アデン、アラビア/名誉の戦場 の商品レビュー
221212*読了 「アデン、アラビア」は難しい。 これ、小説?と思いながら読んでいたけれど、違ったんだな。 当時のヨーロッパ、フランスを全く知らない身からすると分からない部分が多かった。 各章によって論じる項目ががらりと変わるので、ついていくのが大変。 これもまた、文学なのだな...
221212*読了 「アデン、アラビア」は難しい。 これ、小説?と思いながら読んでいたけれど、違ったんだな。 当時のヨーロッパ、フランスを全く知らない身からすると分からない部分が多かった。 各章によって論じる項目ががらりと変わるので、ついていくのが大変。 これもまた、文学なのだな。 「名誉の戦場」は前者と比べると読みやすい。 自伝的小説の第一部で、第二部以降はこの時点では翻訳されていない…!今はどうなのだろうか。 自分の祖父母のこと、父のこと、大叔母のことを語っているんだけれど、そこにいるであろう「ぼく」の存在がほとんどない。 こんな風に自身の存在を消しながら、情景を描写でき、それもかなり緻密に描けるのはすごい。 細かなエピソードがたくさん重なり、章ごとに時系列が変わる目まぐるしさと、何かが起こっているようで大したことは起こっていないごく普通の家族の様子との織りなし方がとてもよかったです。
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『アデン・アラビア』 20歳から21歳になる境目で読んだ。世界への鬱屈とした眼差しに共感はしたが、それだけで終わってしまったので少し物足りなかった。 『名誉の戦場』 母方と父方の家族をユーモラスに綴りつつ、第一次世界大戦への記憶へと移っていく織り目が、繊細で丁寧だった。戦争のや...
『アデン・アラビア』 20歳から21歳になる境目で読んだ。世界への鬱屈とした眼差しに共感はしたが、それだけで終わってしまったので少し物足りなかった。 『名誉の戦場』 母方と父方の家族をユーモラスに綴りつつ、第一次世界大戦への記憶へと移っていく織り目が、繊細で丁寧だった。戦争のやりきれなさが語り口から伝わってくる。後半は切なくも次の作品へと繋がっていく予感があったので、続きも翻訳してほしい。
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「僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて誰にも言わせない。」 自分も含めて、若者には共感を、壮年以上には青春への回顧を呼び起こす美しい冒頭の言葉をどこかで目にし、本書が気になっていたという人は多いのではないだろうか。 自分はこの言葉を沢木耕太郎の文章(エッセイか...
「僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて誰にも言わせない。」 自分も含めて、若者には共感を、壮年以上には青春への回顧を呼び起こす美しい冒頭の言葉をどこかで目にし、本書が気になっていたという人は多いのではないだろうか。 自分はこの言葉を沢木耕太郎の文章(エッセイか深夜特急だったと思う)で目にし、長らくこれがニザンの「アデンアラビア」のものだと忘れていた。
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たぶん、10年後のわたしはこれを読んで眉をひそめるだろう。だからこそ、いま読まなきゃダメなんだ。 高校時代、北海道はとにかく遠かった。世界中でもあんなに遠い場所、いまでは存在しないのではないかと思う。金さえ払えばどこでも行けるし、きっとそういう問題じゃない。もう、あの場所はどこ...
たぶん、10年後のわたしはこれを読んで眉をひそめるだろう。だからこそ、いま読まなきゃダメなんだ。 高校時代、北海道はとにかく遠かった。世界中でもあんなに遠い場所、いまでは存在しないのではないかと思う。金さえ払えばどこでも行けるし、きっとそういう問題じゃない。もう、あの場所はどこにも存在しない。 アデンの地はその距離に関わらず遠い場所で、彼は能書きを垂れるだけで社会に反抗できた。少なくともそう信じられた。 反抗する意味を疑うか?反抗のどうしようもなさを笑うか? 20歳を前に読みたかった本。
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アデン、アラビア…やや消化不良。とても頭が良くて世の中のことが若くしてよく見えてしまうのも不幸かもしれない。時代が戦争前後で、現代より西欧人が特権意識が強くそのなかでもエリート階層にいながら、そこに身を置くことに居心地の悪さ、納得できなさがかなりあったようだ。それがキレのある表現...
アデン、アラビア…やや消化不良。とても頭が良くて世の中のことが若くしてよく見えてしまうのも不幸かもしれない。時代が戦争前後で、現代より西欧人が特権意識が強くそのなかでもエリート階層にいながら、そこに身を置くことに居心地の悪さ、納得できなさがかなりあったようだ。それがキレのある表現で書かれていると思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
その出だしの一文で有名な「アデン、アラビア」だが、綿々と綴られる各界の巨匠達への批判には少し面食らってしまう。自分自身それら思想家達の業績に詳しい訳ではないので、理解できる部分は少ないは、当時の植民地の実態を描くことで欧州を批判し、、苦悩していいるということは理解できる。 「名誉の戦場」はまるでおとぎ話のように家族の歴史が語られていく。ユーモアの混じった温かみのある文章が続いたあとで、後半部で突然リアルな闘いの描写が挿入されて、前半がその伏線であったことに気づく。著者が戦後生まれであることを考えると、見事としか言いようがない構成と描写だと思う。
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アデン・アラビアだけ読んだ。最初の文章以降にそれ以上のものが出てこないという意見には賛成せざるを得ない。
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歴史は創造と破壊を繰り返す。苔が生えた伝統や常識に逆らうことを目的に逆らう人がどの時代にもいる。しかし、創造と破壊の両方を兼ね備えた人はまれである。大抵は、逆らうこと、破壊することで満足するか、それにとって変わりうる新たな価値観を構築しないまま終わる。著者もまさにその典型である。...
歴史は創造と破壊を繰り返す。苔が生えた伝統や常識に逆らうことを目的に逆らう人がどの時代にもいる。しかし、創造と破壊の両方を兼ね備えた人はまれである。大抵は、逆らうこと、破壊することで満足するか、それにとって変わりうる新たな価値観を構築しないまま終わる。著者もまさにその典型である。 ダダイズムやシュールレアリズム、構造主義やポストモダンの旗手たちのその後の無残な失敗を見れば、破壊する、逆らうことの精神的幼さをその都度ただ再認識する。
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アデンアラビア/名誉の戦場 (再読) 「僕は二十歳だった。それが人生で最も美しいときだ何て誰にも言わせない」 (p98) 熱帯の砂漠にこんな当たり前の事実を発掘しに来る必要が、アデンまでパリの秘密を探しに来る必要があったのだろうか?帰国したとき、ほかの多くの人たちがセーヌ川の...
アデンアラビア/名誉の戦場 (再読) 「僕は二十歳だった。それが人生で最も美しいときだ何て誰にも言わせない」 (p98) 熱帯の砂漠にこんな当たり前の事実を発掘しに来る必要が、アデンまでパリの秘密を探しに来る必要があったのだろうか?帰国したとき、ほかの多くの人たちがセーヌ川の真ん中をこうした真実が通り過ぎていくのを見ていたことを知った。でも僕は何も後悔していない。真実は目の前にあった。そしてまばゆい光を持って現れたので、もう見失う心配はない。僕は自分の終末にあまりに近いところにいたのでそうした真実を若さゆえの過ちだとみなすことは出来なかった。成長がすべてを説明するなんていわれてももう信じない。こうした真実にパリ五区のあいだで出会えたという可能性はやはり低かったように思える。たくさんの毛布が僕の上にかぶせられようととしていたから。僕は裏切りになっていたかもしれないし、窒息死していたかもしれない。 未整理 風景描写の凄さ「名誉の戦場」 下ロワール県では、雨は連れ合い、人生の忠実なパートナーだ。 (帰還系の他簿の物語り ある意味メーテルリンクに近い もっと残酷であるが
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ポール・ニザンの「アデン、アラビア」読了。全く入り込めなかった。全てが知識人気取りの詭弁であり、こんな作品が未だに読まれていること自体が不思議。今はどうなのか知らないけど、当時のフランスというのが如何に凝り固まった知識人に毒されていたかがわかる。
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