突破者(下) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
上巻に続き、文句なしの面白さ。 読んでいて、村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」を思い出した。そのなかではかなりハッキリした言葉で全てが「資本主義の洗練されたシステム」に取り込まれつつあることを登場人物の言葉で語らせているが、宮崎氏の言説のなかにも、その経済最優先の社会システムがヤクザや被差別側の人々=異物をどのように変えているかがハッキリと見てとれる。 結局のところ、氏が生きてきた世界は社会の「周縁」と位置づけられる、システムにおける異物が吹きだまったところだったわけであるが、その周縁さえもシステムに取り込まれつつあり、そしてこの著作から10数年経た今、新たな周縁が生まれている。異物をいくら排除しようとしても、新たな異物が発生しそれが周縁となっていくのは必然。その新しい異物の典型とは、経済最優先の社会システムからこぼれ落ちつつある人々である。 10数年経った今読んでみると、かなりの先見の明があった著作だと思う。 もう一度読んでも良い面白さ。
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