カレワラ(上) の商品レビュー
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乙女と結婚するためふたりの男が奮闘している話。結婚させるかわりにとかぐや姫のようにこれを持ってきたら、とかこれをやってくれたら、とか色々親が命じてきてそのたびに乗り越えて乗り越えてやっとひとりは結婚することに。 結婚するとここまで嫁は擦り切れてしまうことをうたっている部分はとても恐ろしく。でも少し前の日本は女中のように日々を過ごしていたのは少なくなかっただろうと思ったり。下巻は結婚生活の話になるのでしょうか。
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19世紀初頭に採集・編纂されたフィンランドの民族叙事詩『カレワラ(Kalevara)』の日本語訳。フィンランド各地にて歌い継がれてきた民族歌謡を集成し後のフィンランド独立運動の象徴にもなったこの一大叙事詩を、詳細な解説と共に全訳する。上下巻の上巻となる本書では、第1章から第24章まで(天地創造から鍛冶イルマリネンとポホヨラの娘との婚礼儀礼まで)を収録する。 本書は、フィンランドの叙事詩『カレワラ』の邦訳である。フィンランド民族主義の機運高まる19世紀初頭、民俗学者エリアス・リョンロットの手で世に出されたこの作品は、フィンランドやカレリア各地にて伝承されてきた民俗歌謡を一つの叙事詩として編纂したものである。フィンランド文学の傑作にして、エストニアの『カレヴィポエク』などの各地の民族叙事詩編纂にも影響を与えたこの叙事詩を、本書は韻文調の格調高い口語訳にて全訳する。また、詳細な注記を付すと共に各章の内容や時代背景などの解説についても巻末に収録している。 内容についての感想は下巻レビューに載せるとして、本書を読んで最も驚いたのは「『カレワラ』の物語は実際に伝承されたフィンランドの神話・伝説とイコールではない」という解説である。先にも述べた通り、『カレワラ』はフィンランドやカレリア各地の民俗歌謡を一つの叙事詩にまとめ上げたものである。もとより異なる叙事詩のサイクル(主題)にある無数の物語を一つの叙事詩に纏め上げるにあたって、編者たるリョンロットは内容の改編や組み換え、或いは物語群を繋ぐ箇所を創作するなどの措置を施している。例えば本書の最初を飾る「英雄ワイナミョイネンを孕んだ大気の娘イルマタルが、宇宙の卵を膝に頂く」という物語は本来外ならぬワイナミョイネン自身が行っていたことであるし、下巻にて歌われる悲劇の勇士クッレルボの物語は元々鍛冶イルマリネンらの物語とは全く別の系統にあるものであった(ついでに言うと、クッレルボの物語のラストも本来別の名前の主人公の物語から引いてきたものである)。訳者は解説にて「神話学的民俗学的的資料として利用する場合、(中略)慎重にその原型を探り出して行かないと意外な見当違いをする可能性がある。」(p431)と注意を促しているが、ある意味『カレワラ』はフィンランド神話の「再話文学」ともいえる存在であると感じられた。(なお、『カレワラ』中の各々の内容がどの原詩に依っているのか、またリョンロットの創作部はどこなのかについては注記にて示されているので、個人的にはとても有り難かった)
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原書名:Kalevala 編者:エリアス・リョンロート(Lönnrot, Elias, 1802-1884、フィンランド、著作家) 訳者:小泉保(1926-2009、静岡県、言語学者)
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大気の乙女から不滅の賢者ワイナミョイネンが生まれ、乙女を求め求婚の冒険に出る。美貌でむら気なレンミンカイネンも乙女を求めて求婚の旅に出る。ポポヨラの娘を鍛冶屋イルマリネンが射止めその婚礼を描く。 登場人物たちは自然に働きかける力を持っていて、ウッコに頼んで雪を降らせたり野に火を起こしたり、ミツバチに霊薬を集めさせたりすることができる。 随所に呪文の詩が散りばめられている。 白樺の木、スズキ、そり、スキー、サウナ、カモメ、白鳥、ビール作り。フィンランドらしい素材に富む。
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ファンタジーの項に入れるのははばかられるようなフィン ランドの偉大な叙事詩。雰囲気はいわゆる北欧神話に似て いる気がする。巻末にカレワラ自体の概説があり、さらに 各章の内容と解説がまとめてある丁寧な作りはさすが岩波 文庫という感じ。偉大な詩人であり賢者であり魔法使いで あるワイナ...
ファンタジーの項に入れるのははばかられるようなフィン ランドの偉大な叙事詩。雰囲気はいわゆる北欧神話に似て いる気がする。巻末にカレワラ自体の概説があり、さらに 各章の内容と解説がまとめてある丁寧な作りはさすが岩波 文庫という感じ。偉大な詩人であり賢者であり魔法使いで あるワイナミョイネンは北欧神話のオーディンを思わせる 存在なのだが、意外に情けないところがあって面白い。 下巻に続きます。
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フィンランド各地に伝わる伝承をひとまとめにし、それらの主軸となるキャラクターを統一し、再構成した物語といったところでしょうか。神話というよりは昔話らしい破天荒な冒険活劇みたいなノリだと思います。レンミンカイネンのキャラクター性は受け入れやすいかもしれません。19世紀になってからま...
フィンランド各地に伝わる伝承をひとまとめにし、それらの主軸となるキャラクターを統一し、再構成した物語といったところでしょうか。神話というよりは昔話らしい破天荒な冒険活劇みたいなノリだと思います。レンミンカイネンのキャラクター性は受け入れやすいかもしれません。19世紀になってからまとめられたものなので、キリスト教などの影響を受けた改変や、編者による創作もいくつか見えますが、他国の神話・伝承との類似点も数多く見つけることができるのは興味がそそられます。
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