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あなたに、大切な香りの記憶はありますか? の商品レビュー

3.5

27件のお客様レビュー

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2023/02/02
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【 コーヒーもう一杯 】 「コーヒーのことが、今懐かしいわけじゃないの。これから懐かしくなるのよ。あなたはいま、未来の懐かしさを予感してるの。だから、なにも思い出せないのに懐かしいの」 「不意にたまらない懐かしさに包まれたことがある。小学校のグラウンドの風景全てが、まるでパノラマ写真のようにくっきりと目に映る。現在の風景と記憶の中の風景がぴったりと重なり合ったような気がした。でも、そうじゃないんだと思ったの。5年生までの運動会を懐かしんでるんじゃなくて、この風景がいつか懐かしくなるんだろうな、って感じてるの」 「いつか懐かしくなるのよ、この部屋でコーヒーを飲んでたことが」 度々感じてきた、この感覚。 心がざわざわして、でもとてもあたたくて、言葉に表せなかったもの。 早朝の真っ暗な朝焼けの空に、一つだけ明かりが点いた職員室。 クラスで一番のりに登校して、教室の鍵を取りに行った時に見える先生の姿。 ひんやりとした空気と先生の声に導かれて入った時の職員室の雰囲気。 質問を終えて、職員室を出た時には安心感に満たされていた。数時間には布団の中で泣いてたのに。 愛って、優しさってこんなものなんだって。 当時から、懐かしい記憶がした。

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2022/05/25
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「香り」、「匂い」、「におい」をテーマにした短編集。 それぞれに味がある。 『いちば童子』より気に入った作品は、 ①巧い! ②共鳴 ④切味抜群 ⑤美しい!! ①夢の香り 石田衣良 35歳の季理子は鼻をひくひくさせる。20年間求めていた夢の中のにおいに遭遇して。 ②父とガムと彼女 角田光代 毒々しいほど甘ったるいガムのにおいは初子さん、私が小学校の頃、父と浮気していたのではないかと勘違いしていた女性が父の通夜に顔を出してくれたのだ。 ③いちば童子 朱川湊人 俺の好きだった市場の匂い。混ざり合うのではなく一つ一つが音階のよう。アイツも同じこと言うとった。 ④アンタさん 阿川佐和子 誤ってワインをかけてしまったオトコに、食事に誘われた。仕事は宮大工の見習い。私は彼を気に入るようになって、木の香りが好きになった。 ⑤ロックとブルースに還る夜 熊谷達也 予備校時代に2年間だけ住んでいた仙台・国分町。30年前によく通っていたロック喫茶がまだ残っていた。ドアノブを引くと、コーヒーとアルコールの入り混じった匂い。 ⑥スワン・レイク 小池真理子 叔母の家に泊まりに来て、行き先を告げずに出かける。優しい運転手のタクシーでたどり着いたのは水と雪の匂いだけするスワン・レイク。 ⑦コーヒーもう一杯 重松清 「ちょっと考えれば分かること」がわからなかった19歳の僕は、当時3つ歳上の彼女の部屋に住んでいた。ある日彼女はミルを買い、部屋を満たすようになった『マンデリン』の香り。 ⑧何も起きなかった 高橋のぶ子 高校時代、あらゆる匂いを譬えることで競合っていた品子と真子。28年ぶりの交流再開で今度は、いや・・・。 もちろん、『いちば童子』もいい。匿名だとしても滲み出る朱川作品の香りと後味。(ラストも、僕は好きなのだが・・・)

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2022/01/14

香りにまつわる短編集。 「アンタさん」が印象的でした。女性の彼氏に対しての舞い上がり方や感情表現が面白かった。 「コーヒーをもう一杯」も男女の別れとコーヒーを紐付けた切ない話でジーンときました。 全体的にどの話も読みやすく、サラっと読めました。

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2021/02/04

香りをテーマにした8つの短編です。 父とガムと彼女はいいお話でした。 アンタさんはこの後どうなったのかなぁと気になりました。 ロックとブルースに還る夜は最後、えっ!そうだったらいいのにって思いました。

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2018/07/28
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『夢の香り』石田衣良 『父とガムと彼女』角田光代 『いちば童子』朱川湊人 『アンタさん』阿川佐和子 『ロックとブルースに還る夜』熊谷達也 『スワン・レイク』小池真理子 『コーヒーをもう一杯』重松清 『何も起きなかった』高樹のぶ子 重松さんのお話が一番好きだったー

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2016/03/26

同僚から貸して頂いた本。「香り」をテーマに作ったアンソロジー。KEY COFFEEのWEBサイトで公開された作品を単行本化したものだが、しおりでしかアピールしていないところが好感度大。 恋人の香り、食物や飲物の香り、物の香り・・・誰しも持っている思い出の香りに関わる話をさくっと読...

同僚から貸して頂いた本。「香り」をテーマに作ったアンソロジー。KEY COFFEEのWEBサイトで公開された作品を単行本化したものだが、しおりでしかアピールしていないところが好感度大。 恋人の香り、食物や飲物の香り、物の香り・・・誰しも持っている思い出の香りに関わる話をさくっと読める読みやすい8編の短編集。恋愛モノが読みたい気分だったからか、石井衣良さん「夢の香り」・阿川佐和子さん「アンタさん」・重松清さん「コーヒーをもう一杯」あたりが印象に残っている。

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2015/01/03

香りにまつわる8話の短編集。石田衣良さんの「夢の香り」がよかった。中学生の時に夢の中で嗅いだ姿、形のわからない男の人の香り。それから20年たって夢の香りのする男の人に出会う。夢の中で嗅いだ香りを20年間覚えていられるのかと思うけれど、そういうのは直感でわかるのかもしれない。

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2014/12/04

それぞれに個性があって、面白い内容だった。 香りという一つのキーワードが作家さんによって感性が光る話ばかりで、短編なのに話の中に一気に引き込まれた。

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2012/07/08

香りと記憶にまつわる短編集。 思い出の場所の香り、コーヒーの香り、あの人の香り、甘いガムの香り。 誰もがきっと1つは持っている香りの記憶をさまざまなシチュエーションで楽しめた。 一番はコーヒーにまつわるお話。多分自分の持っているコーヒーの香りの記憶を思い出されたから。自分で挽いて...

香りと記憶にまつわる短編集。 思い出の場所の香り、コーヒーの香り、あの人の香り、甘いガムの香り。 誰もがきっと1つは持っている香りの記憶をさまざまなシチュエーションで楽しめた。 一番はコーヒーにまつわるお話。多分自分の持っているコーヒーの香りの記憶を思い出されたから。自分で挽いてみたくなった。

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2012/06/16
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キーコーヒーのサイトで公開された作品集。 石井衣良「夢の香り」  15歳の時にみた夢の中。隣で寝ていた男性のにおいが忘れられず、追い求める女性。 角田光代「父とガムと彼女」  小学校低学年の時になぜかいなかった母の代わりに面倒をみてくれた女性。  その女性と一緒に買い食いしたガムの甘ったるいにおい。 朱川湊人「いちが童子」  揚げ物・お惣菜・花・果物・海苔・お好み焼き・魚・・・  いろんなにおいが溢れてくる市場と子供にしか見えない童子。 阿川佐和子「アンタさん」  ひょんなことで知り合った宮大工は、今まで付き合ったどの男性とも違う。  自分のことを『アンタさん』と呼ぶ彼。その彼が好きな木のにおい。 熊川達也「ロックとブルースに還る夜」  学生時代を過ごした仙台に仕事で訪れた編集者。  音楽を聞きに通い詰めたロック喫茶。美味しいコーヒーとそこで出会った彼女。 小池真理子「スワン・レイク」  亡くなった夫と一緒に来た白鳥が住む湖。  水の香りと雪の香りに満ちる中、あの時、見た白鳥は・・・ 重松清「コーヒーをもう一杯」  大学時代に同棲していた彼女が淹れてくれたマンデリンという名のコーヒー。  豆をコーヒーミルで挽いて、ゆっくり飲みながらした彼女との会話。 高樹のぶ子「何も起きなかった」  28年ぶりにメールでのやり取りし始めた高校時代の女友達。  学生時代の思い出話の中のいろんなにおいなど織り交ぜて、  意味深なやり取りを続けるふたり。 短編なので、さらっと読めるし、どの作品も短編だけど、充分に読み応えあり。 このラインナップだもの、当然かな。 好きなのは、角田光代さんと朱川湊人さんの作品。 誰にでも思い出のにおい、香りがあると思う。 それは好きな人だったり、食べ物だったり、家族だったり・・・ 生活に密着した、ものすごく身近なもの。 忘れているにおい、でも嗅いだらいろんなことを思い出すに違いないにおい、 いまでも嗅ぎ続けているにおい・香り・・・きりがないくらいあるはず。 食べ物と同じで、においも、懐かしさと思い出に浸れるもの。

Posted byブクログ