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国家と神とマルクス の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2018/04/27

この頃の著者の本は密度が濃かったなあと懐かしくなる。思想的な面では相容れない部分が多く、さほど楽しめない。著者の思想から離れて他者を分析する際の眼差しが 、硬派でかっこいい。とはいえ近年はその眼差しも突飛な理論を引っ張ってきてムリクリ論評しているように見えて好きになれないが。 著...

この頃の著者の本は密度が濃かったなあと懐かしくなる。思想的な面では相容れない部分が多く、さほど楽しめない。著者の思想から離れて他者を分析する際の眼差しが 、硬派でかっこいい。とはいえ近年はその眼差しも突飛な理論を引っ張ってきてムリクリ論評しているように見えて好きになれないが。 著者独特の自分の思想でさえ突き放して観察するようなスタンスは特に左派の市民運動に著しく欠けていると思う。その意味で、今後に生かしてゆきたい本である。

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2017/04/19

著者が東京拘置所で過ごした512日間に読んだ読書の記録や、各種雑誌に発表された文章を収録した本です。 著者は「自由主義的保守主義」を標榜します。これは、「絶対的なものはある。ただし、それは複数ある」という立場で、その一つ柱となっているのが伝統的な公共性への信頼だと言えるように思...

著者が東京拘置所で過ごした512日間に読んだ読書の記録や、各種雑誌に発表された文章を収録した本です。 著者は「自由主義的保守主義」を標榜します。これは、「絶対的なものはある。ただし、それは複数ある」という立場で、その一つ柱となっているのが伝統的な公共性への信頼だと言えるように思います。他方で著者は、みずからの伝統への信頼が、他者の信念を否定することになってはならないという寛容の精神を強調しています。このことについて著者は「私はキリスト教徒なので神を信じている。……しかし、人間である私が、それが絶対に真実であると他者に強要することは、人間の範疇を超える逸脱行為だと思う」と述べていますが、キリスト教的な倫理が基礎になっていることがよく示されているように思います。そして、著者の立場を支えている3番目の柱となるのが、マルクス主義です。とくに著者は、日本のマルクス主義経済学者である宇野弘蔵を高く評価しています。 本書の議論にはさまざまな関心をかき立てられましたが、とくにおもしろく読んだのは、北畠親房、大川周明、葦津珍彦という保守思想の系譜に著者が注目しているところでしょうか。北畠の『神皇正統記』は、積極的に明の冊封体制に参画しようとした足利義満のグローバリズムと対立するものであり、著者自身の寛容な伝統主義に近い立場だと著者は考えます。そしてこの北畠を評価したのが大川周明であり、他方それを批判したのが原理日本社の蓑田胸喜だったとされています。著者によると、蓑田の日本主義は唯一の正しい日本国家のドクトリンを掲げる点でロマン主義的であり、むしろドイツ観念論のような発想に基づいていました。これに対して大川は、日本の伝統を『神皇正統記』のようなテクストに即して理解するという点で、直観に基づいて日本のドクトリンを掲げる蓑田とは対極的なアプローチを取っていたとされます。こうした著者自身の議論自体もまた、テクストに基づく伝統理解になっています。この点に、大川の発想をインテリジェンスの観点から現代に生かそうとする著者特有の知的態度が伺えるように思います。

Posted byブクログ

2017/01/19

年明けてから久しぶりの読了σ^_^; インテリジェンスの訳語として「秘密戦」とありました。 秘密戦とは「諜報」「防諜」「宣伝」「某略」に分けられるといいます。 今の日本では隣国から仕掛けられてると思われています。 それとは別にインテリジェンスに長けてくると「絶対的なもの」が自分...

年明けてから久しぶりの読了σ^_^; インテリジェンスの訳語として「秘密戦」とありました。 秘密戦とは「諜報」「防諜」「宣伝」「某略」に分けられるといいます。 今の日本では隣国から仕掛けられてると思われています。 それとは別にインテリジェンスに長けてくると「絶対的なもの」が自分だけでなく他者にもあると理解できるとあります。 と考えると日本人は他者の宗教に寛容であり絶対的なものが各人のうちにあると認めることができる寛容性があるのかもしれません。 しかし今の仕事をしてるとその寛容性が失われてきているのかなあとも思います。 せめて自分はそうならないように気をつけたいと思います。

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2014/02/05

勉強した人が現代政治・国家について分析したことをとうとうと述べている感あり。単なる陰謀論でないことは評価したいが、so whatという感想。

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2012/05/15

新しい考え方についての手掛かりをもらえた一冊。 自分が逮捕されたら、果たして平穏な気持ちでいられるであろうか?

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2011/12/02

著者との知識に差があり過ぎてとてもすべて理解できるものではないが、 天皇制、ソ連崩壊、北方領土などについての言説にはなるほどと思わされる。

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2011/11/27

獄中記だったか国家の罠だったか。君は官僚としてはカリスマ性がありすぎる、みたいなことを言われた、なんて記述があったがその意味がよくわかる。 この本は右の雑誌から左の雑誌までを横断したコラム集である。で、あるのだが、右とか左とかはほとんど意味をなさない。なぜならこれはあくまでも「佐...

獄中記だったか国家の罠だったか。君は官僚としてはカリスマ性がありすぎる、みたいなことを言われた、なんて記述があったがその意味がよくわかる。 この本は右の雑誌から左の雑誌までを横断したコラム集である。で、あるのだが、右とか左とかはほとんど意味をなさない。なぜならこれはあくまでも「佐藤優」のコラム集であるのだから。 知的水準の高い著作を書く作家だから彼の著作を読みたくなるのではなく、佐藤優の著作を読みたくて彼の著作を読んでしまう。そんなちょっとした中毒症状を起こしてしまう。 動物園とかのペンギンは、オス度の高いオスがいると、オス度の低いオスがメスの役割を果たすように受けになるって話があるけど、そんなカンジ。彼のカリスマ性にあてられてしまうと瞬く間に信者になってしまう。 それは知的水準というよりは神学という稀少なバックボーンに因る気がするし、更にいえばそういった学問的な何かとは関係のないところに因っている気がする。そういった恐ろしい魅力をこの著者は持っている。 いわゆるひとつの、くやしい、でも、びくんびくん。

Posted byブクログ

2011/04/13

外務省ラスプーチンと呼ばれた佐藤優さんが書いたコラムやインタビューをまとめた本。国家と神とマルクスというタイトルだが、それぞれをつなげて分析しているわけではなく、ひとつひとつについて語っているだけ。多くの引用や個人的体験をもちいて思想について語っている為、自分に都合のよい部分だけ...

外務省ラスプーチンと呼ばれた佐藤優さんが書いたコラムやインタビューをまとめた本。国家と神とマルクスというタイトルだが、それぞれをつなげて分析しているわけではなく、ひとつひとつについて語っているだけ。多くの引用や個人的体験をもちいて思想について語っている為、自分に都合のよい部分だけを切り貼りしているのでは??という疑念はぬぐいきれないし、分析もやや甘い気はした。しかし、手軽に読める本ではあるし、いくつかコトリと落ちた部分があるので星3つ。

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2010/02/19

最初の、小泉政権の内在論理(新自由主義と保守主義の両方に足を掛けている)、ライブドア事件の背景(新自由主義の押さえ込み)等はよくわかった。 しかし、途中からこの本の半分以上を占める、雑誌のインタビューは、その世界の人しかわからないような極めて専門的な(名前も知らない)雑誌である...

最初の、小泉政権の内在論理(新自由主義と保守主義の両方に足を掛けている)、ライブドア事件の背景(新自由主義の押さえ込み)等はよくわかった。 しかし、途中からこの本の半分以上を占める、雑誌のインタビューは、その世界の人しかわからないような極めて専門的な(名前も知らない)雑誌であるためか、さっぱり話がわからない。 佐藤氏の中心はキリスト教で、右に国家、左にマルクスがある、という表現は佐藤氏の思想を的確に表していると思う。国家の伝統を重んじる保守主義とマルクスの資本論、そして絶対なるものを持ちつつそれを強要しない寛容、これがこの人のポリシーだろう。 「絶対的なものはある。しかし複数ある。」 「僕にとってキリスト教は絶対だ。しかし他の人にとってはそうだとは限らない」というポリシーは、リベラル派クリスチャンの典型だが、それを一般の読者はどれほど理解しているだろうか。

Posted byブクログ

2010/06/01

ジャンル分けに困る本だった。彼がいろんな雑誌等に書いたコラムとかを集めて手直ししたもの。話題が広くしかも結構突っ込むときもあるのでそれなりに知識がないと理解しきるのは難しい。 国策捜査とか日本の司法の拙さみたいのが垣間見える。これが民主国家かと思うような。 いろんな哲学の話とか全...

ジャンル分けに困る本だった。彼がいろんな雑誌等に書いたコラムとかを集めて手直ししたもの。話題が広くしかも結構突っ込むときもあるのでそれなりに知識がないと理解しきるのは難しい。 国策捜査とか日本の司法の拙さみたいのが垣間見える。これが民主国家かと思うような。 いろんな哲学の話とか全部おもしろかったけど一番心に残ってるのは一級のスパイマスターたちの共通点。それらの人が自国、自民族のために命を捧げる気構えがあるがそれが物語でしかないことも知っている、そして愚行権、他者へ危害を加えないならその人の物語を認めること。 あとは恐慌と戦争を繰り返し生き続ける資本主義を考察する上でマルクス経済学が助けとなること。 佐藤さんの考えの根本は自分と近いものがあるような気がする。

Posted byブクログ