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優雅なハリネズミ の商品レビュー

3.8

34件のお客様レビュー

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2020/11/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アパルトマン管理人の未亡人ルネ、そのアパルトマン に住む死にたがり屋の12歳の少女パロマと引っ越して きた日本人の紳士オヅとの物語。 3人とも哲学、絵画、文学そして(フランス人2人も)日本文化に造詣が深い。でもその部分を取っ払うと 出自と容姿にコンプレックスのある未亡人と少女が 外国人紳士に出会い変わっていくという、 ある意味王道の少女漫画を読んでいる気分に なりました。最後はルネとオヅとの関係が もう少し長く続けば良かったかなぁ...。 作中ではずっと日本すごい!フランスだめ!な 調子で登場人物たちが語っているので 個人的にここまで日本を持ち上げられると ちょっとこそばゆくなってしまいます(^^;) ここまでパーフェクトな日本人紳士、 2007年にいたのかなぁ?男性には 申し訳ないけどそう思ってしまうのです(^^;)

Posted byブクログ

2017/09/23

日常のように淡々と時が過ぎ、日常のように終わりが曖昧なまま過去となる。そうやって心のどこかに小さなトゲが残される。容赦ない自然の惨禍も玄関先の蔓薔薇も同じように傷痕を残しはするが、突きささったトゲはいつまでも小さな痛みを与え続け、誰ひとりその終わりに気づくことはない。日常のみが、...

日常のように淡々と時が過ぎ、日常のように終わりが曖昧なまま過去となる。そうやって心のどこかに小さなトゲが残される。容赦ない自然の惨禍も玄関先の蔓薔薇も同じように傷痕を残しはするが、突きささったトゲはいつまでも小さな痛みを与え続け、誰ひとりその終わりに気づくことはない。日常のみが、ただ終わりを告げる。それが日々を過ごすということである。 通勤電車のつり革に必死でしがみつき、その日のちっぽけな出来事を思い返しながら、子供時代に過ごした遠い田舎の小さな町の嫌な出来事が通り過ぎるのを眺める事も、朝の出がけに郵便受けを覗き込み、その日のくだらない予定を反芻しつつ、ふと見つけた差出人に忘れていた記憶を呼び起こす事も、全てが区切りのはっきりしない時間の中に刻まれた昨日の断片でしかない。オレンジ色に反射する幸せに満ちたレンガの壁も、忘れてしまいたいくすんだ会議室の壁も、同じ空間を共有している。それが過ぎて行く日々である。 そうした変わることなど無い日常は、唐突にねじ曲がる。不意の出会いも思いがけない偶然も、ある日突然日常の一部となって踏み込んでくる。だから誰もが後ろめたい何かを隠している。自分の息をするのに必要な半径の中に誰かが不意に入って来ないように。 最初に粗削りな印象を強く感じたことだけは、あらかじめ告白しておかなければならない。決してネガティヴな感情を抱いた訳ではないが、だからと言って、しばらくは洗練された作品といったポジティヴな印象には程遠いものでだった。それが、ページを繰って新たな段落に出会うたび、いつの間にか粗削りなことが必然であるように思えてくる。そうした不思議な作品だ。幾重にも折りたたまれた異質な層が、後半になって急に滑り出す。慌てて前のページを見返しても、どこかに適切なページが見つかる訳でもない。読み終えてからようやくもやもやとした影が見えたりする。売れるわけだ。

Posted byブクログ

2017/05/31

哲学的だったり頭の中だけの文章だったり、、中盤までは読むのになかなか骨が折れたけれど最後まで読んで良かった。 終盤のキラキラするような疾走感とラストのあっけなさに、読んだ後は余韻がじぃんと襲ってきた。

Posted byブクログ

2017/05/10

最初から最後まで引き込まれるように読んだ。近年で一番面白かった小説。これからも何度も読むだろうと思う。感性がとてもやわらかで繊細なので、女性の方が好む本かも。

Posted byブクログ

2016/09/11

友人のおすすめ本。最初は文が硬くて読みづらいと思ったが、読み進めるうちにはまっていった。 心の闇があって、本当の自分をさらけ出してはいけないと思っていた主人公ルネ、人との出会いによって自分をさらけ出しても良いと思えた。また、人の一生を考えさせられる。

Posted byブクログ

2016/02/17

 “夏の雨は私たちの心にしっかりと棲みつく―”  自分の知性をひた隠し、無知な一アパート管理人として生きる未亡人ルネ。大人の世界のくだらなさに幻滅し、死を望む少女パロマ。並外れた感性と頭脳を持ちながらも、世間との係わりを拒み内にこもっている二人の前に突如現れた日本人オヅ。彼との...

 “夏の雨は私たちの心にしっかりと棲みつく―”  自分の知性をひた隠し、無知な一アパート管理人として生きる未亡人ルネ。大人の世界のくだらなさに幻滅し、死を望む少女パロマ。並外れた感性と頭脳を持ちながらも、世間との係わりを拒み内にこもっている二人の前に突如現れた日本人オヅ。彼との触れ合いによって、二人の運命は次第に変化していく。  「無欲だった私は、謎めいた波に揺れる無能なわらしべのよう」ルネ・ミシェル  身分にあった喜びと苦しみの中で、強者は生き弱者は死ぬ。それでもありのままの自分でいることを辞められないのなら、選択肢はふたつ。隠して生きることと隠れて生きることは、紙一重にして正反対。  「わたしも額に運命が書いてあるの?」パロマ・アルサン  ほんの僅かだとしても、今とは違う自分になれる可能性があるのなら。先の見える運命などありはしないんだと、翅の存在を知らない孵化したばかりの蝶のように、飛び立てることを信じていられるでしょう。  「とても開化した閉鎖的な人ですね」オヅ・カクロウ  他人を見ていても、実は自分を見ているだけの人もいます。確実性の向こう側を見たいと望んでいれば、たとえ真の理解者ではなくとも、少しでも相手に通づる部分を見つけ出すための最初の一歩となり得るかもしれません。  交互に描かれる二人の独白で進んで行く本書には、哲学・心理・文学・日本文化など様々な標題の片鱗が含まれており、各登場人物目線のその捉え方がとても個性的。にも関わらず内容は小難しくは無く、脈絡もしっかりしているので最後まで非常に面白く読み通せます。もしかしたらあなたの良く知るあの人も、本当の心をするどい棘の中に隠したハリネズミ?  そんなお話。

Posted byブクログ

2014/06/24

そういう終わり方ですか…と思った。人を先入観や固定概念でみることの危険さ、その裏にある本質を見抜く力。残された人はつらいけど、いつまでも心に残るでしょう。

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2013/01/08

フランスの高級アパルトマンの管理人であるルネは自分の知性をひた隠しにして、凡庸であるかのように見せかけながら変わらぬ日々を過ごしていた。一方そのアパルトマンに住む少女パロマは、天才であるがゆえに自分を取り巻く世界に悲観し、12歳の若さで死ぬことを決めていた。しかし日本人紳士オヅが...

フランスの高級アパルトマンの管理人であるルネは自分の知性をひた隠しにして、凡庸であるかのように見せかけながら変わらぬ日々を過ごしていた。一方そのアパルトマンに住む少女パロマは、天才であるがゆえに自分を取り巻く世界に悲観し、12歳の若さで死ぬことを決めていた。しかし日本人紳士オヅがアパルトマンへ越して来たことにより、2人の未来が大きく変化していくことになる。それぞれの心の傷に向き合い、大切な事に気づきながら前に進む姿に感動と共感を覚えながら、衝撃のラストに胸を打たれます。

Posted byブクログ

2012/12/30

ちょっとまったくおもしろさがわからなかった 階級社会がどうとか言われても入り込めないし 自分は他人とは違う、周りは愚鈍なやつばかり そういう悪口を言ってるだけにしか読み取れなかった こうあるべきと押し付けられているということだと思うけど 破ろうと思えば破れるものであって それに甘...

ちょっとまったくおもしろさがわからなかった 階級社会がどうとか言われても入り込めないし 自分は他人とは違う、周りは愚鈍なやつばかり そういう悪口を言ってるだけにしか読み取れなかった こうあるべきと押し付けられているということだと思うけど 破ろうと思えば破れるものであって それに甘んじているのは自分自身なのでは?という気がする 日本ってスバラシイ!と思ってくれるのはうれしいが どの国にもスバラシイ文化はあるので 美化しすぎないで頂きたいと感じた ほんとにとにかくシニカルなので 周りはバカばかり!と思ってる人は共感できるかもしれない 自分はまったく共感できなかった ところどころオ?と思うところがあったので ギリギリ星2つにしておく バカばっかりと思うのはよくあることだけど それをあけすけに見せられるのは気分悪いです

Posted byブクログ

2012/08/16

裕福ではなくても、高貴な精神を持ち合わせたルネ。アパルトマンに住む裕福な人達に“ただの管理人”として馬鹿にされながらも、その人達より高い教養を隠し、密かに哲学や美術を楽しみ、心穏やかに過ごそうと努めていた。ある時、アパルトマンに日本人のオズさんが引越してきた。オズさんは、裕福だの...

裕福ではなくても、高貴な精神を持ち合わせたルネ。アパルトマンに住む裕福な人達に“ただの管理人”として馬鹿にされながらも、その人達より高い教養を隠し、密かに哲学や美術を楽しみ、心穏やかに過ごそうと努めていた。ある時、アパルトマンに日本人のオズさんが引越してきた。オズさんは、裕福だの貧しいだので人を判断しない、素敵でダンディなお方。 オズさんのお宅にお呼ばれした時のワクワク感や、お友達とのお茶の時間が楽しい。 オズさんは、私の中では俳優の渡辺謙さんをイメージしてしまう。

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