クヌルプ の商品レビュー

3.8

33件のお客様レビュー

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2026/01/09

〝最期〟で神と対話するクヌルプ。 我が人生の数々の不完全さを嘆くも、彼の存在そのものが神の御心のままに生きて死んでいくことなのだと啓示を受ける。 読後は非常に清らかな気分になる。

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2026/01/01

20世紀ドイツの作家ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の小説。1915年。 ⬜︎ 主人公クヌルプが昔の友人知人から尋ねられたように、私も「かつてのあなたがなぜいまは」と不躾な糾問に答えを濁して振り払ったことが何度もある。もちろんクヌルプのように落魄するほど振り切った生き方...

20世紀ドイツの作家ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の小説。1915年。 ⬜︎ 主人公クヌルプが昔の友人知人から尋ねられたように、私も「かつてのあなたがなぜいまは」と不躾な糾問に答えを濁して振り払ったことが何度もある。もちろんクヌルプのように落魄するほど振り切った生き方ができるわけもなく、傍から見れば私の生活もそこそこの形にはなっているのかもしれないが、それでも「ここは本当に自分の場所だろうか」「自分にはどこか別の場所があるのではないか」という「ここではない」不全感にずっと憑きまとわれて今日まで来ている。そしてそれを、臆病さだとか完璧主義だとか不寛容だとか、自分のパーソナリティに帰責させてしまっている。クヌルプは出会った人々に彼への親愛の感情を惹き起こしたが、クヌルプの「神」に代わって、何によって、いかにして、私は肯定されるのか。そもそも、何かによって肯定されなければならないのか。いまは否定されているのか。なぜ? 何によって? 「神」は「あるがままのおまえ」(p151)と言うが、無際限の自問自答の中でそんな核のようなものは残りそうにないし、「神」もいない。「神」がいない以上、自分で自分を肯定するしかないのだろうが、そもそもそれは一体どういうことなのか。生の肯定とはなんだろうか。生の否定とはなんだろうか。 ⬜︎ 「神さまの声はだんだんかすかになり、あるときは母の声のように、あるときはヘンリエッテの声のように、あるときはリーザベトのやさしいおだやかな声のようにひびいた。」(p153) この一節に触れて、自分の臆病さがこれまで犯してきた過ち、傷つけてきた人たちのことが、その人たちが示した悲しさや嬉しさが、日々の怠惰ゆえに眼を逸らしてきたせいでもうそのほとんどが朧な記憶でしかない顔たちが、呼び起こされてくる。そして呼び起こされるいままさに、零れ落ちていく。欠けていくばかりの記憶の中で、それらをこれからどんなふうに束ねて生きていけばいいのか。記憶がその場限りのものになっていくと、芯の通った生き方も何もあったものではないのではないか。 「ふたりの人間のあいだには、たとえどんなに密接に結ばれていても、いつも深淵が口を開いていること、それを越えうるのは愛だけで、その愛もたえず急場しのぎの橋をかけることによってかろうじてそれを越えうるのだということ」(p76) せめてこのことは肝に銘じておく。

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2025/05/18
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※このレビューにはネタバレを含みます

あるがままに生きること、自分の人生を生きることを考えることができる本だった。 といっても、デミアンほど哲学書めいてはなくて、 淡々と暖かく、綺麗に書かれたクヌルプの生涯を通じて読者に疑問を残してゆくタイプの本。 ヘッセ文章の柔らかさをひしひしと感じた。 思わず宝箱に入れたくなるような一冊。

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2025/05/11

主人公のクヌルプは、とても魅力的な青年に感じました。 作中に出てくる登場人物たちも、彼を慕っていて、彼が来ると食事やお酒を与え、寝床まで提供します。 しかし、彼はどこにも定住しません。人生に悩んでいるのです。 なぜ、彼にこんなに魅力を感じるのかは、理屈ではなかなか説明できま...

主人公のクヌルプは、とても魅力的な青年に感じました。 作中に出てくる登場人物たちも、彼を慕っていて、彼が来ると食事やお酒を与え、寝床まで提供します。 しかし、彼はどこにも定住しません。人生に悩んでいるのです。 なぜ、彼にこんなに魅力を感じるのかは、理屈ではなかなか説明できませんが、最後の神様との対話で、その理由が少しわかった気がします。 それは彼が自分の生き様に対して、本気で悩む人だったからです。 最初の頃は、どちらかというと、物事を斜めから見るような印象が強いクヌルプですが、それは彼なりの物事に対する「真摯な態度」の表れだったのかもしれません。

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2024/05/08

気ままに生きる人間でちょっと理解しがたい所もあった。 周りを見下している節もあったが、最後に自分の生き方を肯定してもらって死んでいく。普通の生き方を嫌がってたが、それでも迷いはあったのだろう。 やっぱり理解が難しい人間だった…。感想が難しい。何を読んだかよく分からなかった。

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2023/12/10

学生時代に読んだ『車輪の下』以来のヘッセ。初恋で傷つきエリート街道から逸れて漂泊の人生を歩むようになったクヌルプについて描かれた3編からなる作品。自由に漂うことを楽しみ羨ましがられることもありつつ、無責任な孤独さをたしなめられたり自分自身でもどこか自分の人生を歩んでいないのではな...

学生時代に読んだ『車輪の下』以来のヘッセ。初恋で傷つきエリート街道から逸れて漂泊の人生を歩むようになったクヌルプについて描かれた3編からなる作品。自由に漂うことを楽しみ羨ましがられることもありつつ、無責任な孤独さをたしなめられたり自分自身でもどこか自分の人生を歩んでいないのではないかという他人事的な感覚もある歩み。そしてそんなクヌルプがその人生の歩みの最後の自身の人生をどのように総括するのか。時代背景や社会状況は異なってもクヌルプの傷つきやすさや感覚に共感する人は現代でも多いのでは。名作。

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2026/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自由奔放に生きてきたけれど自分は何者にもなれなかった、と嘆くクヌルプに、人々に愛され、ときに嫉妬心を呼び起こさせる、それこそがお前の存在意義だったじゃないかと言い放つ神様。 この本を人生の本としてあげていた某私の推しさん、アイドルとしての存在意義をクヌルプと重ねたのかしら?…と思ったらなんか切なくなっちゃった。 他の方の感想を見ていたら、クヌルプを「我が家にやってきた猫」に例えていた方がいて、みんなを魅了してきたクヌルプの人となりがストンと理解できた!人間がこういう性格だと「ただのワガママじゃん」て思ってしまうところが面白いね。 猫はそうやって生きても「なんのために生きているんだ」とは悩まないだろうけれど(笑)

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2022/09/30

「早春」「クヌルプの思い出」「最期」の3編から成る。  年上の初恋の娘に裏切られた時から、クヌルプの漂泊の人生が始まる。旅人となり放浪する彼は、自然と人生の美しさを見いだす生活の芸術家となり、行く先々で人々の生活に灯りをともす。肺を病んで雪の中で倒れ、人生を後悔する彼に、神は彼...

「早春」「クヌルプの思い出」「最期」の3編から成る。  年上の初恋の娘に裏切られた時から、クヌルプの漂泊の人生が始まる。旅人となり放浪する彼は、自然と人生の美しさを見いだす生活の芸術家となり、行く先々で人々の生活に灯りをともす。肺を病んで雪の中で倒れ、人生を後悔する彼に、神は彼らしく生きたと語りかける。 「早春」「クヌルプの思い出」と読み進めていて、この話の何が名作なんだろうかと、正直疑問に思った。クヌルプは、私には、わがままで厚かましく、自己中心的が過ぎるような気がした。誰もが彼を好いて、きれいな子供が屈託なく生き進んでいるかのように評し、放浪している彼に喜んで手を差し伸べている。それがなぜだか理解できなかった。  そのもやもやは最後までやはり残るが、「最期」の編を読むと、彼がいかにして絶対的な孤独を好むようになったのか、自然に包まれながらさすらうことを望むようになったのかが描かれていて、私にとってやや愛すべき人に変貌していき、独り死んでいく彼を憐れむ気持ち、慈しむ気持ちが不思議と湧いてきた。  クヌルプの死の場面は、この上なく美しい。子供の頃、フランダースの犬のネロとパトラッシュが天に召される場面を知った時の、深刻で強烈だった感覚と似ていた。 ☆神さまとクヌルプは、互いに話し合った。彼の生涯の無意味だったことについて。また、どうしたら彼の生涯が作り変えられ得ただろうか、ということについて。なぜあれやこれやがああなるよりほかなく、なぜ別なようにならなかったかということについて。 あるがままでいいんだ、何も嘆くことはない…何もかもあるべきとおりなんだ。 あの時こうしていれば、など、時々立ち止まって深い後悔に打ちひしがれたりは年を重ねれば誰しもあることだけれど、何もかもあるべきとおりなんだ、と大きいものに肯定されたようだった。

Posted byブクログ

2019/02/22

孤独を愛することは誰かに依存してはいけないんやと、思う。クヌルプはけっこう自分勝手で自分大好き人間やから、孤独とはちょっと違うのかもしれない。人の好意をどう思ってるのかなとはめっちゃ感じたし、そばにいたくないタイプかなーと思ってしまったですよ。

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2017/12/31

何があっても、決断したのは自分で、それが自分らしさということと受け止めた。 うーん、今の自分には響かないなあ。

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