沼地のある森を抜けて の商品レビュー
消化不良。上手く自分の中に取り込みきれない。南方の島の中、土俗的な風習など作者お得意な領域という気はする。
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2009年2月16日~17日。 ミクロが作りだすマクロな世界って感じか。 とても壮大な物語を読んだ気がする。 誕生と死、圧倒的な孤独、細胞の夢。 抽象的でもあり、非常に科学的でもある。 ぬか床なんて庶民的な小道具を持ちだしてきて、こんな世界を作ってしまうんだか...
2009年2月16日~17日。 ミクロが作りだすマクロな世界って感じか。 とても壮大な物語を読んだ気がする。 誕生と死、圧倒的な孤独、細胞の夢。 抽象的でもあり、非常に科学的でもある。 ぬか床なんて庶民的な小道具を持ちだしてきて、こんな世界を作ってしまうんだからなぁ。 ついでに言ってしまうと、僕が最近興味を持っているもの、性、存在、始まり、なんてものとリンクしている。 リンクしているなんてもんじゃない。 読んでいてビックリするほどに符合する。 まさにシンクロニシティ。 まぁ、これなんかは完全に個人的な感想なんだけど。 正直、難しかった。 いずれもう一度読み返すことになると思う。 難しかったが、いや、難しかったが故にたまらなく面白かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最初はラジオドラマ「フリオのために」を聴いた。 それが序章に過ぎないとは。 生命の連続性に立ち会うのは、一度は性を放棄した男女。 この男女の設定があるからこそ、生命が奇跡のように感じられる。 ジェンダーを越えてセックスを越えて生命そのものがエロスであるような。 結局は性交と出産かよ、と興ざめしないように、意外と巧妙な構成。 (ハコちゃんこと岩下尚史さんを連想) ぬか床からクローン? え、ホラー? いやミステリ? という序盤からは思いもよらない壮大な終盤。 これは「開かれている」終結。 とはいえ、序盤のフリオがまるで自分かと思ってしまっただけに、フリオのその後が気になる。 「シマ」のパート。 細菌の存在をファンタジー仕立てにした話(タモツくんやアヤノちゃんの)かと思いきや、 単性生殖から有性生殖への初めての移行(「シ」=「死」=「雌」=「子」) でもある、という難解さ。 (初めての細胞の孤独、という発想を下地にして再読必要。孤独が源流にあるからこそ、暴力的に生物を増殖のための乗り物に仕立ててしまう。) まあ、「村田エフェンディ」や「家守」のほうが好み。
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ぬか床である。恐らくほとんどの日本人なら言葉くらいは聞いたことがあって、でも今や一家に一個あるんだかないんだか、てか普通ないわー、的な存在なんだけども、まだ過去の遺物になりきってもいない、微妙なスタンス。そのぬか床から生まれるなんだか奇妙なファンタジー、かと思ったら驚くほどにSF...
ぬか床である。恐らくほとんどの日本人なら言葉くらいは聞いたことがあって、でも今や一家に一個あるんだかないんだか、てか普通ないわー、的な存在なんだけども、まだ過去の遺物になりきってもいない、微妙なスタンス。そのぬか床から生まれるなんだか奇妙なファンタジー、かと思ったら驚くほどにSFチックというか、なんというか、読み始めた時に感じたのと、思ってたのと違う感が!ちと残念だったのでした。 しかし浅漬けよりはやっぱりぬか床で漬けたほうがうまいよねぇ。
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夏になると読みたくなる梨木香歩。 長年なんとなく読む機会を伺っており、とうとう読んだのですが、その甲斐がありました。 島、とあったので、からくりからくさと何か関係が、と思ってたのですが、島違いだったのかな。
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どこまでも感じること、表現することは許されているのだなと思いました。 自由な発想の中でも、いわゆる日常的なシーンもたくさんあるから、ストーリーはしっかり進んでいるのがすごいなと思います。 本来あるべき姿、何が必要で何が必要でないのかはとらえる枠が変われば、その線引きもやはり変わる...
どこまでも感じること、表現することは許されているのだなと思いました。 自由な発想の中でも、いわゆる日常的なシーンもたくさんあるから、ストーリーはしっかり進んでいるのがすごいなと思います。 本来あるべき姿、何が必要で何が必要でないのかはとらえる枠が変われば、その線引きもやはり変わるわけで、全ては緩やかに1つなのかと大いに納得。 今一度転がしながら読みたいです。
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日常と非日常、科学と詩的ロマンが、分離しながらも溶け合おうとするような、奇妙で危ういバランスの世界観。序盤からもう只事じゃない。 菌類のミクロの宇宙を久美たちと覗くうちに、一個の生命体としてここにあることの「不思議さ」に向かって目が開かれていく......。心にガツンとインパクト...
日常と非日常、科学と詩的ロマンが、分離しながらも溶け合おうとするような、奇妙で危ういバランスの世界観。序盤からもう只事じゃない。 菌類のミクロの宇宙を久美たちと覗くうちに、一個の生命体としてここにあることの「不思議さ」に向かって目が開かれていく......。心にガツンとインパクトを食らわせてくれる、どでかい質量を抱えた物語でした。
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「西の魔女が死んだ」のような、ほんの少し影があるやわらかな森の中のような話を予想して読み始めたけれど、内容はもっと、濃いものであった。個体としての境界や性別、生殖について。わたしに響くものがあった。これから何度も読むことになるように思う。
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壮大な物語だった・・・ 生と死。 それも細胞レベルでの生と死、形を変えながらも永遠とめぐっていく命がテーマなのかなと思いました。 途中で入ってくる『かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話』。 最初は正直、良く分からないしこれいるのかな?と思っていたのですが最終章を読んで、何とな...
壮大な物語だった・・・ 生と死。 それも細胞レベルでの生と死、形を変えながらも永遠とめぐっていく命がテーマなのかなと思いました。 途中で入ってくる『かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話』。 最初は正直、良く分からないしこれいるのかな?と思っていたのですが最終章を読んで、何となく繋がったような気がしました。 それまでは本編とサイドストーリーという感じだったのが、最後の最後にしてきれいに合わさったという感じ。 うまく言葉にできないですが、パズルの最後のピースがパッチっとはまった時の喜びとも快感ともつかないような感覚を覚えました。 そして、登場人物の人が主人公に問う、「自分って、しっかり、これが自分って、確信できる?」のセリフ。 個性とは、自分とは何なのか。 考えさせられるものがありました。 最初の1日で1章・2章を読んで、えっ?!ホラー?と思い、読みすすめようかどうしようかと思ったのですが、しっかり最後まで読んで良かったと思います。
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有り得ない設定にビックリしてドンドン読み進めてしまいました。 最後は、やらしさがないのになんだか官能的かつ神秘的でした。 フリオの子どもはどうなるんだろう… それだけ、なんだか取り残されたような気持ちです。
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