1,800円以上の注文で送料無料

賭博/偶然の哲学 の商品レビュー

3.8

5件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/12/12

競馬好きの哲学者(という紹介で合っているのか?w)が「賭博とは何なのか?」という問いに向き合った一冊。タカモト式から入って予想する・賭ける・勝つという行為/結果の奥深さを教えてくれる第1章からもう面白すぎる。未来の予測精度を上げることに全力を注ぎながら「勝つ可能性が低いと考えられ...

競馬好きの哲学者(という紹介で合っているのか?w)が「賭博とは何なのか?」という問いに向き合った一冊。タカモト式から入って予想する・賭ける・勝つという行為/結果の奥深さを教えてくれる第1章からもう面白すぎる。未来の予測精度を上げることに全力を注ぎながら「勝つ可能性が低いと考えられる」穴馬を買って、さらに「予想を裏切るサプライズを期待する」という矛盾。偶然にもあれこれ議論を呼んでいるサッカーのカタールW杯の最中に読めたのは良かった。

Posted byブクログ

2020/01/04

人間存在の偶然性について哲学的に考察をおこなっている本です。 本書でまずとりあげられるのが、「タカモト式」と呼ばれる競馬の予想法です。「タカモト式」では、日本の競馬はすべてJRAの仕組んだレースであり、しかもJRAはその結果をさまざまなサインを用いてファンに伝えているという「世...

人間存在の偶然性について哲学的に考察をおこなっている本です。 本書でまずとりあげられるのが、「タカモト式」と呼ばれる競馬の予想法です。「タカモト式」では、日本の競馬はすべてJRAの仕組んだレースであり、しかもJRAはその結果をさまざまなサインを用いてファンに伝えているという「世界観」にもとづいていると著者はいいます。こうした「世界観」は、偶然的な世界のうちに必然的な法則の兆候を読み取ろうとする、人間の思考のありようをカリカチュアライズしたものとしてみなすことができるでしょう。 第二章では、九鬼周造とドゥルーズという二人の哲学者がとりあげられ、彼らの思想を著者自身の観点から読み解きつつ、「賭ける」という人間の行為はけっきょくのところ、世界の偶然性に対してどのように向きあうことなのかという問いが追及されています。最後に著者は、フーコーの生権力論などを手がかりに、偶然的な世界を計算可能なものとみなすリスク社会論の前提を吟味しなおす試みをおこなっています。 著者の問題意識については理解できたように思いますが、本書の議論を通じて示された偶然性に対する感受性が、哲学的にどのような水準に位置づけられるのかという見通しがなかなか得られず、もどかしさを感じてしまいました。

Posted byブクログ

2011/04/19

 生=権力論の襞に迫り、リスク社会論の盲点を突いて、生きることを、どこまでも偶然性を帯びた瞬間における賭けとして浮き彫りにするとともに、そこにある世界への信にもとづく倫理を構想しようとする力強い一冊。本書の通奏低音をなしているのは、著者の競馬への並々ならぬ愛であるが、それが賭けと...

 生=権力論の襞に迫り、リスク社会論の盲点を突いて、生きることを、どこまでも偶然性を帯びた瞬間における賭けとして浮き彫りにするとともに、そこにある世界への信にもとづく倫理を構想しようとする力強い一冊。本書の通奏低音をなしているのは、著者の競馬への並々ならぬ愛であるが、それが賭けとしての生への洞察を深めている点が好ましい。それにもとづけば、生きるとは、偶然的な瞬間において、世界への信にもとづいて一歩を踏み出す賭けなのだ。そのような洞察が、ドゥルーズと九鬼周造の読解にもとづいて語り出されているわけだが、その読解に充てられた一節は、両者に通じていないと議論に付いて行きづらいかもしれない。また、著者の賭けの思想は、最終的に──著者の思いに反して──デリダに近いところに達しているようにも見える。

Posted byブクログ

2019/01/16

賭博哲学についての良書です。 特に1章において展開される賭博哲学は この分野においては今までない大変示唆に富んだ ものであります。このように考えを知識として持ちつつ、 ギャンブルを行うとおもしろいものになるのではないかなと 思います。 予想の手法は経験論、記号論、「タカモト」方式...

賭博哲学についての良書です。 特に1章において展開される賭博哲学は この分野においては今までない大変示唆に富んだ ものであります。このように考えを知識として持ちつつ、 ギャンブルを行うとおもしろいものになるのではないかなと 思います。 予想の手法は経験論、記号論、「タカモト」方式の いずれをもっても楽しめていることが重要であり、 的中させたものが正しいと考えます。 しかしながら、いずれの方法も「あやうい」のであり ここに賭博の独自性が見出せる。 また、ギャンブルが社会的に非難される理由として、 今までは最高裁判例や刑法学者による 「勤労の美風・健全な経済観念」論や 「副次的犯罪」論が主要なものでしたが、 檜垣氏は無責任論(賭博行為の本質は無責任であり、 賭博に寄りかからざるを得ない。 そのような無責任に対する社会からの非難) による社会感情があることを指摘しております。 普段より哲学書を読まない者としては。 2章・3章が難しかったです。 考えて読むことを久しぶりにした気がします。

Posted byブクログ

2010/07/17

[ 内容 ] 競馬をめぐるかつてない洞察にはじまり、ドゥルーズ/九鬼周造/フーコー/ドストエフスキーを斬新に読み解き、偶然の論理と倫理、そしてリスク社会の生をラディカルに問う、気鋭の哲学者による哲学の賭博。 [ 目次 ] 第1章 競馬の記号論(タカモト式とライプニッツ;競馬の経...

[ 内容 ] 競馬をめぐるかつてない洞察にはじまり、ドゥルーズ/九鬼周造/フーコー/ドストエフスキーを斬新に読み解き、偶然の論理と倫理、そしてリスク社会の生をラディカルに問う、気鋭の哲学者による哲学の賭博。 [ 目次 ] 第1章 競馬の記号論(タカモト式とライプニッツ;競馬の経験論 ほか) 第2章 賭けることの論理―九鬼とドゥルーズ(偶然性と出来事の時間;出来事性の分類論 ほか) 第3章 賭けることの倫理―リスク社会と賭博(生きることの倫理;構造の無責任 ほか) 終章 賭博者たち(ドストエフスキー;一九九一年五月府中・二〇〇五年五月梅田 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ