モレルの発明 の商品レビュー
映画マリエンバードに影響を与えたという名作。インセプションや世界の終わりと〜にも通じる、自分のリアルを自分で選ぶ物語と感じた。1940年の作品ながらインターネットの世界が"現実"にとって変わる現代にこそ必要な問いを投げかけてくる。要再読、要熟考。
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ヌーヴェル・ヴァーグの傑作と言われる『去年マリエンバートで』が観たいのだが、超難解らしいので躊躇していた。 そうしたら町山さんが解説している動画を発見して拝聴。その中で元ネタのひとつと言われていたこの本に興味を持って読んだ次第です。 町山さんが完全にネタバレしてたので、全然...
ヌーヴェル・ヴァーグの傑作と言われる『去年マリエンバートで』が観たいのだが、超難解らしいので躊躇していた。 そうしたら町山さんが解説している動画を発見して拝聴。その中で元ネタのひとつと言われていたこの本に興味を持って読んだ次第です。 町山さんが完全にネタバレしてたので、全然楽しめなかった(笑)一方的で激しい片思いというものがあまり好きじゃないのも原因のひとつと思われる。 最後の解説に『去年マリエンバートで』との類似性などが詳細に語られていてとても興味深かった。映画ファンはここだけでも読むと楽しめると思います。
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独白で綴られたこの小説は最初のあたりは、話の筋がよくわからなくて混乱する。 主人公も矛盾と向き合う。 そして徐々に明かされる真実そして適応。 小説の王道シークアンドファインドを踏襲しており、 自分とは存在とは人間関係とは精神とは などといったことにいろいろな疑問をなげかてくる 好著。 偶然手にとって読んだが、思わぬ収穫。
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本の表紙に記された粗筋にはこうある。 「故郷ベネズエラでの政治的迫害をのがれて絶海の孤島に辿り着いた《私》は、ある日、無人のはずのこの島で、一団の奇妙な男女に出会う。《私》はフォスティーヌと呼ばれる若い女に魅かれるが、彼女は《私》に不思議な無関心を示し、《私》を完全に無視する...
本の表紙に記された粗筋にはこうある。 「故郷ベネズエラでの政治的迫害をのがれて絶海の孤島に辿り着いた《私》は、ある日、無人のはずのこの島で、一団の奇妙な男女に出会う。《私》はフォスティーヌと呼ばれる若い女に魅かれるが、彼女は《私》に不思議な無関心を示し、《私》を完全に無視する。やがて《私》は彼らのリーダー、モレルの発明した《機械》の秘密を……そして《私》は自らをひとつの……」 この粗筋を読んだだけで、「もしかしてああなるのかな」という予想はつく。 物語はメタフィクション構造を持った叙述トリック作品と言ってもいいだろう(それだけではないが)。 叙述トリックということで、僕自身も「騙されないもんね」といった意志の元、「これはAAAだな」「いや、これはBBBだな」「もしかしたらCCCかも」と色々と推理しながら読み進めた。 僕に想像出来てしまうくらいなんだから、それらの推理は陳腐このうえないもの。 本書が発表されたのが1940年のことなので「まぁ、それくらいの時代だったらこれくらいの陳腐な叙述もあったんだろうな」的な態度で読んでいた。 そしたら作品のほぼ中頃あたりで、本書の語り手である《私》の口から、自分の目の前で起こっている不思議な現象は「もしかしたらAAAかも」「いや、これはBBBかも」「もしかしたらCCCかも」と語り出してしまった。 おまけに「DDD」「EEE」まで挙げた挙句にそのすべてを理論的に否定している。 この時点で、推理することは諦め、ひたすら「どういうことなんだろう」とワクワクしながら読み進めた。 他の方のレビューを読むと、割と早い段階でこの仕掛けに気が付いた方が結構いるみたいだけれど、頭の悪い僕なんか、全くわかりませんでしたよ、はい。 まぁ、そのおかげで最後まで面白く読み進めることが出来たけど。 ただ、この作品、謎解きだけがメインではなく、もしかしたらこの謎が解けた後がクライマックスになるのかも知れない。 そこには「存在」とは何か、という問題もあるし、「自己」とは何か、「他者」とは何か、「不死」とは何か、といった問題も出てくるだろう。 「愛」なんて問題も勿論出てくるだろうし、「この《私》の自意識過剰な思想はなんなんだ?」といった問題(?)も出てくるかもしれない。 最後の段落で「分散した存在」なんて言葉が出てくるが、このあたりを深く考えていくと、なかなかに哲学的な思考に陥ってしまう。 それと、後書き、というか本書の解説を読んで「ああ、そうか!」と思ったのは、実はこの本の構成自体がトリックになっている可能性があるということ。 この《私》が書き残した「日記」のような文章が主体となっている(つまり一人称の作品ですね)。 その「日記」をどこかの出版社が出版したものを読者が読む、という形式になっている(所々に出版社による「刊行者注」が載せられている)。 つまり「日記」「出版物」「読者」という三層構造になっているのだが、そのどれが現実でどれが虚構なのか曖昧模糊としているのだ(読者は現実か……)。 小説なのだから、全ては虚構なのだけれど、「日記」にも「出版物」としての内容にも、小説上の現実感に揺らぎがあり、さらに《私》の存在、モレルの存在、果ては男なのか女なのか、といったところまで謎が残る。 さらに言ってしまえば「モレルの発明」は本当にあったのか、そもそもこの《私》の「日記」は真実なのか? といったところまで突き詰められるかもしれない。 一人称の作品なので、語り手自身が謎を解けなければそれまでだし、語り手自身が何かを隠そう、あるいは何かをねつ造しようとしている印象すらある。 読めば読む程に謎が出てくるのだ。 短い作品であり(200頁にも満たない)、難しい言い回しや単語も殆ど出てこないので、割とサササーと読み終えることが出来る。 だから軽い印象を受けるだろうし、いくつかの謎は解かれるので「なるほどなるほど、ああ、面白かった」で終わってしまう作品、と思われるかもしれない。 でもそれは表面をヒョイと撫でただけであり、実はもっともっと奥の深い、決して解かれることのない謎に満ちた作品、と言えるのだろう。 本書の序文であのボルヘスが「完璧な小説」と絶賛している。 「完璧な小説」かどうかは判らないが、最高に面白い一冊であることには間違いない。
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これ、よかったです。上半期ベストくらいかも!!! 幻想的な恋物語かと思ったら、何、この、SF的解決は・・・?! 人間の内面は他人に知覚できない ↓ 五感で外側から捉えられれば人間は現象していることになる どーです、この、「モレルの(へ)理屈」ってば? 唯我論の裏側というより、外側にいるね、モレルってば。 でまた、仕掛けを知った私が取った解決手段も、 これまたなかなかエグくて・・・ 幻想ものとSFとマジックリアリズムと恋愛ものがお好きな あなたに(欲張った!)是非オススメしたい1冊です〜。 ちなみにデュラスの「愛人」の清水徹訳。 仏語屋さんが頑張った!愛情感じますね〜
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『逃亡の果てに、ある孤島にたどり着いた「私」。しかし、そこは無人ではなかった。風変わりな人々が、宮殿で優雅な暮らしを送っていたのだ。「私」はその中で、ひときわ目を引く美女に心を奪われてしまう。追手の目を避けながら彼女と対面する「私」だったが、そこである奇妙な現象が起こる。それは、...
『逃亡の果てに、ある孤島にたどり着いた「私」。しかし、そこは無人ではなかった。風変わりな人々が、宮殿で優雅な暮らしを送っていたのだ。「私」はその中で、ひときわ目を引く美女に心を奪われてしまう。追手の目を避けながら彼女と対面する「私」だったが、そこである奇妙な現象が起こる。それは、その島に眠る、ある発明の産物だった。』 ミステリー的でもあり、幻想的でもあり、そして最後は切なくもあり……すごく不思議な読書体験でした。 オススメ、という訳ではないですが、どうか読んで、解説してほしい作品です! この本に隠されたトリックを、僕はまだ理解しきっていません。
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とても不思議な小説 ロビンソンクルーソーかと思ったらSFで、しかも極度に観念的なSF。 絶海の孤島で無限に繰り返される一週間というモレルの発明に”愛”を契機として巻き込まれる私。けど、ひょっとすると私がモレルだったのかも。 主体と客体の逆転、あるいは同一化。もしかするとその先には...
とても不思議な小説 ロビンソンクルーソーかと思ったらSFで、しかも極度に観念的なSF。 絶海の孤島で無限に繰り返される一週間というモレルの発明に”愛”を契機として巻き込まれる私。けど、ひょっとすると私がモレルだったのかも。 主体と客体の逆転、あるいは同一化。もしかするとその先には主体と客体(見るー見られる)の超克さえ意図する、という大それた野望すらあるのかも。 無限の回廊小説。似ている作家がちょっと他に思いつかないくらいオリジナルだし、すごい好き。
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ボルヘスの親友だけど、カサレスのほうが現実的というかちょっと乾いてるというか論文的というか文学大好きで真面目そうな人だなーという感じ。でもやっぱりラテン人種、作品の根底には滑稽さもあり、主人公たちもしっかり欲しいものゲットしたりしている。 ★★★ 政治犯で亡命中の主人公が隠れ住...
ボルヘスの親友だけど、カサレスのほうが現実的というかちょっと乾いてるというか論文的というか文学大好きで真面目そうな人だなーという感じ。でもやっぱりラテン人種、作品の根底には滑稽さもあり、主人公たちもしっかり欲しいものゲットしたりしている。 ★★★ 政治犯で亡命中の主人公が隠れ住む無人島。 しかし夜には謎の男女の一団が現れる。 彼らは主人公を全く無視し、翌日には完全に消える。 その中の一人の女性に強く惹かれた主人公は彼らの事情を突き止め、そして自分自身を幻の世界へ同化させる。 ★★★
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※このレビューにはネタバレを含みます
・ボルヘス経由で知った。 ・去年マリエンバートで、も気になっている。 ・ロブ=グリエも読まねば。 ・信用できない語り手もの。→日記もの。→分身もの・鏡像もの。 ・孤島の実験もの。 ・「未来のイヴ」の進化版。 ・意外と滑稽でもある。 ・生きていることの、魂の証明とは。 ・レオナール・フジタの絵はぴったり。
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語り口、描写のシンプルさ、使用されるイメージも好み。ただ、終盤にちょっと調子はずれの語りがあるのだが、あれはこの時期のラテンアメリカの流行りみたいなものなのかな?それとも主人公の矮小さを示すものか? バートンは千一夜物語に自作の物語をこっそり書き加えた、というエピソードを何となく...
語り口、描写のシンプルさ、使用されるイメージも好み。ただ、終盤にちょっと調子はずれの語りがあるのだが、あれはこの時期のラテンアメリカの流行りみたいなものなのかな?それとも主人公の矮小さを示すものか? バートンは千一夜物語に自作の物語をこっそり書き加えた、というエピソードを何となく思い出した。そしてそのエピソードよりも詩的。 --- 【メモ】 ・「去年マリエンバートで」のきっかけになった作品らしい(未見)。 ・マリエンバート繋がりでロブ・グリエも未読。 ・テーマである不死性に関してイマイチしっくりこなかったら、「ボルヘス、オラル」を読んでみるといいと思う。
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