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悼む人 の商品レビュー

3.9

437件のお客様レビュー

  1. 5つ

    117

  2. 4つ

    149

  3. 3つ

    108

  4. 2つ

    23

  5. 1つ

    5

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2024/06/02

はじめはなんだか暗い話だなと思いながら読んでいましたが、静人のお母さんの明るい人柄と末期癌ながら自分の死を受け入れていく様子に引き込まれていきました。 それと並行して、静人の悼む行為に至るまでの経緯や葛藤がだんだん分かってきてグイグイと引き込まれていきました。 静人の悼む行為は本...

はじめはなんだか暗い話だなと思いながら読んでいましたが、静人のお母さんの明るい人柄と末期癌ながら自分の死を受け入れていく様子に引き込まれていきました。 それと並行して、静人の悼む行為に至るまでの経緯や葛藤がだんだん分かってきてグイグイと引き込まれていきました。 静人の悼む行為は本当に苦しく、彼が解放されることを祈るばかりですが、彼がいるからと気持ちが安らぐ人もいるのがまた複雑です… 最後は涙が止まりませんでしたが、死は怖くないと思える話でした。

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2024/04/23

用水路から遺体が発見されて〜とかいうニュースを聞くと気持ちが暗くなるが、そういう隣り合わせの死を知りながら毎日楽しく生きていることへの後ろめたさを静人が代弁してくれた。死への恐怖の本質=死の無個性化なんですよね。死者何人、みたいに数にさせられて忘れ去られるのは虚しい。 静人のよう...

用水路から遺体が発見されて〜とかいうニュースを聞くと気持ちが暗くなるが、そういう隣り合わせの死を知りながら毎日楽しく生きていることへの後ろめたさを静人が代弁してくれた。死への恐怖の本質=死の無個性化なんですよね。死者何人、みたいに数にさせられて忘れ去られるのは虚しい。 静人のように行動に移すことはできないけれど、心の中でそっと誰かの死を悼める人間になりたいと思った。 ちょっと納得いかなかったのは、注目されない人の死を覚えたいとか言う割にニュースや新聞で報道される死を訪ね歩いていたこと。一軒一軒家を回って亡くなったご先祖を悼むのじゃだめなのかい。 あと、静人ママのキャラクターがあんまり好かなかった……奈義さんが夫を殺した事の解釈の話もなんだか理解が追いつかなかった……ということで星は4つに。

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2024/01/31

全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける静人。静人を関わる周囲の人物の視点で物語が展開していく。さまざま死生観が匂い立つようだ。まだまだ人生中途の静人が未熟であることは仕方ない部分もあるけれど、静人の求めるもの、行き着く先が共感できなかった。

Posted byブクログ

2023/11/19

長くて長くて、なんだか、読み終わった後にある、いつもの感情が巡るような感覚とは別に、主人公と共に苦行を行っていたような妙な疲労感があった。そういう意味では面白い読書体験だった。 あと、読み終わってから思ったのは、率直に作者の我慢強さみたいな強固な姿勢をすごく感じた。読み手にとって...

長くて長くて、なんだか、読み終わった後にある、いつもの感情が巡るような感覚とは別に、主人公と共に苦行を行っていたような妙な疲労感があった。そういう意味では面白い読書体験だった。 あと、読み終わってから思ったのは、率直に作者の我慢強さみたいな強固な姿勢をすごく感じた。読み手にとっても読書としては重い部類のストーリーなのに、書き手はこの重い物語について何倍もの時間向き合っていたのだろうと想像すると、なんていうか、気が遠くなるような気持ちになった。そういう意味で、というか、色んな意味で、なんかすごい。 それから、この本の表紙はすごく不気味だよ、

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2023/11/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

オーディブルにて。 声優さんの解釈のせいか、原作の狙い通りなのかわからないけれど、母親・巡子の静人への想いが気持ち悪かった。「静人さえ帰ってくればうまくいく」みたいな。 巡子目線の章では明らかに息子(静人)のほうを娘より大事にしてるのが感じられた。そりゃ、娘だって母は自分より兄の方を必要としているって気づくし傷つくよ。最後だけ娘も唯一無二の存在だった風に語るけど、嘘じゃんって思ってしまう。 シズトォ、って伸ばして心の中で呼びかける言い方がどうにも肌に合わなくて巡子の気持ちに添えなかった。 静人がどうしているか気になるならさっさと探して病気であることを伝えればいいのに。静人が母親の病気を察して戻ってくるなんていうのは妄想が過ぎる。息子と自分は見えない絆で結ばれているなんて重すぎるし、ねっとりした執着を感じたよ。怖すぎる。 なんだかなぁ。 「母親の執着」の方が本当のテーマなんじゃないかと思うくらい気持ち悪くて、悼みのこと、死生観のことを考えるところまで気持ちが持っていけなかった。

Posted byブクログ

2023/09/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

悼む人:坂築静人 週刊誌記者:蒔野坑太郎 ・目撃者 ・偽善者 ・捜索者 悼む人の母:坂築巡子 ・保護者 ・代弁者 ・介護者 夫を殺し出所後、悼む人に同行:奈義倖世 ・随伴者 ・傍観者 ・理解者 悼む人:坂築静人のことを、3人の目線で描いていきます。 読み進めるうちに、なんとなく、悼む人が、なぜそんな行動をするのか、わかるような気持ちになってくるのが不思議。 何かに突き動かされて、人の死を悼む旅を続ける悼む人。周りからは、奇異の目で見られ、 ブクログ内で、小説読了210冊。

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2023/07/27

再読、永遠の仔に次いで。 数年前に読んだはずが、ほとんど記憶が残っておらず。探索者の章、最後の2ページが心に残る。 現在に生きる私に出来ること、家族を取り巻く人々に感謝すること。 23/7/27

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2023/05/09

いやー凄い本だわこれ。痛く心に響いた。 特に最後のシーンは自分が死ぬ瞬間までの過程を追体験した気持ちになった。 確かにみんな忘れていってしまうのは一面で悲しいことだが。 最後は誰かを愛し、誰かに愛された、そして感謝してされた一人一人が特別な存在なはずなのに、普通の主婦になってしま...

いやー凄い本だわこれ。痛く心に響いた。 特に最後のシーンは自分が死ぬ瞬間までの過程を追体験した気持ちになった。 確かにみんな忘れていってしまうのは一面で悲しいことだが。 最後は誰かを愛し、誰かに愛された、そして感謝してされた一人一人が特別な存在なはずなのに、普通の主婦になってしまう。普通の主婦なんていないし、みんなそれぞれが特別なひと。 生きているあいだは名誉だとか出世だとかに気を取られかまちだけど、最後は愛だよなあ。 順子の、病気の原因を後悔するのはとっくにこちらで済んでいる、というのは癌の苦しい受容のプロセスを言ってるのだろうな。

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2023/04/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2009年(第6回)。8位。第140回直木賞受賞作。 力作だな('_') 大活字本で読んだ。黒地に白字の大活字。3分冊。単なる好奇心。いたむ人静人。新聞で調べた誰かが死んだところへ行き、まわりの人に死んだ人のことを訪ね、悼む。殺人、事故、いろんな死がある。彼の母は癌。この癌に侵されていく描写がすごい。これだけで読む価値があると思う。医者にかかるって選択の連続だ。妹は破局した元カレの子を産む決意。静人の悼みについていった夫に頼まれ殺した女。夫がつきまとうのはホラーか妄想か。君に産んでほしかった。これもすごい言葉だ。繰り返すが渾身の力作だ。そりゃ直木賞だ

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2023/01/06

はじめは少しテンポが遅いように感じたが、途中からページをめくる手が止まらなくなった。 大きく分けて三人・三つのストーリーが徐々に交差して収束していくのが快感。静人がどうして悼みを始めたかに対する第三者の考察が面白い。 巡子の話は生々しく、所々つらかった。最後の数ページは涙がつ...

はじめは少しテンポが遅いように感じたが、途中からページをめくる手が止まらなくなった。 大きく分けて三人・三つのストーリーが徐々に交差して収束していくのが快感。静人がどうして悼みを始めたかに対する第三者の考察が面白い。 巡子の話は生々しく、所々つらかった。最後の数ページは涙がつーっとあふれてしまった。普段感動ものとかはあまり好きではなく読まないし、闘病系もあまり好きではないのですが、これは本当に自然で(また物語の大きな柱の話だけど、本の内容はそれだけではないし)、思わず涙。 本で泣いたのは2020年に読んだケンリュウの『紙の動物園』以来かも。 死について、人は死ぬことよりも忘れられること(とか風化)を怖く思う、と言われるが、静人のような人がいたらどうだろう。見ず知らずの人に悼まれるのも不思議だし、宗教がかって見えてしまうかもしれない。それともやはり、誰かが覚えてくれているということで、少し安らぐのだろうか。 "(どの死は覚えておくべきで、どの死は忘れられたも仕方ないのだろう・・・。静人、あなたが言いたかったことはそれだったの?誰かの死を、和売れても仕方がないものにしてしまうなら、結局は、あらゆる人の死が、忘れられても仕方のないことになってしまうんじゃないか、と)" ---単行本P327より引用 映画化されそうな本だと思ったら、やはりされていたんですね。個人的には主人公はもう少し塩顔っぽい感じ(加瀬亮さんとか)で、なんとなく倖世はmiwaなイメージで読んでいた。映画キャスト、すごいですね(高良健吾さん凄く好きだけど、綺麗すぎ)。でも映画にするとすごく野暮ったいというかありきたりというかクサくなりそうで、、、見てないので何とも言えないが、絶対本のほうがいいと思う。

Posted byブクログ