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生きているってふしぎだね の商品レビュー

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2010/03/25

 そんな感じで歳月がたち、ある時波平さんの名前をチェックしたら、このシリーズの③が出ているではありませんか。題して『生きているってふしぎだね』。  ところで、ポルトマンという人の指摘によれば人間は一人では生きていけない「生理的早産」というかたちで生まれるらしい。これは九大の土戸セ...

 そんな感じで歳月がたち、ある時波平さんの名前をチェックしたら、このシリーズの③が出ているではありませんか。題して『生きているってふしぎだね』。  ところで、ポルトマンという人の指摘によれば人間は一人では生きていけない「生理的早産」というかたちで生まれるらしい。これは九大の土戸センセイのテキストで勉強したの(新谷恭明・土戸敏彦編『人間形成の基礎と展開』コレール社 この第一章「人間-この特異な存在」に書いてあった)。つまり、生まれたばかりの赤ちゃんで自分でえさも見つけられない、まるで胎児みたいじゃない。だからこそ人間には「たぐいまれな可塑性」があるんだって、書いてあったわ。つまり、教育には意味があるってことね。  でも、赤ちゃんはなぜかわいいのかってことは土戸センセイの本には書いてなかった。この本ではその理由から書いてあるの。それからかわいい赤ちゃんから子どもが大きくなっていくのにみんながどうやってかかわっていったか。どうやっておとなにしていったのか。どうしておとなは口うるさいのか。おとな=一人前になるってどういうことなんだろうか。うん、この本って子育ての本だな。親も教師も子どもとどうやってかかわっていったらいいのか、何のために育てるのか。そんなことが文化人類学(ていうか、民俗学かもしれない)の知見に基づいて書かれている。これ一冊あれば育児ノイローゼにならないですむし、学校で生徒を怒鳴り散らさなくてもすむ。とっても役に立つ本だね。

Posted byブクログ