シャイロックの子供たち の商品レビュー
銀行内での現金行方不明事件を軸に、副支店長、一般職行員、できる新規工作員、できない新規工作員など10話それぞれの目線で話が進んでいく。 それぞれの目線で1つの支店内部と事件を見ていくと、いつの間にか舞台である長原支店の内部事情やそれぞれの主人公の想いが読者に浸透する。 特に、...
銀行内での現金行方不明事件を軸に、副支店長、一般職行員、できる新規工作員、できない新規工作員など10話それぞれの目線で話が進んでいく。 それぞれの目線で1つの支店内部と事件を見ていくと、いつの間にか舞台である長原支店の内部事情やそれぞれの主人公の想いが読者に浸透する。 特に、第1話の歯車じゃないは、ボクにとって考えさせられる内容だった。 何のために働くか?を深く考えさせられる内容であり、 一度しかない人生をどう働くかということを再認識させられる。 銀行で出世するなら考えたらだめだ。 しかし、そんな組織に立ち向かうものがいる。 池井戸氏の作品にはそんな主人公や登場人物がいる。 組織との向かい方が難しい日本の大会社。 そんな組織からはみ出すもの。 そんん主人公や登場人物か多い。 話が脱線したが、本書は素直に面白い。 ミステリーとしても銀行内部を知る作品としても。 人は表面だけじゃ分らない。 みんないろいろ考えて生きているし隠して生きている。 自分でも自分のことなんか分らない。 そう感じさせる作品だ。 本書はエンターテイメント性、ミステリー性が強い作品だが、 ボクにとっては生きること、働くことを、考えさせられる深い作品だった。
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連作短編、ですね。 各話の主人公が別の話で脇役で出てきて、なかなか考えながら読んでいると面白かったです。 何を大事に生きるのか、何をなくしていくのか。 考えさせられますよね。 人によって幸せはさまざま。終わり方もこれがハッピーなのかどうか。 小説っていいですね。
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面白かった。 短編かと思いきや、それぞれがつながっていて、最後はどっち?って感じで終わるのもいい。 叩き上げの管理職世代と、理論至上で口だけは負けない若者世代の対立とか、女性行員同士の対立とか、なかなか昇進できないお父さんの悲哀とかよく書かれている。 銀行が舞台だけど、官庁...
面白かった。 短編かと思いきや、それぞれがつながっていて、最後はどっち?って感じで終わるのもいい。 叩き上げの管理職世代と、理論至上で口だけは負けない若者世代の対立とか、女性行員同士の対立とか、なかなか昇進できないお父さんの悲哀とかよく書かれている。 銀行が舞台だけど、官庁系の内情も同じ気がした。小説として面白いが、減点主義のこんな狭い世界が、一度失敗したら二度と成功できないという敗北感を植え付けちゃうんだろうなぁとなんてことも考えたりできる本です。外に出てみたら良いのに…
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普段、あまり焦点の当たらない人物をここまでの臨場感と親近感で表現できるのは凄いです。会社は表面化しないギリギリのところでの攻防で成り立っていることを改めて感じさせてくれます。感情移入なしには読めない!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
銀行のある支店で渦巻く人間模様。 銀行の支店という舞台で主人公が次々に入れ替わり、関わる家族、友人とその思いが交錯していく様子が面白かった。 銀行という組織が垣間見れ、サラリーマンとして生きる自分にも、組織の中での位置付けを改めて認識させられる作品であった。 ちなみにシャイロックとは、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」に登場する人物。 悪辣、非道、 強欲なユダヤ人の金貸しとして描かれているそうだ。
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銀行のある支店における人間模様を短編で描きつつ、全体として1つの事件が浮かび上がってくるタイプのミステリ小説。メインとなる事件のパートがあっさりしすぎているので、ちょっと物足りない。 それでも、だいぶおもしろい。池井戸作品では5本の指に入るだろう。
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銀行を舞台にした様々な事件を描く連作短編集。 ミステリーの要素がたっぷり詰まっていて、それぞれのお話が複雑にリンクし、最後には思わず唸る展開が。 お話としてもちろん巧妙に練られていて面白いんだけど、池井戸潤が描く銀行モノで興味深いのはそのリアルさ。 欲望や陰謀が渦巻く世界はリアリ...
銀行を舞台にした様々な事件を描く連作短編集。 ミステリーの要素がたっぷり詰まっていて、それぞれのお話が複雑にリンクし、最後には思わず唸る展開が。 お話としてもちろん巧妙に練られていて面白いんだけど、池井戸潤が描く銀行モノで興味深いのはそのリアルさ。 欲望や陰謀が渦巻く世界はリアリティ抜群で、実際に銀行へ足を運んだときにも、行内で仕事をする銀行員達の背中にその複雑な思念が読み取れ(るような気がし)て、僕は慄然と立ち尽くしてしまうのです。
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読み始めたときは、銀行を舞台にした短編なのかと思ったら、古川副支店長は生き延びているし、登場人物が重なって出てくるし、おやっ?と思ったのは読み始めて半分過ぎた辺り。7話では著者の罠にまんまとはまり、最後の最後での展開で唸らされたり、とても面白い作品でした。
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面白いのですが・・・ちょっとごちゃごちゃしていて、自分好みではないかも・・・。短編を何本か読んだ感覚。
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内容(「BOOK」データベースより) ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮す...
内容(「BOOK」データベースより) ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。
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