インド 厄介な経済大国 の商品レビュー
『J・K・ガルブレイスが、インドのことを”機能的無政府状態”と表現したことがある。この場の雰囲気はまさにその言葉にぴったりだった。事前の最悪の不安を裏切るように、結婚式は全てにおいて完璧だった。 インドで起こることが、まさに崩壊の淵にあるように見えるとき、私はいつも自分の結婚式...
『J・K・ガルブレイスが、インドのことを”機能的無政府状態”と表現したことがある。この場の雰囲気はまさにその言葉にぴったりだった。事前の最悪の不安を裏切るように、結婚式は全てにおいて完璧だった。 インドで起こることが、まさに崩壊の淵にあるように見えるとき、私はいつも自分の結婚式とガルブレイスのこの言葉を思い出す。 ときおり、ミツバチの行動について教わったことを思い出すこともある。ミツバチの群れの中に入ったときには、それぞれのハチがあらゆる方向に飛びまわって、無秩序状態に見える。しかし後ろに下がって群れ全体をながめてみれば、一つの方向に向かっていることが分かる。』 1ヶ月半一人旅をしたインド。 インドって国の事情なんか全く知らないまま、流れに身を任せるままに漂った。 「混沌」って成分をたっぷり含んだ大河を流れるような感覚。 この本を読んで少しそんな事情を理解出来た。 歴史・政治・宗教・経済・・・あらゆるインドを覗かせてくれる。 読んでから旅立てば、もっと楽しかったやろなあ。 ただ、トピックが細かすぎるしマニアックだから、つまんないところは読み進めるのがしんどい。 本の最後に、筆者が体験したインドの列車内での少年とのやりとりがある。 インドを訪れた人なら、ニヤリとうなずけるような場面だ。 読後感は予想に反して爽快。 またあの大河に漂いたくなった。
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すごい長かったけど面白かった。 一冊でインドの政治経済のことがなんとなくわかったような感じになれる本です。でも長くて内容が濃いので予備知識のあまりなかった僕には一回ではまだぼんやりな感じ。もう一度読めばもっと深く理解できる気もするけど長いからなかなかそんな気にもなれません。
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寛容・多様性の国でありながら成長するヒンドゥー至上主義、IT・サービス産業が牽引する経済の裏でいまだに残る経済的な理由からの子殺し、世界最大の民主主義国家でありながら改善の糸口が見えない汚職。政治家や実業家、マフィアやテロリストまで含めた圧倒的な取材からインドという国の様々な矛盾...
寛容・多様性の国でありながら成長するヒンドゥー至上主義、IT・サービス産業が牽引する経済の裏でいまだに残る経済的な理由からの子殺し、世界最大の民主主義国家でありながら改善の糸口が見えない汚職。政治家や実業家、マフィアやテロリストまで含めた圧倒的な取材からインドという国の様々な矛盾を照らし出しています。他のインド経済万歳本やインド入門本とは一線を画します。
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イギリス人のインド駐在後の一冊。実にしっかり調べられている。 政治や腐敗、汚職について良く分かる。
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インドを知る入門書としては最適な気がする。 かなり分厚いけど、かなり読みやすいよ。 「厄介な」インドを知っておくべきだと思った。
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登録:2009/05/10 図書館 読了:2009/05/15 元FT記者の目から見たインドの現在。インド社会の諸問題を列挙した感じ。『In Spite of the Gods: The Strange Rise of Modern India』
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インドってのはカオスな国だ。旅行者の見る騒雑とした街並みもそうだけど、漏れ聞こえてくる複雑な宗教事情、未だカースト制度の後ろ盾を得つつ腐敗に満ちた政治体制、パキスタンとの紛争をかかえつつ中国との対峙も迫られる外交戦略、ITを中心に歪つな成長を遂げる経済事情、、、この本は450ペー...
インドってのはカオスな国だ。旅行者の見る騒雑とした街並みもそうだけど、漏れ聞こえてくる複雑な宗教事情、未だカースト制度の後ろ盾を得つつ腐敗に満ちた政治体制、パキスタンとの紛争をかかえつつ中国との対峙も迫られる外交戦略、ITを中心に歪つな成長を遂げる経済事情、、、この本は450ページを越える分量としては多めの本だけど、それでもインドという国のイマを何とか概観しているといった感じ。フィナンシャル・タイムズの支局長だったという著者による確かな取材に裏打ちされた記述は説得力があるし、それが故にどうすればいいのか困惑してしまう。インド人だって、今の状況を必ずしも良しとはしてはいないだろう。今、彼の地では総選挙が行われているけれど、12億の民は何を選択するだろうか。報道では名前が出てくるだけのヒンドゥー至上主義のBJP(インド人民党)とか会議派とかの意味や違いを知りたいのであれば、本書は読んでおく必要がある。「スラムドック$ミリオネア」の予習本としてもどうぞ。(少なくとも、原作ではこの本に書かれていることを知っているともっと楽しめるはず)
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