シャイロックの子供たち の商品レビュー
「下町ロケット」に次ぐ傑作。銀行の内部の恐ろしさ厳しさを複数の行員の視点から描きながら、ミステリとしての要素もきっちりとまとまっている。 池井戸さんの「熱さ」が充分以上に伝わる1冊だった。
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銀行内部の様子が非常にリアリティを持って書かれていて面白かった。個人的には視点がころころ入れ替わるのは読みづらいと感じたが、話自体は本当に最後まではらはらと引き込まれる内容だった。
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メガバンクの東京第一銀行の長原支店を舞台にそこに勤める行員をピックアップし掌篇で纏め、且つそれぞれが大きなストーリーを形成している。 サラリーマンを38年経験し、数字のノルマに追いまくられ、20年以上管理職を経験した身としては身につまされる内容でフォローする側、される側いずれも解...
メガバンクの東京第一銀行の長原支店を舞台にそこに勤める行員をピックアップし掌篇で纏め、且つそれぞれが大きなストーリーを形成している。 サラリーマンを38年経験し、数字のノルマに追いまくられ、20年以上管理職を経験した身としては身につまされる内容でフォローする側、される側いずれも解る。家庭の大切さ、ノルマの重み、コンプライアンス、本当にサラリーマンは・・・・。 池井戸さん自身が銀行マンであったことも銀行の日常業務が非常に解りやすく、また文章も歯切れ良く一気に読み終わった。
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安心と信頼の池井戸作品。本作は、銀行を舞台とした群像劇&ミステリー。タイトルにある「シャイロック」とは、「ヴェニスの商人」に出てくる強欲な金貸しの名前だそうです。 いつも通りあっという間に読んでしまいました。銀行の出世レースとはかくも厳しいものなのか…。相性の悪い上司のせいで人...
安心と信頼の池井戸作品。本作は、銀行を舞台とした群像劇&ミステリー。タイトルにある「シャイロック」とは、「ヴェニスの商人」に出てくる強欲な金貸しの名前だそうです。 いつも通りあっという間に読んでしまいました。銀行の出世レースとはかくも厳しいものなのか…。相性の悪い上司のせいで人生を変えられてしまったり、業績のために悪事に手を染めたりと、銀行員の中で何かが狂っていく瞬間がある意味残酷に描かれてています。 感動的なシーンはないですが、銀行の舞台裏を覗いている感覚は、スリリングで面白かったです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とある銀行の一支店にスポットを当て、そこで働く行員を様々な角度から描写した一風変わった短編集。 しかし、ただの短編集でないのが著者の機知に富んでいるところ。 一企業人の自分の立場として読むには描かれているシチュエーションがあまりにリアルで身に詰まされる思いもあるが、読了したあとに感じたことはどんな立場であれ、根底に流れる思いはみんな同じなのだと改めて思った。
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ミステリーとしても極上。銀行を舞台に描かれる人間描写も秀逸。職場での姿と家庭人としての両面を描くことで、より人物に奥行きを持たせ、共感や嫌悪感を感じやすくさせている。 読んで良かったと思わせてくれる一冊。
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「本命が勝ちそうな手堅いレースのことをそういうんだ。銀行レースってな」 「甘えが招くのが癒着なら,癒着が招くのは,何か?答えはひとつー不正だ」 「みんなは生き甲斐を見つけるために仕事をし,晴子は生きるために仕事をしている。同じ仕事をするのでも,生きがいのために働くのと生きるために...
「本命が勝ちそうな手堅いレースのことをそういうんだ。銀行レースってな」 「甘えが招くのが癒着なら,癒着が招くのは,何か?答えはひとつー不正だ」 「みんなは生き甲斐を見つけるために仕事をし,晴子は生きるために仕事をしている。同じ仕事をするのでも,生きがいのために働くのと生きるために働くのとでは全く違う」 「銀行では『どういう経緯でこの会社と取引が始まったか』が大切なんだ…だからさ,新規取引を始めたときのメモってのは,ずっと大切に残してあるんだぜ。カネに色は付いていないっていうけど,銀行はそれに色を付けるのが仕事なんだよな」 銀行と対決するヒーローが最後は勝ってすっきりっていういつものパターンとはちょっと違って,切ない。主人公を変えた短編っぽく進んでいくのは面白かった。
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銀行での現金紛失をめぐるミステリー。元銀行員の池井戸さんだけあって、銀行の描写がリアルで面白かった反面、銀行というところが恐くなりました。ミステリーという面からも話がテンポよく進み面白かったです。
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面白かったです! タイトルにある「シャイロック」が何なのか分からず、子供たちが主人公なのかと思ったら全然違いました。シャイロックとはヴェニスの商人に出てくる悪徳金貸しの事だそうです。この物語は短編ではあるんですがすべて、ある銀行を舞台にしたもので、なるほど、シャイロックとはなかな...
面白かったです! タイトルにある「シャイロック」が何なのか分からず、子供たちが主人公なのかと思ったら全然違いました。シャイロックとはヴェニスの商人に出てくる悪徳金貸しの事だそうです。この物語は短編ではあるんですがすべて、ある銀行を舞台にしたもので、なるほど、シャイロックとはなかなか見事な比喩です。 短編ですがそれぞれの話が所々つながってて、登場人物の背景や立ち位置を覚えておくと面白さが激増です。池井戸さんはもともと銀行勤めだったこともあり、銀行業務に関する描写も細かく、現場の雰囲気がとてもよく伝わってきます。
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アマゾンで高い評価を読んだので初トライ。現代のどろっとした競争社会的確にを描いているのでしょうねえ、面白いのだけど重い気分になりました。連作形式が新鮮で良いと思います。
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