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血液と石鹸 の商品レビュー

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15件のお客様レビュー

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2010/07/28

[ 内容 ] 牢獄で一人、何語かさえ不明な言語の解読に励む男の姿を描く「囚人と辞書」。 逮捕された偽英語教師の数奇な半生が明らかになる「“!”」。 不気味でエロティックな幽霊とのホテルでの遭遇を物語る「もはや我らとともにない人々」。 アパートの隣人が夜中に叫び続ける奇怪な台詞の正...

[ 内容 ] 牢獄で一人、何語かさえ不明な言語の解読に励む男の姿を描く「囚人と辞書」。 逮捕された偽英語教師の数奇な半生が明らかになる「“!”」。 不気味でエロティックな幽霊とのホテルでの遭遇を物語る「もはや我らとともにない人々」。 アパートの隣人が夜中に叫び続ける奇怪な台詞の正体に迫る「自殺か他殺か?」など、ブラックユーモアとアイロニーに満ちた37篇を収録。 名高い詩人であり小説家としても活躍する著者が贈る異色の短篇集。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2010/06/19

モンキービジネスで気になって読んだら、やっぱりおもしろかった。一番はパルメザンチーズです。皮肉っぽくて、陰気な感じがむしろいい。

Posted byブクログ

2010/03/31

病んだ雰囲気と、それをユーモアに寄せて切りとる面白さ。 読むのが苦痛な作品もあれば、ポエティックな描写に心奪われる作品もある。ばらつきあり。

Posted byブクログ

2009/10/04

ブラックユーモアに満ちた短編集。タイトルもいい。思わずニヤリとさせられる作品たちは、夜にこっそりと一粒だけ味わうチョコレートのような、密やかな愉しみ。かなり好みです。他の作品や詩集も読んでみたい。(2009.05.17読了)

Posted byブクログ

2009/10/07

「結婚式はノートルダム教会堂ではじまってマジェスティック・ホテルで終わった。ノートルダムはサイゴン一美しい教会とはおよそ言いがたいが、知名度では一番である。一八八七年に建てられた、ネオ=ロマネスク様式のこの教会は、ドンコイ通りの一方の端にそびえている。一マイルにわたる通りの反対の...

「結婚式はノートルダム教会堂ではじまってマジェスティック・ホテルで終わった。ノートルダムはサイゴン一美しい教会とはおよそ言いがたいが、知名度では一番である。一八八七年に建てられた、ネオ=ロマネスク様式のこの教会は、ドンコイ通りの一方の端にそびえている。一マイルにわたる通りの反対の端の、悪臭漂うサイゴン河にむかってなだらかに下る坂にマジェスティック・ホテルは建っている」『Our Newlyweds』 ハイ・バー・チュンのJavaで読み始め、レ・タイン・トンのCepageで読み終わって、嘆息をつく。何年かに一度、こういう本に出会う。読まれるべき場所を選ぶ本を、その場所で読むことが叶うという本に。 説明の必要がないくらいに本書はベトナム、恐らく根源的には「南」という修辞が必要なその国と結びついている。しかし、作家は既に存在しないその国を、ノスタルジーで語らない。その筆使いにしびれる、と、きっと言ってしまってもよいのだが、そう言ってしまうと自分自身の置かれた立場が、その苦悩が陳腐になり過ぎてしまう。そうではなくて、何となく解るという立場、反発を覚えながらもそのシステムに依拠していかなければならない存在に、そのもどかしさに共感を覚える、と言明するだけで、取り敢えずは満足しようと思う。 本書を読み終わったとき、周囲を見渡さずにはいられなかったのは事実である。愚かにも自分と同じ年に生まれた筈のベトナム人作家の姿を、その場所に捜し求めたのだ。その場所は、サイゴンにあって西洋人を惹きつける場所であって、かつ、「南」出身の越僑人たちにとっても居心地のよい場を提供しているバーであったのだ。 「並外れた野心はない。男であれ女であれ、他人を支配したいという欲求もない。スポーツは全て嫌いだ。スポーツの目的とは疑いの余地ない勝者と敗者を作り出すことである。私は誰一人勝ちも負けもない灰色のの水を泳ぐのが好きなのだ」『The Fire Escape』 経験と伝聞という違いはあるけれど(そしてそれは決定的な違いではあるけれども)、同じ憤りを同時代に感じて生きてきた世代として、リン・ディンと話してみたいという欲求を抑えることができない。いや、会って話すことは決して絶対条件ではないだろう。この街でこの本を手にすること、そのことこそ自分にとって必要十分条件であるに違いない。 後半、アフォリズムに満ちた文章に触れて、どうしても『西方の人』の芥川を思い出さずにはいられないのだが、芥川の生きた歳を越えて行き続けている自分にどことなく違和感を覚えながら、リン・ディンの言葉が生き生きしていることを実感して、その超越を漸く受け入れてもよいのだな、という気になった。 「『生涯ずっと、自分ではわかっていなかったけれど、僕はこの場所にきたかったんだ。この世に間違いというものはない。あるのは選択だけだ。僕たちはめいめい、自分で自分の運命を選ぶんだ』そんなのでたらめだ。」『Two Intellectuals』 そう、そんなのでたらめだ。 洗い流せること、そんなことが、本当にあるのだろうか。自分は、根深くいつまでも恨みを忘れない。

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