宗谷・望郷列車殺人号 の商品レビュー
慎がぼそっと漏らした。 「敷香という女性はそれっきりですか」 「そうだ。手紙ひとつなかった」 「お義父さんの口が重いのも当然ですね。……十六年前にはなかった白骨が,ではそれ以降いつ,監視哨に出現したのか。五年前か,一年前のことかもしれない。だが警察に届ける必要はない……言外にお...
慎がぼそっと漏らした。 「敷香という女性はそれっきりですか」 「そうだ。手紙ひとつなかった」 「お義父さんの口が重いのも当然ですね。……十六年前にはなかった白骨が,ではそれ以降いつ,監視哨に出現したのか。五年前か,一年前のことかもしれない。だが警察に届ける必要はない……言外にお義父さんは殺人罪の時効を匂わせていらっしゃる。もしかしたらみつかった白骨の主は,小幡敷香夫人では。そう考えておいでではありませんか?」 あっ,と真由子が小さな悲鳴をあげていた。 (本文p.44-45)
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