浄夜 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
単に自分とは合わないのだろうと思う。 試しに他の作品も読んでみようか。と言う気にすらなれない。 とはいえ「舎人の部屋」は読んでみよう。 SMの世界は奥深い。本作で描かれたその世界は、個人的には「宮島弥生」同様、異様で醜悪で好みではなかったかな。
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花村萬月である。私の大好きな作家さん。この小説が面白いかどうかと聞かれたら、うーん。となるが、好きか嫌いかと聞かれたら、好きと即答できる。 どうして花村萬月がそんなに好きなのかわからないが、共通して言えるのはエロスと凶暴性、そして破滅的といったところだろうか。 さて、こ...
花村萬月である。私の大好きな作家さん。この小説が面白いかどうかと聞かれたら、うーん。となるが、好きか嫌いかと聞かれたら、好きと即答できる。 どうして花村萬月がそんなに好きなのかわからないが、共通して言えるのはエロスと凶暴性、そして破滅的といったところだろうか。 さて、この『浄夜』。まず私が読んだのは文庫版ではなく2005年9月に双葉社から出版されているハードカバーのものである。 この作品も花村萬月が満載である。物語を楽しむというより、花村萬月を味わうという感じ。登場人物もみんなどこか壊れていて魅力的だ。 作家志望の宮島弥生の章と、作家を諦めた凄腕編集者、桐島の章が交互に描かれている。宮島弥生の異常性、桐島の人間模様。どちらも楽しめる。 そして、桐島と宮島が出会った時に宮島は作家としての才能が開花する。 それにしてもまさか舎人とまた会えるとは。今から『舎人の部屋』が楽しみだ。
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こういう書き方をするのかと驚いた。推理小説のような入れ子構造で、どれが真実なのかは分からない。キャラクターの描写が重くて、どう転がるのかドキドキしてしまう二次元的な直接感に対して、ストーリーラインの真と虚が多次元的で、その曖昧さが心地良い。 前半の弥生のパートは、弥生が書いた...
こういう書き方をするのかと驚いた。推理小説のような入れ子構造で、どれが真実なのかは分からない。キャラクターの描写が重くて、どう転がるのかドキドキしてしまう二次元的な直接感に対して、ストーリーラインの真と虚が多次元的で、その曖昧さが心地良い。 前半の弥生のパートは、弥生が書いた小説だということが明かされて、モデルでないことも分かる。ラストでは、この物語自体が弥生が書いた物語ではないかと思わせるシーンがあって、居ないと思われていた舎人が出てきて、どれが本当なのか分からなくなる。私は話の通りに受け取って、前半は弥生の小説で、後半の花山の死亡も、弥生が過食嘔吐を繰り返していたことも本当だろう。桐島についてはハッキリとは分からないが、あれは桐島目線での話で、弥生の小説とは違うのではないかという印象。 過食嘔吐やSMや醜悪なまでに克明な性描写などを書かれると胸がいっぱいだ。ここまで書かなくても良いのにとも思うが、これが著者のいう潔癖だから書ける変態性なのだろう。単純な事を言ってしまうと、真実は覆い隠して想像するのが良いとは思うが、普段は快楽天を読んでいる人も、たまにはこういう本の性描写を読んで「本当はそうだよな」と感嘆符を出すのも良いと思う。 この本を読んでいて一番良かったところは、性描写でも人物描写でもなくて、89pの桐島が思う「純粋な文学は、あるのだ。どこにでも、というわけにはいかないが、確実に存在する。…………」という所だ。小説というものは、一流の文化からは随分と前に抜け落ちていて、その座には映画いるし、最近はゲームが追い上げていたりもする。ベストセラーになるものは、作者の評判や物語性が必要になりプロデュースが重要だ。その点でいうと芸能人が書く小説は最高の売り上げになる。そして、これからの小説が生き残るには、純粋な文学はあるのだと、文字だけで表せられる世界があるのだと、そう信じている少数の人に向けて届けなければいけない。本編とはあまり関係ないが、そんな事を考えてしまう箇所で、作者は本気でそれを言っているし、そういう純粋な小説を読んで見たいと思っているのではないだろうか。それこそ宮島弥生のような才能が、自分が死ぬかわりにでもいいから出て来てくれ、というメッセージとして読んだ。
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綺麗事抜きでとても動物的でいて美しい生き様を見せてくれる小説だと思います。欲と感情を全開で互いにぶつけ合う関係がとても心地いいです。題も素敵ですね。このタッチの花村先生は個人的に大好きです。
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学生時代以来、久し振りに花村氏の作品を読んでみた。 氏は前々から異次元の存在だったけど、知らないうちにすごいところまで辿り着いていました。 長時間続けて読むと混乱するので少しずつ読み進めて、結局読了まで数カ月かかったかな。 あまりにも理解不能なので、点数をつけることもできずに星3...
学生時代以来、久し振りに花村氏の作品を読んでみた。 氏は前々から異次元の存在だったけど、知らないうちにすごいところまで辿り着いていました。 長時間続けて読むと混乱するので少しずつ読み進めて、結局読了まで数カ月かかったかな。 あまりにも理解不能なので、点数をつけることもできずに星3つにしました。いやいやまいった。
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凄い小説読んだ!最初はクソ面白くないなぁと思って読んでいたけど、途中からの疾走感と狂いっぷりにら惚れ惚れしました。
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同じく双葉文庫から出ている「鬱」とどう違うんだろう?っていう作品。 危険さ、ディープさっていう点では前作の方が遥かに上だし。 作家志望に男女が云々的なストーリーが多少似ているだけに対として見てしまい、気になる。 ただ、本作に関してはむしろもっとソフトさ、現実感を取り入れたのか...
同じく双葉文庫から出ている「鬱」とどう違うんだろう?っていう作品。 危険さ、ディープさっていう点では前作の方が遥かに上だし。 作家志望に男女が云々的なストーリーが多少似ているだけに対として見てしまい、気になる。 ただ、本作に関してはむしろもっとソフトさ、現実感を取り入れたのかもしれない。時代も変わったし。装丁も現代風のお洒落さがあります。 あとがきで作者の言っている入れ子細工に関しては成功しているのか失敗しているのか分からないけど、まあこうすると話の進行がしやすいのだろう。つってもこの入れ子細工も「鬱」と一緒やんけっていう気もする。 一章と二章のときに時間が空いたらしいんだけど(エッセイで書いてあった)、それが逆にいい効果を齎しているね。 宮島弥生が絶世の美女じゃなかった、っていうのはかなり意表をつく展開。
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