セメント樽の中の手紙 の商品レビュー
悲惨な現実を知ることになっても たまたまだとか、それが普通だとか、自分はまだましだとかいう思いが心のどこかで自分自身を縛りつけて これまでの生活から抜け出そうと何かを変えようと行動に移すということが出来ないのは、今も昔も変わらないのかもしれない
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興味を持ったのは『蟹工船』の小林多喜二が影響を受けた文学ということ。『蟹工船』を読んで思った、いわゆるプロレタリア文学の思想とともに、リアリズムだけではない、臨場感のある生き生きした表現の、よってくるところを知りたかったからです。 期待通り、鮮烈な文章でした。表題作『セメント樽の中の手紙』(青空文庫で読めます)は1970年~80年にかけて高校の教科書に載ったそうですが、短い文ながらたしかに、しまりのある一編です。 セメントの中に入っていた手紙の文面も鮮烈ですが、その手紙を読むことになるセメント袋をあけるのが仕事の労働者の様子に圧倒されました。またその生活が溜まりたまったものがこもっているのには、なんとも言い得ない気持ちになります。 この文庫に収められている他の短編も『死屍を食う男』というホラーものを含め秀逸だと思います。『労働者の居ない船』が『蟹工船』に似ているかもしれませんね。わたしは『浚渫船』も使い捨てにされる労働者の荒んだ気持ちがよく表されていい作品と思いました。『淫売婦』は底辺の人々のうごめく様がすご過ぎるのですが、やはり小林多喜二が文学上の転進をした作品というのもうなずけます。 なお、いまのところあと『淫売婦』『死屍を食う男』『氷雨』が青空文庫で読めますね。
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労働者の悲哀 不条理への憎しみと怒り 暗い、臭い、汚い場所で、疲れ果てボロ切れのようになって死を待つ その描写にゾッとする 船乗りだった元彼が、海の上は法律が適用されないから、なんて冗談めかして言っていたのを思い出した
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小林多喜二と並ぶプロレタリアート文学の旗手、ということで読んでみた。 小林多喜二よりも、モダンな感じがする。 同じ福岡県出身ということもあって、夢野久作っぽいところもあるが、気のせいかもしれない(夢野は福岡市、葉山は京都郡)。 短篇が8編収められているが、最後の「氷雨」が秀逸。...
小林多喜二と並ぶプロレタリアート文学の旗手、ということで読んでみた。 小林多喜二よりも、モダンな感じがする。 同じ福岡県出身ということもあって、夢野久作っぽいところもあるが、気のせいかもしれない(夢野は福岡市、葉山は京都郡)。 短篇が8編収められているが、最後の「氷雨」が秀逸。 小林にしても葉山にしても、共産主義革命家として国家の弾圧化での芸術活動は冗談事ではなく、小林多喜二は警察に拷問で殺されるし、葉山は拘留中に二人の子供が餓死している。 「氷雨」は共産主義から「転向」後の作品と言われているが、窮迫状態の中で書かれたこの哀切きわまりない心境の作品を「転向」と結びつけて語ってしまうところに、日本の(日本だけではないかもしれないが)共産主義運動の芸術観の貧しさ、ということはつまり人間把握の貧しさがあって、そうした痩せ細った思想の極限状態での暴走が、閉じた世界の中の異物排除の論理―内ゲバの世界―を産んでしまうのだろうと思う。
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葉山嘉樹は、同時期に隆盛した「新感覚派」にも似た手法で プロレタリア文学の芸術性を高めたことが知られる それは結果的に 強い暗示力を、作品に持たせることにもなった 「セメント樽の中の手紙」 セメント樽の中に入っていた手紙を読むおっさんの話 手紙は若い女の手によるものだった 教科...
葉山嘉樹は、同時期に隆盛した「新感覚派」にも似た手法で プロレタリア文学の芸術性を高めたことが知られる それは結果的に 強い暗示力を、作品に持たせることにもなった 「セメント樽の中の手紙」 セメント樽の中に入っていた手紙を読むおっさんの話 手紙は若い女の手によるものだった 教科書にも載ったりして有名な作品である しかし、実際こういう手紙に出会った場合は まず送り主の意図を疑うべきであろう それができなきゃ高学歴でもオウムの麻原みたいなもんに騙されちまう 「淫売婦」 病気の女を使って見世物小屋のようなことをやってる男たちに 主人公は憤りを感じるが どん底の中でみんな必死に生きているのだとわかり 浅はかな正義感に流されやすい自分を恥じる まあ、最後まで乞食の手玉にとられた感もなくはないんだが しかしいずれにせよ どん底で助け合う人々への共感は確かなものだった 「労働者の居ない船」 金持ちの淫乱婆じみたおんぼろ輸送船 乗組員がコレラにかかってばたばた死んでいくものだから 幽霊船になってしまった その姿は、労働者からの搾取で生きてる資本主義の行く末を 暗示するようでもあった 「牢獄の半日」 関東大震災が発生したとき、名古屋もだいぶ揺れたらしい これは、政治犯として名古屋の牢獄に収容されていた人の話である 看守たちは囚人を見捨ててみんな避難してたんだけど 晩飯前にはなにくわぬ顔で戻っていた 面会に来た仲間からその事実を伝えられた語り手は 怒りのポエムを独白しつつ、ストライキに突入する しかし、社会主義者でありながら 社会を「父」とみなし、自らを赤ん坊に定義したそのポエムは 左翼がはらんでいる根本的な矛盾を示すものでもあった 「浚渫船」 労働災害でケガをした船乗りが 当時のことだから労働者に対する保障も糞もないもんで そのままクビを切られてしまう しかも、その際のいざこざがこじれて、見舞金も出なかった 仕方がないけど悔しいので 相談役の二等航海士を相手にクダをまきながら 海事局まで裁判の申し立てに向かう話 「死屍を食う男」 資産家の息子が墓場から 死体を掘り出して食ってるというプロレタリア怪談話 これは… 「濁流」 天竜川の峡谷に道をつける工事中 大雨による川の氾濫でなにもかも流されてしまう しかしこの危機に際した人々は あらゆる立場を超えて一丸となり、たちむかっていくという 終末待望論にも通じるやつ 「氷雨」 びんぼう一家の父親が 食材を集めつつ子供たちを喜ばせようと、皆で釣りに出かける 子供の前では明るくふるまってるつもりだが 性格がまじめなもんで、現状に対する深い絶望はかくせない
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表題作初見は高校の教科書だった。当時何度も読み返した思い出がある。とても短い作品だからか、読みやすかったということもあっただろう。 手紙の形式で劇的な場面が淡々とつづられ、それを読んだ夫婦の何気もない会話には、日々の生活―圧倒的な運命の重圧が潜んでいる。このコントラストのまぶし...
表題作初見は高校の教科書だった。当時何度も読み返した思い出がある。とても短い作品だからか、読みやすかったということもあっただろう。 手紙の形式で劇的な場面が淡々とつづられ、それを読んだ夫婦の何気もない会話には、日々の生活―圧倒的な運命の重圧が潜んでいる。このコントラストのまぶしさを、未熟ながら感じ取ったのかもしれない。 巻末には、作品解説のほか、年譜と作家解説も収載されている。
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it's the Proletarian literature! the working poor with mystery in modern. ??×××?? what does mean it? anyone know ?
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「セメント樽の中の手紙」葉山嘉樹◆ダム建設現場で働く男がセメント樽の中から、女工からの手紙を見つける表題作ほか計8編。労働者の話が多い。短いけれどギラッと光る、短刀のよう。「淫売婦」「死屍を食う男」が特に印象的。表題作は教科書にも載ったことがあるらしいけれど、結構すごい話だった。
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格差社会において、契約に支配され、労働を提供するものをプロレタリアと呼び、その逆をブルジョア階級とする。自らが組織を立ち上げ、ルールを作り、そのルールの中で働きたいという労働者がいれば、この構図が成り立つ。立場の違いが対立図式を生むが、取り替えが効くような価値は、常に立場が弱いの...
格差社会において、契約に支配され、労働を提供するものをプロレタリアと呼び、その逆をブルジョア階級とする。自らが組織を立ち上げ、ルールを作り、そのルールの中で働きたいという労働者がいれば、この構図が成り立つ。立場の違いが対立図式を生むが、取り替えが効くような価値は、常に立場が弱いのだ。取り替えが効く価値は、機械化しなければならない。同時に、労働者は価値を高めなければならない。資本主義の初期において、労働の価値が著しく低く、誰でもできる技量へのカロリー提供であった時代、この対立は顕著であった。現代社会も、同様の図式を残す。しかし、現代社会は、低質な労働による差別図式もさる事ながら、無気力、無覇気労働との格差ではないだろうか。
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★更新中★ ☆セメント樽の中の手紙 プロレタリア文学の中でも有名な短編。さくっと読めるので、概要は割愛。 何故木曽川と恵那が出てくるのかと思いきや、筆者は名古屋でセメント会社に従事していたということを知る。最後の主人公の家庭と、手紙に満ち満ちた悲壮感の対比が心に迫る。 最近婦人科の大行列の中で読書をするので、子供が多くてぶつくさ言うなんて、この時代の人は贅沢なもんだなぁ…なんて勝手なことを思ったりしたのでした。 ☆淫売婦 最初、完全に「読むんじゃなかった。。。」と思った。 最後、私も主人公と同じ考えに陥っていたんだと思った。 日本が大いに発展した時代の、影のお話。 読み始めたら、途中目を覆いたくなっても最後まで読んでほしい。話自体は短いから、頑張れるはず。 ★労働者の居ない船 ★牢獄の半日 ★浚渫船 ★死屍を食う男 ★濁流 ★氷雨
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