自殺されちゃった僕 の商品レビュー
我ながら「今頃?」と思いつつ、文庫版の古本を買って読了。 刊行当時話題になった(と記憶している)実録本。 雑誌編集者が友人である漫画家、 先輩であり師匠でもある編集者、そして、事実婚の妻――と、 短い期間に立て続けに三人もの身近な人物に自死されてしまい、 その衝撃と苦しみから立ち...
我ながら「今頃?」と思いつつ、文庫版の古本を買って読了。 刊行当時話題になった(と記憶している)実録本。 雑誌編集者が友人である漫画家、 先輩であり師匠でもある編集者、そして、事実婚の妻――と、 短い期間に立て続けに三人もの身近な人物に自死されてしまい、 その衝撃と苦しみから立ち直ろうともがく姿が描出されている。 彼・彼女らは何故、死を選んだのか。 ①友人=漫画家ねこぢるの場合: 恐らく生真面目な性格故、 こなしてもこなしても舞い込み続ける仕事の依頼を 無下に断れず、過労によって精神が疲弊し、 物事を正常に判断することが出来なくなった結果だったのでは。 ②先輩=師匠でもある編集者の場合: ドラッグをやめられず、二度の離婚を経験し、 借金も抱えていたそうなので、 追い込まれて限界を迎えたためだったのか。 ――と、想像できる。 ①については大いに同情するが、②は自業自得というか……。 よくわからないのが、③妻の死。 元々(結婚前から)希死念慮があったのなら、 早い段階で医療のレールに乗っていれば もう少し当人にも周囲にとっても マシな展開が期待できたのでは……とも思うが、 それ以前に、著者が妻への愛を語るにしては 具体的なエピソードがほとんど述べられておらず、 妻の人となりに掴みどころがないので、 著者が空回りしている印象を受けてしまう。 言い方は悪いが、著者のあり様は、 映画・小説・漫画などの一ジャンル《難病もの》における、 近いうちに亡くなるかもしれない―― あるいは闘病の末に亡くなった――美少女を、 何も出来ずにただオロオロして見ていただけの男…… みたいなのだ。 さて、唐突にやや古い本の購入を思い立ったのは、 文庫版に精神科医・春日武彦先生の解説が付されており、 しかもかなり辛辣な内容だと、遅蒔きながら知ったからだった。 はっきり言って、 最後のデザートたるべきそのページが今回のメインで、 著者が綴った手記はダラダラした小皿料理の羅列のようなものだった。 ――で、春日先生の筆致は期待どおり凄まじくシビアだった。 もちろん一定の配慮というか、 耳かき一杯分くらいの優しさは感じられるが。 著者の本文中に、 某女性編集者が本稿のダイジェストを読んで、 > 他人の立場から言うと、この原稿に書かれている > 早紀さん[著者の妻の名]を好きにはなれないですね。 > 〔略〕生きにくくなったら死んじゃう。 > はっきり言って同情できません。 と告げたとのエピソードがあるのだが、 春日先生も同意見だそうだ。 私もそこで大きく頷いてしまった。 それにしても、 ねこぢるの夫である山野一さんの著者への優しさが尊い。 天使か仏か、というぐらい……。
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妻を含めた3人の知人に自殺によって先立たれた作者が綴った本。 ドラッグ、トランス、サブカルチャー。作者たちが生きた時代を知る事も出来るし、奥さんへの深い愛に胸が苦しくなります。 自殺の是非を含め、誰もが一度目を通す価値のある本だと思います。 生きる事を選んだ吉永さんをとても...
妻を含めた3人の知人に自殺によって先立たれた作者が綴った本。 ドラッグ、トランス、サブカルチャー。作者たちが生きた時代を知る事も出来るし、奥さんへの深い愛に胸が苦しくなります。 自殺の是非を含め、誰もが一度目を通す価値のある本だと思います。 生きる事を選んだ吉永さんをとても素晴らしいと思います。これからも生きて下さい。
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愛する人、自分の一番の理解者に死なれた時、残されたものはこんなに辛いんだっていう真っ当な痛みは読んでいて居た堪れなくなるほどであり、できれば一生経験したくないと正直思った。でも、3人の才能多き故人を振り返るくだりでは、どうしてもとんがった才能ゆえの自死であり、普通とは違うから、常...
愛する人、自分の一番の理解者に死なれた時、残されたものはこんなに辛いんだっていう真っ当な痛みは読んでいて居た堪れなくなるほどであり、できれば一生経験したくないと正直思った。でも、3人の才能多き故人を振り返るくだりでは、どうしてもとんがった才能ゆえの自死であり、普通とは違うから、常人の感覚とは違うから自死を選んだという、才能を尊ぶゆえの死という、自死の肯定化ともとれる感覚に襲われる。なので、最後の精神科医の先生の批判的解説は、ある意味なんとなくぶれちゃった読者の感覚を引き戻す働きになっているのかもしれない。私はこの本を読んで、自殺のことよりもやっぱりクスリは駄目だよって改めて感じました。
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著者の妻、友人漫画家ねこじる、編集者青山正明と身近な人が自殺した著者の手記。正直すごく納得する部分ともやもやする部分がある本だった。非常に著者の感情が強くまだショックから立ち直っていないせいだろう。非常に短いがねこじるの私生活や性格などの描写やバブルだった90年代サブカルの話は懐...
著者の妻、友人漫画家ねこじる、編集者青山正明と身近な人が自殺した著者の手記。正直すごく納得する部分ともやもやする部分がある本だった。非常に著者の感情が強くまだショックから立ち直っていないせいだろう。非常に短いがねこじるの私生活や性格などの描写やバブルだった90年代サブカルの話は懐かしさがあった。この著者が関わっていたがドラッグや死体写真集とか連続殺人犯を特集した本がけっこう売れていた時代ってのは一体なんだったのかと思う。精神分析医である春日武彦による強烈な著者批判は、例を見ない解説だ。 澁澤龍彦のくだりにちょっと笑った。
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本当にエモーショナル。 自殺してしまった身近な人々の背景とともに、 死なれて残された私は悲しい、悲しい、つらい、愛してる、ってひたすら綴ってる。 この手記を書くことで、このひとがいくらか癒されたなら、それで良いとおもう。 さすがに読んでるうちにいくらか感情的にシンクロしてしまっ...
本当にエモーショナル。 自殺してしまった身近な人々の背景とともに、 死なれて残された私は悲しい、悲しい、つらい、愛してる、ってひたすら綴ってる。 この手記を書くことで、このひとがいくらか癒されたなら、それで良いとおもう。 さすがに読んでるうちにいくらか感情的にシンクロしてしまっていたようで、 あとがきを読んで、自分も冷静を取り戻すような心地がしたところで気が付いた。 あとがきは、妻が死んで5年後の筆者のことばだ。確実に現実に戻ってきている。 さらにクールなのが文庫版の精神科医の人の解説で、 なにしろ辛辣なのだけど、言ってることは何ら真っ当で普通。 外から見れば、他人からみれば、そんなものでしかないんだなと頭を叩かれる気持ち。 筆者の想いには申し訳ないけど(筆者はわかっているようだけど)、筆者の訴えそのものでは自殺の抑止にはならないんじゃないかな。あとがきにあるように、自殺を美しくしてしまう面もあるかもしれない。 でも、手記にあとがきに解説、それらが同じ一冊に収録されてるということが、読むものを救ってる感はある。
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タイトルのままに筆者吉永嘉明の身近な三人、ほのぼのとした可愛いネコの絵なのにことごとく残酷な内容を描く漫画家ねこぢる、90年代のサブカルチャーのライターとして知る人ぞ知る青山正明、筆者の妻でサブカルチャーのムック本などで編集者をしていた巽早紀、という自殺した三人の回想録である。 ...
タイトルのままに筆者吉永嘉明の身近な三人、ほのぼのとした可愛いネコの絵なのにことごとく残酷な内容を描く漫画家ねこぢる、90年代のサブカルチャーのライターとして知る人ぞ知る青山正明、筆者の妻でサブカルチャーのムック本などで編集者をしていた巽早紀、という自殺した三人の回想録である。 俺は、これを読み終えて、なんだか落ち着かない。なんなんだろうか?すんごく心の座り心地が悪いのだ。 俺は、日記でサブカルが好き、みたいな事を何度も書いた。サブカルが好きな自分=大衆的な物に対する嫌悪、が一部分であると思う。と、言いつつ、メジャーな物も好きだったりもする。けど、音楽でいうならば、ヒットチャートしか聴かずに、「音楽わかってます」的な事を言う人に、なんか話合わねぇ~なという気持ちを10代後半から、20代半ばにかけて強く持っていた様に思う。 が、就職すると、趣味なんか関係ない職場のおばちゃんとかに助けてもらったりする。若い時分に変な物差しで、人を見ていた事を悔やんだりする事もある。 この本に登場する人達は、サブカル愛好家が持つ大衆的な物に対する嫌悪感が許される環境で仕事したため、大人の過程として積む経験を通っていかないがために、「生」の袋小路に陥ったように思う(もちろん、彼らはそういった環境で仕事をするために、努力していたはずだとも思う)。 ねこぢるの漫画にある無邪気に可愛く描かれているが、呆気なく殺されていく動物達、それらの呆気なさにねこぢるの命に対する軽さを見いだせる。けど、この本で書かれている素顔のねこぢるは、もっと凄まじい。 連載雑誌の担当者が気に入らないため、替えて欲しいと言う。理由が体型が気に入らない。ただ、単にそれだけ。しかし、ねこぢるは、その担当者の様な体型の人物と同じ場にいると、汗が止まらなかったとの事。もっと凄いエピソードもあるが、割愛する。 サブカルライターの青山正明が中心となり、15万部のヒットとなったムック本「危ない1号」の創刊号の内容は、「特集・ドラッグ」「東京ヒットマン情報」「死体処理マニュアル」・・・。 うーん。 で、この本の主役達は、みんな、テクノが好き、まだ一般的でなかったレイブに行き、踊り狂ったり、聴き入ったり、ドラッグを嗜んだりしていた。 これは俺個人の日記で読む人も限られているが、今回この日記で取り上げた本や、酒井のりぴー事件で、純粋にテクノ、クラブミュージックが好きな人には、多大な迷惑だろう。 今回の本で思ったのは、人間らしく生きていかないと、と思った。 彼らの様に社会よりも自分ありきのスタイル、という生き方は、どこかで綻びていく。 価値観多様化で自分らしい生き方を突き詰めたために、ケミカルで、フェチな極端な生き方、人間らしい生き方ができなくなってしまった様に思えたのだ。 ゴア、トランスといったテクノを聴き、ドラッグを嗜み、気持ちよさを追求し過ぎた故の因果応報を感じてしまう。 文庫版の解説を精神科医が書いている。精神科医は、決してこの本の登場人物に同情しない。冷徹にこの人物達をこう評する。以下、引用する。(注・)は、フクシマ。 「Y(注・作者)の周囲にいて、早々と彼岸へと旅立ってしまった三人は、共通したトーンを備えている。なるほどYから見れば、才能をきらめかせ、強烈な個性に彩られ、衆愚に迎合しない気骨を持ち、けれどもきわめて繊細で傷つきやすい魂の持主たちということになるだろう。所詮、澁澤龍彦を読むことで自分の精神が高貴であると自分に言い聞かせているレベルであろうと、やはり眩しい存在ということだったのであろう。サラリーマンを、その画一的なスーツ姿ゆえに内面もまた唾棄に値すると決めつけるような類の底の浅い精神性しか持ち合わせていなくとも、ランボオの末裔みたいに映ったのであろう。」 グサッときた。未だに自分は、大人になれてないと思う。 今回は、いつも以上に消化できずに書いてしまった。なんかこれらの人物とは、かなり遠い所にいるが、サブカル好きとして、サブカル好きの欠点ではすまない、致命傷を知ってしまった気分だった。 まあ、彼らの才能あっての致命傷だと思う。
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著者も自殺した3人も、ただ甘えてるとしか思えない。 あれもイヤこれもイヤ、世の中バカばっかり、自分がこうなったのは家族関係のせい、なんて良く恥ずかしげもなく言えたもんだ。 著者は自分を癒すために本書を書いたのならいいけど、間違っても自殺しようとしている人を思いとどまらせられるな...
著者も自殺した3人も、ただ甘えてるとしか思えない。 あれもイヤこれもイヤ、世の中バカばっかり、自分がこうなったのは家族関係のせい、なんて良く恥ずかしげもなく言えたもんだ。 著者は自分を癒すために本書を書いたのならいいけど、間違っても自殺しようとしている人を思いとどまらせられるなんて不遜なことを考えない方がいい。
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自殺する人の気持ちも わからなくはない。 でも残された人は 本当に本当に辛いと思う‥ 悲しみが薄れることはないかもしれないけど、 著者が少しでも立ち直られていることを願います。
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自殺願望を持っている人に考え直してもらいたくて書いた本らしいですが、読んで生きようと思う人がいるのか甚だ疑問です。 著者に対して同情もできない。自業自得としか。 解説は面白かったです。こんなに著者をバッサリ切った解説読んだことありませんでした。
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サブカルワードや、懐かしい本やアーティスト名が盛りだくさんで別の意味でも楽しめた。 しかし、この著者はこの本を書いたことで救われたのだろうか。
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