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神の家の災い の商品レビュー

3.7

7件のお客様レビュー

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2024/12/05

イギリスの作家ポール・ドハティーの長篇ミステリ作品『神の家の災い(原題:Murder Most Holy)』を読みました。 イギリスの作家の作品は、先日読了したアレックス・パヴェージの『第八の探偵』以来ですね。 -----story------------- 摂政ジョン・オブ・...

イギリスの作家ポール・ドハティーの長篇ミステリ作品『神の家の災い(原題:Murder Most Holy)』を読みました。 イギリスの作家の作品は、先日読了したアレックス・パヴェージの『第八の探偵』以来ですね。 -----story------------- 摂政ジョン・オブ・ゴーントの宴に招かれたクランストン検死官は、四人もの人間を殺した〈緋色の部屋〉の謎を解くはめになる。 一方、アセルスタン修道士の守る教会では、改修中に発見された人骨が、傷を癒やす奇跡を起こしたと大評判をとっていた。 さらに、かつてアセルスタンが籍を置いた修道院で、神をも恐れぬ修道士連続殺人が発生する……。 いずれも手ごわい3つの謎に、さしもの名コンビも苦戦する、中世英国ミステリ第3弾。 解説=古山裕樹 ----------------------- 1992年(平成4年)に刊行された、14世紀後半のイングランドを舞台にした歴史ミステリ・アセルスタン修道士シリーズの第3作です。 時は1379年6月、リチャード二世の摂政ジョン・オブ・ゴーントの宴に招かれたジョン・クランストン検死官は、酔ったはずみで4人もの人間をが怪死を遂げた〈緋色の部屋〉の謎を解くと豪語してしまう……期限はわずか2週間、、、 一方、アセルスタン修道士が守る教会では、改修中に発見された人骨が治癒の奇跡を起こしたと評判になっていた……さらに、かつてアセルスタンが籍を置いた修道院から調査を依頼された事件が、修道士連続殺人だったことが明らかになり……。 それぞれに手ごわい3つの謎に、さしもの名コンビも苦戦する……中世歴史ミステリシリーズ第3弾。 14世紀後半のロンドンが舞台……人々の営みが生み出す臭いが渦巻き、現代風の殺菌された無味無臭の都市とは全く異なる、強烈な臭いが感じられる作品でしたね、、、 酒の臭い、人々の体臭、ペットや家畜の臭い、ゴミや排泄物の臭い、そして死体の臭い……当時のロンドンは凄まじい臭いに満ち溢れた、猥雑な都市だったことが、ひしひしと伝わってきました。 登場する住民たちも、汚わい屋に溝堀人、豚飼い、売春婦、物乞い……と、なかなかの曲者揃いでしたね、、、 そんな当時の雰囲気は感じられたものの、知識不足なのか、想像力不足なのか……私の頭の中で都市の風景を描くことができず、なかなか物語の中に気持ちが入らなかったですねー 登場人物の目線や、気持ちにシンクロできなかったので、残念ながら愉しめませんでした。

Posted byブクログ

2016/01/31

検死官と托鉢修道士にふりかかる3つの謎。 双子の息子達が生まれて幸せいっぱいの検死官が、名誉をかけて引き受けてしまった謎解きの賭け、修道院の改修中に発見された女性の遺体。 そして古巣の大修道院で起きた連続殺人。 にっこにこの巨漢の検死官がキレるシーンは、なかなかスカッとしますよ。...

検死官と托鉢修道士にふりかかる3つの謎。 双子の息子達が生まれて幸せいっぱいの検死官が、名誉をかけて引き受けてしまった謎解きの賭け、修道院の改修中に発見された女性の遺体。 そして古巣の大修道院で起きた連続殺人。 にっこにこの巨漢の検死官がキレるシーンは、なかなかスカッとしますよ。カトリック、それも清貧を誓った托鉢修道士の恋もほのぼのとしてて良いです。猫やら豚やら馬までが生き生きと描かれていて、楽しい。 検死官の大岡越前の裁きのような情のあるところが、いい。

Posted byブクログ

2015/03/17

複数の謎が同時進行するモジュラー型。或いはコールドケース+本格ミステリ。中心の連続殺人の動機、この時代にもあったのか。それにしてもこの時代の英国のカトリックの聖職者って、よく飲みよく食べるな。キャラが良いので、楽しく読めるシリーズ。

Posted byブクログ

2012/02/11

摂政の企みで、宿泊者が必ず死ぬ“緋色の部屋”の謎を解くという賭に乗らざるを得なかったクランストン検死官。相棒のアセルスタン修道士の教会では、工事の際に人骨が見つかり、奇跡を起こす聖遺物だと教区の人々が大盛り上がり。そんな二人は、同時並行して修道院内で起きた連続殺人事件の謎にも挑む...

摂政の企みで、宿泊者が必ず死ぬ“緋色の部屋”の謎を解くという賭に乗らざるを得なかったクランストン検死官。相棒のアセルスタン修道士の教会では、工事の際に人骨が見つかり、奇跡を起こす聖遺物だと教区の人々が大盛り上がり。そんな二人は、同時並行して修道院内で起きた連続殺人事件の謎にも挑むことになります。 シリーズ三作目。下品で食っちゃ寝で酔っ払いのクランストンのことも、彼が抱える埋められない喪失感と殺伐とした仕事内容を考慮すれば、それなりに許容できるかなあと偉そうに思ったり。家庭内ではモード夫人に頭が上がらないところなどが憎めない所以です。 アセルスタンは未亡人のベネディクタをプラトニックに恋慕しているところがやはり可愛らしい(傍から見ると想いがだだ漏れのアセルスタン…)。彼は聖職者でありながら「奇跡」を容易に信じないところなど、現代人に近い理性の持ち主ですが、普段が穏やかなだけにキレ方はかなり激しく、受け持ち教区の影響でたくましくなっているんだねえ、という感じ。貧しくて倫理観が薄いように描かれてきた教区のみんなも、実は意外なほどアセルスタンを認めているみたいですね。 たまにえぐい時代描写や割合普通の謎解きより、細部を楽しむように読んだ方がいいのかも。 猫好きは、アセルスタンが愛するキャトリックな猫に注目。

Posted byブクログ

2012/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歴史ミステリ御三家を続けて読んできたが、最後の一人、ポール・ドハティの修道士アセルスタンシリーズ。 舞台は14世紀のイギリス。暗いじめじめした雰囲気に陽気な飲んだくれクランストン卿とまじめなアセルスタン修道士コンビのやりとりが楽しい。 御三家の中で一番読みごたえがあると思うが、3冊までしか翻訳されておらず。原書で読む語学力がないのが残念。

Posted byブクログ

2011/10/16

なかなか面白かった。何と言っても中世ロンドンの空気や臭い、喧騒が漂ってくるかのような香りを感じさせてくれるところがとても良い。また、登場人物の描写もなかなか優れています。特に、国王勅任の検死官ジョン・クランストン卿の大酒のみで下品だが好人物な姿と、その書記にして聖アーコンウォルド...

なかなか面白かった。何と言っても中世ロンドンの空気や臭い、喧騒が漂ってくるかのような香りを感じさせてくれるところがとても良い。また、登場人物の描写もなかなか優れています。特に、国王勅任の検死官ジョン・クランストン卿の大酒のみで下品だが好人物な姿と、その書記にして聖アーコンウォルド教会司祭のアセルスタン托鉢修道士(主役)の知的で人間味溢れるただずまいは、その対比が鮮やかで、この迷コンビの雰囲気を身近に感じることができ、素晴らしい。まるで、たびたび放たれるクランストンのげっぷに、アセルスタンと一緒に顔をしかめている気分が味わえます。(笑)そして周辺に登場する人物と動物もとても丁寧に描き、臨場感を感じさせてくれる。(このあたりの感覚は「解説」でもとても的を得て説明されていますね) 本作では大きな謎が3つ提示される。3つとも難しい舞台設定だが、そうした雰囲気を保持したまま終盤まで流れていきます。短編3つが長編として1作になったような感じもありますね。ややもするとそれぞれ掘り下げと展開が短編的で、謎の雰囲気に少し負けている気がしました。謎が複数あるためか全容が明らかになるまでに少し時間がかかり最初は漫然として読んでいたのですが、中盤以降は俄然展開もよくなり、ラストには見事に解決されて爽快感を味わえます。 この作品は、アセルスタン修道士シリーズ第3作とのことですが、背景である政治状況と聖アーコンウォルド教会の教会区の面々はシリーズを通しての繋がりがあるとのことで、これも興味津々です。

Posted byブクログ

2009/10/07

摂政の開いた宴で、検死官クランストン卿は、主賓のクレモナ公ガレアッツォから挑戦を受ける羽目になる。 ある屋敷の密室で、食事も取らずに4人もの人物が次々に怪死したのは何故か?期限は2週間。賭け金の千クラウンは払いきれる額ではなく、もし負けたら摂政の紐付きのような立場に? 同じ頃、ア...

摂政の開いた宴で、検死官クランストン卿は、主賓のクレモナ公ガレアッツォから挑戦を受ける羽目になる。 ある屋敷の密室で、食事も取らずに4人もの人物が次々に怪死したのは何故か?期限は2週間。賭け金の千クラウンは払いきれる額ではなく、もし負けたら摂政の紐付きのような立場に? 同じ頃、アセルスタン修道士の小さな教会では、改修中の床下から人骨が発見される。 柩に触れた人の怪我が治ったと聖人の秘蹟として大騒動になってしまう。 一方、アセルスタンがかって修行した大きな修道院では、修道士が墜落死、ついでもう一人が行方不明に。 アセルスタンは調査を依頼される。 緊張の高まる中、謎は解けるのか…? 猥雑な中世のロンドン、クランストン卿には双子が生まれていて、いつもにましてにぎやかなメンバーだが、謎解きの面白さはオーソドックス。

Posted byブクログ