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神様のいない日本シリーズ の商品レビュー

2.9

15件のお客様レビュー

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2022/06/23

願う強さはいつの時代も神様か。 奇跡に投影するのは願望か。 あの男に対する、父さんの気持ち。願い。 父さんに対する、寿万さんの葛藤。想い。 母さんの対する、父さんの考え。熱量。 香折に全てが集約される。 走っていくメロスでもいいよ。 ゴドーを待っていてもいいよ。 どっちでもいいん...

願う強さはいつの時代も神様か。 奇跡に投影するのは願望か。 あの男に対する、父さんの気持ち。願い。 父さんに対する、寿万さんの葛藤。想い。 母さんの対する、父さんの考え。熱量。 香折に全てが集約される。 走っていくメロスでもいいよ。 ゴドーを待っていてもいいよ。 どっちでもいいんだ、多分。 日本シリーズの奇跡も、どっちでもいいんだよ、多分。 その時の気持ちが1番大切なことなんだ。 寿万さんが、最前列の真ん中にいる事が、全てを物語ってると、思った。

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2015/11/01

日本シリーズが終わったばかりなので、積ん読の本の中から田中慎弥氏の『神様のいない日本シリーズ』を選び読了。 ライオンズが西鉄の時の奇跡の三連敗からの連勝での日本シリーズ勝利に次いで、西武になってからの1986年の日本シリーズのドラマティックなゲームが行われていた時に高校生だった主...

日本シリーズが終わったばかりなので、積ん読の本の中から田中慎弥氏の『神様のいない日本シリーズ』を選び読了。 ライオンズが西鉄の時の奇跡の三連敗からの連勝での日本シリーズ勝利に次いで、西武になってからの1986年の日本シリーズのドラマティックなゲームが行われていた時に高校生だった主人公の多感な時期ゆえの葛藤とドキドキの日々が主人公の息子への独白というかたちで語られる形で出来ている小説だ。物心ついた頃に出て行った父親の目の前にいないが軽くはない存在に対するえも言われぬ思いを抱えながらも、後に妻となる女性と出会い一緒に練習をして文化祭の舞台に立つまでの恋心をいだいた浮ついた心を持て余す若者の青臭い日々が軽やかに描き出されていて、読みながら久しぶりに昔々旭川にいた頃の日々を思いだしてしまった。

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2013/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

気持ちのよい読後感ではないが、なぜかインパクトがある物語。 豚・・・ 執拗な日本シリーズの描写・・・ 父親の父親の手紙の正体・・・ ときどき通常の感覚では理解できない父親のテンションの高さ・・・ そして、語りかける相手が最後まででてこない・・・ これ、毎回思うけど、田中慎弥の物語は読みにくいが、文章は読みやすい。

Posted byブクログ

2013/02/25

思わずだからなんじゃい!?と言ってしまった。 精神的に乗り越えていこうとする所や、妻になった人に対しての少年の時の気持ちは良かったんだけどなぁ。

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2013/03/18

1986年の日本シリーズは、広島東洋カープと西武ライオンズで争われ、初戦が引き分けとなったため、唯一第8戦まで行われました。引き分けの後、カープは3連勝して4連敗し日本一を逃します。そしてこの年、山本浩二が引退を表明するという流れは、カープファンにとっては基礎知識的なものですが、...

1986年の日本シリーズは、広島東洋カープと西武ライオンズで争われ、初戦が引き分けとなったため、唯一第8戦まで行われました。引き分けの後、カープは3連勝して4連敗し日本一を逃します。そしてこの年、山本浩二が引退を表明するという流れは、カープファンにとっては基礎知識的なものですが、当時の僕は7歳でリアルなところでの記憶は全くありません。 この本は、放課後学校に残って文化祭の準備を進める少し非日常的な興奮と、同時に進行する1986年の日本シリーズを中学生の視点から追い、その雰囲気はどこか懐かしい感じがしました。 田中氏は、巧みなストーリーで読ませるというより圧倒的な文章力を誇示するように小説を書いているという感じがします。ペラペラな文章力で少しひねったストーリーの小説とは全く違うので、文字に慣れていない人は読みにくいかも知れません。

Posted byブクログ

2012/05/09

父から子へ、すべて一人称で語られる、我が家の歴史がテーマになっている小説。 いじめが原因で部屋に引きこもってしまった子供のために、父はドア越しに、祖父から続く血の歴史を語りかける。 父の幼少期、失踪してしまった野球好きの祖父。 祖父からくる手紙がくるたびに破り捨てる祖母。 ...

父から子へ、すべて一人称で語られる、我が家の歴史がテーマになっている小説。 いじめが原因で部屋に引きこもってしまった子供のために、父はドア越しに、祖父から続く血の歴史を語りかける。 父の幼少期、失踪してしまった野球好きの祖父。 祖父からくる手紙がくるたびに破り捨てる祖母。 いびつな日常を過ごす父は、中学最後の夏に独りの女性に恋をする。 淡々とした語り口で語られる、日常の営み。 奇跡やドラマチックな展開を期待させない乾いた筆致が、日常に多大な期待をしない読者の共感を得るかもしれない。 それゆえ日常の中に、新たな始まりを予感させるラストシーンは静かな感動をあたえてくれる。 出会いと時間の不思議さを、淡い余韻で読み手を包んでくれる。 人は自分の人生を振り返ったとき、その時間の積み重ねの中に奇跡のような時間が流れているのを発見するかもしれないという気持ちにさせてくれる作品であった。

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2012/04/19

「(芥川賞)貰っといてやる」方の作品。 単に、タイトルに惹かれただけです、はい。 球史に残る大接戦を演じた西武VS広島の日本シリーズ。 第八選までもつれ、引き分け、三連敗からまさかの、大逆転。西武優勝。 古くは、西鉄VS巨人で三連敗からの逆転で西鉄優勝なんてもありました。 そんな...

「(芥川賞)貰っといてやる」方の作品。 単に、タイトルに惹かれただけです、はい。 球史に残る大接戦を演じた西武VS広島の日本シリーズ。 第八選までもつれ、引き分け、三連敗からまさかの、大逆転。西武優勝。 古くは、西鉄VS巨人で三連敗からの逆転で西鉄優勝なんてもありました。 そんな二つのエピソードを交えた父と子、はたまた、その父とその父と母親との物語。ってややこしいな。読めばそんなややこしくはないんですがね。 ど~も私には文学は苦手というか、感性が鈍っているというか。 馴染めない。独特の文体のせいにもできないしなぁ。 ということで、いまひとつ楽しめませんでした。

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2013/02/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第146回芥川賞受賞の田中慎弥さん。その記者会見の、いい意味での変人ぷりに惹かれ初めて読みました。 内容は、もっと、「わけがわからない」ようなものを勝手に想像してしまっていたので意外にまともで(失礼)楽しめました。 文章がきれいで頭にすっと入ってくるので好きです。最初から最後まで小4の息子に父が語りかける変わった体裁や学生時代の妻との微妙な関係性など印象に残ります。野球の描写も、語る父は淡々としているのに、その当時、プロ野球の日本シリーズで日本がどれだけ沸いていたか伝わってきます。 田中さんの他の本も読んでみたいと思いました。

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2012/02/12

読んでいる途中で芥川賞受賞が決まった。もっと変な人かとおもっていたら意外とまともで少し驚いた。 この作品ももっとドロドロしているのかと思っていたけど、意外と(ていうと失礼だな…)高度な技巧を凝らしていて感心した。

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2012/02/01

先ず文章が上手いな、と。 '86年の日本シリーズの奇跡の時、私は高3で早く帰宅してテレビで観戦してた。この頃の清原が私のヒーローで神様だった事が曖昧ながら思い出された。 よくまとめられた、いい作品でした。神様がいなかった日本シリーズでの奇跡が主人公の未来を導いてくれた。

Posted byブクログ