詩羽のいる街 の商品レビュー
途中までは、作者の主義思想がにじみ出ていて読みづらい文章だなあと思っていたけれど、最後まで読んでから考えるとそんな単純な感想は出せませんね。うまいこと全ての糸が手繰り寄せられていて、爽快でした。そしてこんなに参考資料に興味の湧く小説もあまりないでしょう(笑)◆「戦まほ」、読んでみ...
途中までは、作者の主義思想がにじみ出ていて読みづらい文章だなあと思っていたけれど、最後まで読んでから考えるとそんな単純な感想は出せませんね。うまいこと全ての糸が手繰り寄せられていて、爽快でした。そしてこんなに参考資料に興味の湧く小説もあまりないでしょう(笑)◆「戦まほ」、読んでみたいですね。これはまるまるオリジナルなのかな?
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2008年 この物語が描かれたってことがとても面白い ありそうだなぁと言う思いと あって欲しいなぁと言う思いと 今のこの世界ならあるのかもしれないって思い 全部できていることはないのかもしれない 一部はできいる人がいるのかもしれない 市場ではない市場 人が人を認めることから始まる 人と人が繋がることから始まる 誰ができるのか 何をできるのか この世界もっと感じていたい 良いなぁ
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アイディアがあっても中々実行できない人は自分も含めて沢山いる。そういう人の背中をちょっと押してくれる詩羽みたいな人は現代には必要な存在だと思う。
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宝物の一冊です。落ち込んでいるとき、迷っているとき読むと元気がもらえる、力強さがあります。容姿の描写はあまりないのに、ヒロインが最高に魅力的です。
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詩羽(しいは)という名の不思議な女性が人々をつないで前を向かせ、 いつの間にか彼女の周りの社会を変えていく。 詩羽は住む家もお金も持たない。 しかし、彼女に恩があると思う人たちから寝る場所や食べるものなど、 何もかもが提供される仕組みをつくる。 見ず知らずの人に手を...
詩羽(しいは)という名の不思議な女性が人々をつないで前を向かせ、 いつの間にか彼女の周りの社会を変えていく。 詩羽は住む家もお金も持たない。 しかし、彼女に恩があると思う人たちから寝る場所や食べるものなど、 何もかもが提供される仕組みをつくる。 見ず知らずの人に手を差し伸べると必ず向けられる懐疑の目。 「どうして?」に対する彼女の答えはいつも同じだ。 「人に親切にするのが、あたしの仕事」彼女の親しい友人が言う。 「詩羽はね、触媒なの。彼女自身は変らないんだけど、 彼女がいることで周りの人が変わっていくの」 とはいえ、詩羽は相当な切れ者で、しっかり計算された親切と提案が、 次々とウィン・ウィンの仕組みを創り出していく。 「これは大人のファンタジー?」と思いながら読みすすめると、 詩羽の活動を通して、作者の社会に対する具体的な問題提起がされる。 例えば、フードロスを減らすために賞味期限の近い食材でエコ料理を提供する人々。 二酸化炭素排出削減のためにカープールを実行して 環境問題に一歩踏込もうとする人々。 ネットによる誹謗中傷をすることで快楽を得る人とそれに傷つく人々。 そして、老若男女を問わず孤独に苛まれて暮らす人々、等々。 非難することも罰することもせず、ただ親切にして前向きな提案をし続ける主人公。 「世の中、そんなに簡単じゃないよ」と思う一方で、 人が人を信じなくなったらおしまいだとも思う。 そして、実際に社会を良い方向に変えていくのは、 たしかに一人一人の優しい気持ちの連鎖にちがいない。
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「みんなを幸せにすることが好きなステキな人ってだあれ?」 とチコちゃんに聞かれたら,即座に「詩羽(しいは)」と応えたくなる。そんな主人公の物語。 4つの話は,1話ごとに一人の脇役と詩羽との関わりにスポットをあてながらも,話題同士の心地よいつながりが見えてきて本の中の世界の広がりが感じられる。なにせ主人公は「幸せにする」ことが目的なので,手段はいろいろ。そこがおもしろいし,読んでいて心が温かくなってくる。 「詩羽のような人物はいないよ,そんなのできないよ。たかが作り話だよ」という感想を持つであろう読者の先回りをして,詩羽はいう。 「人間は何となく『そんなことできるわけない』って思っちゃうもんなの。誰もやったことがない。常識に反している。だからできないって…。でも,試してみたら案外,簡単にできたりするもんなのよね。~後略~」(p.49) こんな風に言われると「ちょっとやってみっかな」って思う人も実際にいるかもしれない。小説という作り話なのに,自分の現実の行動を変える力を持っているという作品の強さに脱帽する。さらに,作り話と現実はそんなに違わないだろうと作者は呼びかける(中学生女子・沙世の言葉をとおして)。 『戦まほ』は現実だったんだね。カルバスタンは架空の遠い国じゃなくて,この日本のことだったんだね。銃弾こそ飛び交わないけど,言葉の弾丸が人を撃ち抜き,言葉のテロが人を傷つける国。『戦まほ』の中に,「人は,顔の見えない相手には,いくらでも残虐になれる」という台詞が出てくる。目の前の子供を傷つけることはためらう人でも,大勢の人を殺すミサイルの発射ボタンは平気で押せるのだと。(p.177) 著者の山本は,物語の中に物語を登場させる。ま,それはフィクションにはよくあることだと思う。が,その登場のさせ方が,読者である私に「それも読んでみたい」と思わせるような紹介のしかたなのだ。先の『戦まほ』=『戦場の魔法少女』という連載漫画にしても,本当にあるのなら読んでみたいと思う。このあたりの小説内小説の設定のしかたがうまい。 最後の場面で,いろいろつながってくるのがこれまた気持ちいい。いくらネタバレでも,そこまではかけない。 あなたが手に入れた本書の最後の1ページが切り取られていないことを祈ります。
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超絶名作「アイの物語」は地球規模のスケールの大きな話でした。ずっと読み継がれて欲しい本の一つです。その作者の作品でこちらは一つの街で活動する不思議な女の子の話です。金銭に頼らず人との縁をつないで、その報酬として食べ物や泊まる場所を得、人と人を繋ぐことで新たな歯車の組み合わせを発生...
超絶名作「アイの物語」は地球規模のスケールの大きな話でした。ずっと読み継がれて欲しい本の一つです。その作者の作品でこちらは一つの街で活動する不思議な女の子の話です。金銭に頼らず人との縁をつないで、その報酬として食べ物や泊まる場所を得、人と人を繋ぐことで新たな歯車の組み合わせを発生させ、皆を幸せにするという事を仕事(生業)としているのですが、きれいごと満載の本です。このきれいごとこそがこの本の背骨を作っているのですが、その背骨が太いというイメージです。 非常に読みやすいのですが情報量が多くぎっちり書かれているので、結構読み応えもあります。
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すごく面白かったし詩羽の主張に心から共感したけども、現代日本が舞台ってことで、読んでる最中どうしてもリアリティ面でのツッコミが頭をよぎった。私、『アイの物語』が本当に大好きなんだけど、舞台装置の違いからくる説得力の差って結構大きいと思った。
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彼女を作り出したものが何なのかはとても気になる。 だけどそれは重要じゃない、そう彼女は言う。 大事なのは現在の彼女、これからの彼女。 変わることはいつでもできる。だけど人はやれない理由を探す。 それを彼女はひとつひとつ潰していく。できる理由を増やしていく。 それは勇気づけられるこ...
彼女を作り出したものが何なのかはとても気になる。 だけどそれは重要じゃない、そう彼女は言う。 大事なのは現在の彼女、これからの彼女。 変わることはいつでもできる。だけど人はやれない理由を探す。 それを彼女はひとつひとつ潰していく。できる理由を増やしていく。 それは勇気づけられることでもあるだろうし、怖いことでもあるだろう。人は現状維持を好むから。 その一歩、その背中を押すのは彼女。 いつの間にか、一歩踏み出さない理由がなくなってしまうのだろう。 なんとなく、山本弘さんが好む流れが分かってきた気がします。 BISビブリオバトル部と同じく、読むだけでいろんな本を知ることができる物語でもありますね。
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初めて読む作家さんだけど、話のまとめ方が上手い。年齢の割に読みやすい文体で、スムーズに作品の中に入れるのも良い。強い感動はないけど前向きな気持ちにはなる。全体として星5は少し高評価過ぎかなという気もするけど、星4 よりは上という感じ。
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