1,800円以上の注文で送料無料

冥府神の産声 新装版 の商品レビュー

3.6

14件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/08/23

医療ミステリー。 脳死はどこから脳死なのか? 臓器移植に絡んで、その判断を下す基準はどこにあるのだろう。 元医者のライターと、ホームレスの元同僚が探偵役となる。 人の命に関わるテーマはいつも重みがある。 読み応えのあるミステリーだった。

Posted byブクログ

2017/03/21

利権に群がる人たちをはじめ、ホームレスの人たちなど登場人物は多く、物語は複雑に絡み合っている。 すべてはひとつの殺人事件から始まった。 脳死判定を含め、まだまだ議論の余地がたくさんある「人の死」。 移植の問題なども絡みニュースにもなった「脳死」について、どれほどの人が正しい情報を...

利権に群がる人たちをはじめ、ホームレスの人たちなど登場人物は多く、物語は複雑に絡み合っている。 すべてはひとつの殺人事件から始まった。 脳死判定を含め、まだまだ議論の余地がたくさんある「人の死」。 移植の問題なども絡みニュースにもなった「脳死」について、どれほどの人が正しい情報を知っているだろう。 結局のところ、自分に直接関係のない出来事はかすかに記憶に残るだけで、それについて深く考えることもない。 臓器移植に関連した脳死判定。 推進派と慎重派。相反する考え方をする人たちがいるのは当たり前だし、逆にどこか安心もする。 安全性などこれからまだ解明していかなければならない医療において、全員がもろ手を挙げて賛成したら怖い。 だが、賛成も反対も医学的立場、医学的な知識がもとになってのものという前提がある。 個人的な状況の変化で、大切な医学的判断をされたのではたまったものではない。 研究室における教授の権限は大きい。 研究内容はもちろん、理不尽な要求にも逆らうことは許されない。 理不尽さも一貫していればまだいい。 個人の都合で、根本的な考え方を簡単に変えられたのでは納得がいかないのもわかる。 医療の現場における現状を把握していたとしても、専門的な知識がどれほどあろうとも、「医学の未来」への視点がない人間に大切な判断をする資格はない。 吉井教授はその資格を失ってしまったのだと思う。 トウトの不思議な能力や傷痕など、わからないまま物語は終わる。 特別な能力を持たない人たちは何かを行動するとき、何が正しいのか、いったい何をもって正しいと思うのか。 よく考えなければならないのだろうなと感じた。

Posted byブクログ

2016/09/04

脳死の判定いかんによって、医師は犯罪者にもなる極めて繊細で神の領域と言われるのに納得できる話。 2017.09.04読了

Posted byブクログ

2016/06/13

and for catastrophe at last! i believe the research about the science of brain.

Posted byブクログ

2016/02/13

主人公は元医療研究者で、今は医療ジャーナリスト。 新宿の中央公園でかつての恩師が殺されたことをきっかけに、事件に巻き込まれていく話。 人の「死」とは、どの状態のことか。というような脳死の判定の話がでてくる。 小難しい感じだけど、話自体は普通ミステリー。

Posted byブクログ

2022/11/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

北森鴻の鮎川哲也賞受賞後の第一作。この作品と狐罠という作品が立て続けに刊行され,狐罠の評判は高かったが,こちらは,ほぼ黙殺されてしまったらしい。北森鴻らしい,よくいえば読者サービス満載,悪く言えば詰め込みすぎ…ということはなく,すっきりまとまっている。かといって面白いかというとそこまででもない。脳死というテーマで描かれているが,ミスディレクションが全く機能しておらず,ちょっとミステリ慣れした人なら,吉井殺しの犯人は,間違いなく当ててしまうだろう。トウトという少女の存在の生かしきれていない。円熟期の北森鴻なら,もっと面白い形に仕上げられたかもしれない。 とはいえ,北森鴻好きなら,それなりには楽しめる★3で。 ○ あらすじ プロローグは,女性から別れた男性への手紙。 冒頭で殺人事件があり,帝都大学の大学教授である吉井原義が殺害される。かつて,帝都大学で,吉井教授の研究室にいて,脳死についての見解の相違から,吉井教授の研究室を出て,ジャーナリストになった相馬研一郎というジャーナリストが,狂言回し的な立場から物語を紡ぐ。 かつて,相馬と同じく吉井の研究室に在籍し,2年前に研究室をやめ,現在は浮浪者となっている九条昭彦 九条とともに,西新宿のダンボール村にいる謎の少女トウト。西新宿のダンボール街の様子を撮影している専門学校生の三森仁美。そして,相馬に吉井教授の事件の調査を依頼する,自称製薬会社のプロパー時生保。一癖も二癖もある人物達が,登場する。 物語の背景に存在するのは,脳死についての問題。かつて,吉井は脳死を積極的に認め,臓器移植を進める立場の人物であった。脳死について慎重な考えを持つ相馬とはその点から意見が対立し,最終的に相馬は吉井の研究室を出ることになる。 しかし,吉井は,自分の娘が脳死状態になってしまったことから,立場を変える。また,逆に脳死について慎重だったはずの,左藤莞爾という学者は,孫が臓器移植を待つ体になったことから,脳死を積極的に認める立場に変節する。 吉井殺しの事件の真相は,かつて恋人を捨て,吉井のために留学し,臓器移植のエキスパートとなる道を進んでいた有元という吉井の研究室の研究者が,脳死についての立場を一変させた吉井を殺害したというものだった。 また,時生は,製薬会社の利益のために,帝都大学の従業員で,「窓」という名前でライター活動をしていた丸尾という人物を殺害し,有元まで殺害し,相馬まで殺害をしようとする。 しかし,ダンボール村の住民達に助けられ,相馬は休止に一生を得る。吉井の娘が脳死状態になったのは,九条に襲われたからであり,九条がそのようなことをしたのは,死亡したはずの人間の脳から脳波が検出されるという実験を経験したからであった。トウトという少女も,脳にロボトミー手術がされ,本来であれば感情を持たないはずだが,感情を持っていた。破壊された脳細胞は二度と再生しないという定説が覆されるかもしれない…。九条と相馬は,トウトという少女の存在に,奇跡的なものを感じていたのだった。

Posted byブクログ

2013/05/11

しばらく前に読んだのですが、登録を忘れていました。面白く、興味深い内容でしたが、いろいろ難しかったかな。そして、いろいろ考えさせられました。北森作品は、そのストーリーの根底にある北森さんの思いを汲むべく、手元に置いて何度でも読み返したくなるものが多いですねー。いろいろ読むと、いろ...

しばらく前に読んだのですが、登録を忘れていました。面白く、興味深い内容でしたが、いろいろ難しかったかな。そして、いろいろ考えさせられました。北森作品は、そのストーリーの根底にある北森さんの思いを汲むべく、手元に置いて何度でも読み返したくなるものが多いですねー。いろいろ読むと、いろんな北森さんがわかるようで、ますます北森さんが好きになります♪

Posted byブクログ

2012/06/24

トウトの存在が何かと結びついているかと思ったが。。。 禁断の実験とあったが、リアルにあるのかと思えた。

Posted byブクログ

2011/05/20

北森 鴻氏の小説初めて読ませていただきました。 医療ミステリーというカテゴリーになるかと思いますが,北森氏が医師ではなく全て取材からこの物語を紡ぎだしたという事実に驚愕しております。 医療ミステリーといえば個人的に大好きな海堂 尊氏がいるわけですが,彼もよく書くように厚労省や...

北森 鴻氏の小説初めて読ませていただきました。 医療ミステリーというカテゴリーになるかと思いますが,北森氏が医師ではなく全て取材からこの物語を紡ぎだしたという事実に驚愕しております。 医療ミステリーといえば個人的に大好きな海堂 尊氏がいるわけですが,彼もよく書くように厚労省や製薬会社等の複雑な思惑が絡み合うお話でした。 こういった専門分野におけるお話というのは我々素人には見えない部分だけにそれだけで興味の対象になります。 私も過去、海堂 尊氏の小説を読み、国や厚労省の動きに興味を持つに至りました。 何に於いても今まで無関心でいたものに興味を持たせてくれるものはありがたいものです。 今作を読んで物書きたるもの社会風刺の一つも物語に組み込めないといかんなぁ〜などと妙に感心させられました。(笑) 別に私が物書きって訳ではないのですがね…

Posted byブクログ

2011/02/04

脳死臨調でリーダー的存在だった教授の刺殺から始まる医療ミステリ。 香菜里屋シリーズでお馴染みの北森鴻は短編のイメージが強かったのですが、 力強く最後までぐいぐいひっぱってくれました。 大満足!!! この一年では永遠の0に次ぐヒットかもしれません。 ちなみに謎解きも良いんですが、最...

脳死臨調でリーダー的存在だった教授の刺殺から始まる医療ミステリ。 香菜里屋シリーズでお馴染みの北森鴻は短編のイメージが強かったのですが、 力強く最後までぐいぐいひっぱってくれました。 大満足!!! この一年では永遠の0に次ぐヒットかもしれません。 ちなみに謎解きも良いんですが、最後の納め方がなかなかドラマチックで、北森節が冴える感じでした。 しびれる。 作中で語られていて興味深かったのは『人は三人称(知らない人)の死と一人称(自分自身)の死は簡単に受け入れられるが二人称(身近な誰か)の死については抵抗を示す』というおはなし。 身近な方を病気でなくされた方は頷かれる方も多いかと思います。 私自身自分の延命治療には否定的なのにもかかわらず、母が延命治療を拒否していた旨聞かされた際にはとても複雑な心境でした。 ただ作中で救いだなぁと思ったのは作中の専門家二人が自身の家族の体験を踏まえて専門家としてのスタンスを覆した事です。 専門家しか論じられない問題だからこそ、専門家には一般人としての視野も持っていて欲しいと思います。 (自分の仕事でもそうありたいな、と思うのですが、難しいですね(^_^;)) そんなこんなでとても考えさせられる、でも小説としてとても面白いお話でした。 最後に巻末の杉江松恋さんの解説の冒頭が秀逸だったので引用して終わります。 ____以下引用____ 北森鴻の作品を読むと、いつも人恋しい気持ちになる。 いつも、そうなのだ。物語に感情移入して読めば読むほど、温もりが欲しくなる。 孤独を描くのが、なんて巧いんだろうか。素晴らしく凛々しい小説である。 『冥府神の産声』を読み返して、改めてそう印象を持ちました。 ___引用ここまで___

Posted byブクログ