本格的に成り立ちの説明を取り込んだのは『大字典』(上田万年ら・1917年初版・啓成社)。 193 最初の漢和辞典は1903(明治36年),三省堂『漢和大字典』。親字の解説と熟語の解説とを一冊にまとめた,初めての辞典。ただし,熟語は,親字で終わる熟語。 196 どんな辞書であろうと,収録することばをかなり絞り込まなくてはならない。この世に存在するすべてのことばを収めることなど,所詮,できないからである。/その絞り込みのしかたによって,辞書には個性が与えられる。漢和辞典においては,とくにそうである。そもそもの出発点だった漢詩文に出てくる熟語を中心に据えて,主としてそれ以外の熟語を削り落としていくのか,それとも,現代日本語としてよく使われる熟語へと重身をシフトして絞り込みを行うのか。それによって,漢和辞典の性格は大きく二分されるのである。 前者に従えば,その漢和辞典は伝統的な,中国古典の世界に軸足を置いたものになるから,熟語だけでなく親字の解説も,昔の中国語本来の意味・本来の発音へと立ち戻って解説する,歴史的なものとなるだろう。そこには,漢字が誕生して以来,3000年以上の年月を超えて,海を渡ってぼくたちのもとへやってきた,その間のさまざまな物語があるはずだ。 後者に従えば,その漢和辞典は,現代日本語での漢字の働きを幅広く映し出す,同時代的なものとなる。このタイプの辞典は,歴史的なドラマという意味ではやや稀薄でも,日常的なことばが豊富に収録されているから,身近なところから漢字の世界へと入っていくには,もってこいだろう。
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最初買う気はなかったが、『人名用漢字の戦後史』や『昭和を騒がせた漢字たち』の著者円満字さんの本だと知って買ってしまった。円満字さんは漢和辞典の編集を長くやってきた人で、本書を読むと漢和辞典の中身もいろいろだということが分かる。内容は「号泣」の号とはなにかとか「呼」は呼ぶとしか読ま...
最初買う気はなかったが、『人名用漢字の戦後史』や『昭和を騒がせた漢字たち』の著者円満字さんの本だと知って買ってしまった。円満字さんは漢和辞典の編集を長くやってきた人で、本書を読むと漢和辞典の中身もいろいろだということが分かる。内容は「号泣」の号とはなにかとか「呼」は呼ぶとしか読まないが「息をはく」意味がある(呼吸)とか、音の意味に喚起を促す話があったり、「立<りふ>」がリツと読まれるようになったわけとかが説かれていて啓発される。正字や書き順など、今年ぼくがいろいろ考えたこともあって面白く読んだ。それにしても、本書を読んでいて、『康煕字典』はよきにつけあしきにつけ、現代の漢字問題に大きな影響を与えていることが痛感した。
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