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援助者の思想 の商品レビュー

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2013/04/06
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リンダ・ジンガロさんは暴力 路上生活をする若者のための活動を していた あるとき 「緊急シェルター」を利用していた女性が 自宅にいるのは危険とみなし 社会福祉局に「保護される」必要があると連絡した ソーシャルワーカーがやってきて 聞き取り調査を行い  うまくいったと電話しようとした その利用者の女性はまっすぐ台所へやって来て  リンダ・ジンガロさんの目の前で大きな包丁をつかみ 自分の指を切り落とそうと手の甲めがけて刃を叩きつけた ご自身が開示した時の体験 (性的サバイバー、貧困労働階級、周縁化された民族の精神障がいのある親に育てられた子 レズビアン 身体障がい者として そのことを自ら公開して語る援助者) また開示した方がしばらくして自分を罰する人の状況も多々  目にしたそうだ 自分で恥ずかしいと思う体験、何もできなかった体験を「語る」ことには  このような悲惨な結末を引き起こしうる 語る方法でのセラピーは役に立つが  それが安全なのは 自分を傷つける手前に限られる 抱え込まずに外に出してしまう方がラクという考え方は  ある程度まで正しいが それを超えると危険である どこまで語られるかは 治療者や援助者が責任を持って見極めて コントロールしなければならない 研究者もセラピストもソーシャルワーカーも医療関係者も 当事者の“体験”が持つ権威に関心をいだく教師も サバイバーとしての使命は (語ること 語らないこと)  当事者本人が選ぶもの   他人が当事者に対して 語り 援助する義務や社会を変える責任を 押し付けてはいけない 著者はサバイバーであるというだけで専門家ではない、と 排除される現実に力ある発言をするために博士号を取得したという もし自分自身がサバイバーであり 援助者側にいる方 あるいはサバイバーとして名乗りを上げて活動されている方にとっては 日頃のひょっとした疑問 語って貰うことへのリスクについて 社会の周縁で生きることの生きづらさを理解しようとしない主流社会での援助によって傷ついた人 (例えば二次被害など)を援助してきた著書のいうことは  深く 考えさせられる本かもしれない

Posted byブクログ